▼SJのダンジョンと戦闘について思うこと

 ラスボス前で停滞してます。ラスボスなんなのアレ!? 歯が立たない……!
 まぁ、アレですね、デビルソースを使うタイミングなんだろうなぁと思います。デビルソースをアレして弱点をアレしてスキルをアレすれば行けるんだろうなぁと。その辺はわかるんですけど、ここまで粘ってデビルソース無使用で通してきたのでなんとか貫きたいんです。もう、ただの意地ですね。
 時間がないから早くクリアしたいとか、積んでるゲームが多いから早くクリアしたいとか、ルンファク3が面白いみたいでちょっと触ってみたいとか、そういう事情が自分を誘惑するんですが、それでもデビルソース……っ! 使いたくない……っ!
 でも、結局デビルソースに頼らないとしても、LVを上げての力押しか、リセットロードを繰り返してのスキル変化に任せるか、どっちかしか突破口もなさげなので、一番スマートな解法はやっぱりデビルソースなんだと思うんです。なので、ボス戦に詰まった人はさっさとデビルソースを使って強い悪魔でボスを倒すのがいいと思うですよ。自分はまぁ、無駄に粘っちゃったので、頑張ります……



 さて、ゲームに触りながら思ったことをちょこちょこ。総括については以前にも触れたので、今日はゲームデザイン、特にダンジョンと戦闘バランスについて思ったことを記してみようと思います。特に今回の真・女神転生 ストレンジ・ジャーニーは、世界樹の迷宮のエンジンを流用しているため、動作的には似通っている部分があるんですが、細かく検分してみると似通った中にもそれぞれの特徴が見えてきて面白いですよね。
 一目でわかる最大の差異はダンジョンの大きさが定形から不定形に変わったことですね。世界樹の迷宮は、プレイヤーがタッチペンを用いてマップを自ら記すコンセプトから、ダンジョンの大きさはおのずと制限されます。それと比べてSJは、オートマッピング完備でプレイヤーの負担を抑えられる点から、大規模なダンジョンを構築しやすく、スケールを感じられる骨太のRPGを演出できています。
 個人的には定型のダンジョンの方がレベルデザインの妙味が感じられて好きではありますが、進むか退くかの判断を問われる、開発者の方の言葉を借りれば、「鬩ぎ合い」を楽しむ上で、先制攻撃を受ければ全滅もありえるシビアなバランスと、終着点の読めない不定形のダンジョンはゲームデザイン的に一貫しています。
 世界樹の迷宮の場合、階段の位置から次に向かう方角や、ショートカットの位置をある程度推測できたのに比べて、SJは3DダンジョンRPG独特の「孤独感」を覚えるゲームになっています。
 言わば、世界樹の迷宮が3DダンジョンRPGの入門編だとすれば、こちらは応用編と言った感じでしょうか。「孤独感」は「安心感」と対を為す感覚で、ゲーム好きのユーザーにとっては堪らないスリルを与えてくれるものの、一方で不慣れなユーザーにとっては敷居を感じる原因にもなるため、味付けのバランスが難しいところでもあります。SJは、昔の3DダンジョンRPGに比べればサービスも充実していて、ない交ぜになった孤独感と安心感を肌身に感じられるのが、凄く感覚として面白いゲームではありますね。


 ダンジョンのギミックについてはややバリエーション不足を感じるところがあります。オートマッピングを採用することで3Dダンジョンならではのギミックの幅が狭まるのは理由としてはあるんですが、後半のダンジョンがテレポート、移動床、一方通行(含む落とし穴)の順列組み合わせが続くのにはちょっとゲンナリしてしまいました。
 SJはマップを埋めていく、踏破することに喜びを感じられるゲームではあって、テンポ良くマップを埋めていく際は非常に楽しい時間が過ごせるんですが、ボス戦で詰まった時などに戦力強化の為に見知った道をウロウロと歩き続けるのは地味に億劫なゲームではあるんですよね。元々の軽快なテンポが逆に少しの停滞も重く感じさせるのかもしれませんが。
 移動床の流れを考えてパズル的に正解の道を探すのは凄く面白いんですが、テレポートのような運任せの選択が延々と続くと精神的に堪えます。1マップだけならまだいいんですけど、それが頻発するのはスパイスの域を越えているかなと。
 トライ&エラーを指向するのであれば、リトライまでの間隔を切り詰める一方で関門を増やし、足踏みをさせる時間を削ってチビチビとでもマップを埋められる時間を増やすとよかったのかなと思います。不定形マップならそれも難しくない話ではありますしね。
 落とし穴に落ちてから1フロアを歩き直して再挑戦するのは辛いなと自分は思います。




 戦闘バランスは一言で言えば質実剛健ですね。戦闘バランスを担当している方は世界樹の迷宮と同じ方なのですが、色合いがまるで違うのは面白いところです。世界樹も1と2ではかなり触感が違うゲームだったので、ディレクターの意向に応じたバランス設定が巧みということなんでしょうかね。
 SJの戦闘は常に手強い印象が強いです。新しいダンジョンに潜った際には1戦1戦が命がけで、「果たして自分はこのダンジョンを突破できるんだろうか?」と訝しく思えるほどですが、LVを上げて仲魔を増やして合体を繰り返すうちにいつの間にかそこそこ健闘できるようになっています。しかしながら、成長を続けてもなかなか無傷で楽勝とまでは行きません。オート戦闘でザコ敵を蹴散らすには相当な力量差が必要になります。
 どんなゲームも難易度的には「初め厳しく、中熱く、終盤以降は力押し」なんですが、SJに関しては「熱い」期間が非常に長く持続することが特徴的です。従来のアトラスゲームに比べてLV補正が控えめなこと、今回登載された新システムのデビルCO-OPが強すぎないこと、悪魔合体のスキル継承の仕様からマルチスキルな仲魔を作りにくい(弱点を突きにくい)ことが主な理由かな、と考えています。
 SJは堅実で歯応えのある戦闘が楽しめる一方で、派手さ、爽快感に欠ける面はあって、パーティ全員でスタンスを揃えてのデビルCO-OPが成功しても一撃でザコ敵を倒せなかったりすると、なんだか肩透かしな気分になったりします。戦闘バランスの調整は感覚的な差もあって、非常にナイーブなところがあるんですが、個人的にはもう少し派手な戦闘が好みですね。最大の火力でザコ敵の弱点を突くと一撃で倒せるバランスというか。
 あと、戦闘の爽快感を覚えない理由としては、オート戦闘のSE不足が一つ原因としてはあるかなとは思います。真1のオート戦闘は、速度はともかくSEが充実していて迫力があったんですよね。今回のオート戦闘は指向が全くの真逆で、まぁ、これもどこに重きを置くかは非常に難しい選択だと思うんですが、傾向として機能重視で纏まっているのはコンセプト的に一貫していますね。


 ボス戦は、こちらの回復量を上回る強烈な攻撃を多用するボスがデフォで、どの戦闘もシビアでした。特に後半のボス戦は悪魔合体なりデビルソースなりを有効に活用しないと厳しい相手ばかりで、十分すぎる手応えが味わえました。
 戦闘バランスについては世界樹1のような耐え忍ぶ戦闘と言うよりは、世界樹2のような押し切る戦闘の色合いが強いですね。とは言え、ボスの耐久力は基本的にタフに設定されているため、単純な力押しでは息切れするのがもう一味付け加えた感じですね。
 MP切れを防ぐために補給係として主人公が働くことになるのですが、終盤は仲魔3体のMP回復のために主人公が駆けずり回る光景が良く見られました。人間と悪魔の役割分担が明確なので、それぞれの長所を理解しないと後半は厳しいですね。
 補助魔法が重ね掛け可能で、なおかつ効果が控え目なのはいい調整だと思います。パーティの限られた4人のメンバーのうち、1人を補助魔法に割いて帳尻が合うかどうかは鬩ぎ合いがありますし、数ターンかけて築いた鉄壁の体勢もデカジャ一発で帳消しにされてしまう怖さがあります。
 補助魔法の連打は極めて有効な手段ではありますが、一方で低コストな対抗手段が用意されているためバランス破壊は防がれています。敵の補助魔法についても同じことが言えて、対抗手段のあるなしで劇的な難度変化が感じられるのは面白いですね。
 ただ、SJのボス戦は、最大火力を絶え間なく叩き込むことが基本的な攻略の指針となるため、戦闘の起承転結が薄い印象があります。ボスの行動パターンに変化が乏しく、結果的に序盤で構築した体勢を維持してボスが倒れるまでを待つゲーム、という形になっていたのは少々残念なところです。
 ボス戦に最適なパーティを構築するために色々と試行錯誤するのは楽しいんですが、ボス戦自体は工夫を凝らす余地が少なかったかなぁと思います。
 まぁ、このゲームでボスの行動パターンまで複雑化させるとせっかくソースを使って作った仲魔が無駄になってしまう恐れもあるんですけども。それを考えると終盤まで奥の手を隠し持っているようなボスはSJのシステムとは相性が悪いのかもしれません。



 とまぁ、ダンジョンと戦闘に絞ってSJの特徴について触れてみましたが、不満点に関してはどちらも「自分の趣味としては」という枕詞がつく範囲ではあります。全体としては、理不尽に感じられるギリギリのところを突いた、非常に野心的なバランスに仕上がっていて、全滅に心を燃やすタフなユーザーにとっては実にやり応えのあるハードコアなRPGではありますね。