▼3DSのARゲームズでボードゲーム「パンデミック」を紹介する・その2

 これまでのあらすじ! 開始1ターン目でまさかのエピデミック! 人類は滅亡するんだよ! な、なんだってー!


 ……というワケで、ARゲームズを使ったパンデミック紹介の続きです。紹介の順序としては「ターンの進行はこうなるんですよ〜」と基本的な流れを一度お見せしてから「うわ、エピデミック引いちゃった!」という展開が望ましく、また自分自身もそうなるだろうとタカをくくっていたんですが、さにあらず。カードの神様は恐ろしいですね。
 ちなみにこのパンデミック、乱数要素は基本的にカードドローだけでサイコロを振ったりはしません。なので運よりも計算、作戦が重要になるゲームです。
 ……と言いつつ、予定していた今後の作戦が一回のエピデミックカードでパァになっちゃうことも珍しくもなく。その辺、運と計算が非常に巧みに織り込まれたゲームなんですね。


 さて、そんなワケでプレイングを再開します。1巡目2番目はたぬきちの手番。スタート地点はマリオと同じくアトランタです。


 さて、たぬきちの手札を確認してみると南米アルゼンチンのブエノスアイレスとインドのカルカッタが持ち札にあります。治療薬を目指すにはちと遠い手ですね。


 一方でエピデミックの発生により中央アジアは病原体のタワーが乱立。一刻も早く病原体を除去しなければならない危険な状況です!
 というのもこのゲーム、一つの都市に置ける病原体は3つまでという制限があるんですね。で、もし4つ目の病原体を置かなければならない事態に至ったらどうなるか……? その時に起こるのが「アウトブレイク」なんです。
 アウトブレイク! 字面だけ見るとなんかのハリウッド映画のタイトルみたいですね。アクション映画っぽい感じの。実際に同名のバイオハザードな映画もあったりするんですが、アウトブレイクの詳細については実際にそれが発生してから説明することにしましょう。


 さて、話がそれましたが、この状況ではたぬきちは一刻も早く中央アジアの被害軽減に向かった方がよさそうです。とは言えアトランタ中央アジアは遠く隔たれていて、4回分のアクションを全て注ぎ込んだとしてもすぐに辿りつける距離にはありません。
 では、何か手はないのか? 実はそこでプレイヤーカードの出番が来るのです。
 ここまで地名が記された各色のプレイヤーカードは「治療薬の材料」とだけ説明してきましたが、実はプレイヤーカードには他にも3つの使い道があるんです。
 その1つが「カードを使用することでカードに書かれた都市に移動できる」。2つ目は「カードに書かれた都市にいる場合、カードを使用することで好きな都市に移動できる」というものです。
 この2つは、通常の移動に比べて遥かに自由な移動が可能ではありますが、カードを消費するということは治療薬の作製が遅れるのと同義なので、カードを移動に使うべきか否かは非常に判断に悩むところです。
 そして残る1つは「自分が現在いる都市のカードを使用して、調査基地を設置する」というものです。これも非常に重要なカードの用途の一つではあるのですが、調査基地について説明が必要になるのでここでは説明を割愛します。


 さて、そんなワケで一刻も早く中央アジアに向かいたいたぬきちカルカッタのカードを使うことに決めました。


 カードを使って空を舞うたぬきち! フレーバーとしては直行便を使った移動ということになっています。


 さて、カルカッタに到着後、デリーを経由してテヘランに移動します。


 残った1アクションで「感染者の治療」。これは都市にある病原体を1個取り除くアクションです。実に単純明快ですね。


 たぬきちのパンチで病原体タワーが崩れました。とりあえずテヘランアウトブレイクの危険を回避することには成功したと言えます。そのすぐ近く、モスクワは未だにアウトブレイクの危険性を抱えているワケではありますが……


 さて、アクションが終わったので次にカードの補充です。一度エピデミックが発生してしまえばしばらくは落ち着いた状況が続きます。そういう意味では先の読みやすい状況ではあるんですよね。
 で、たぬきちの引いたカードはキンシャササンパウロ。黄色2枚ですね。


 元々たぬきちの持っていたブエノスアイレスと合わせて一気に黄色カードが3枚たまりました。これはナイスドロー! 治療薬に必要なカード5枚が見えてきました。


 手札の補充が終わってからは感染カードのドローに移ります。これがエピデミックカードがない場合の通常のターン進行です。これが!


 ガノンドロフの引いたカードはバンコクとソウル。どちらも赤のアジアのカードですね。
 ……ん、っていうか、ソウル!?



 ソウルと言えば、一番最初に大規模感染が起きた超危険な都市じゃないですかーっ! つか、この展開ちょっとリアルで笑えない……


 というワケでソウルに4つ目の病原体が置かれる……のではなく、前述の通り、ここで「アウトブレイク」が発生します。……してしまいます。


 で、アウトブレイクとはなんぞやと言うと、話はごく簡単で「隣接する都市(赤の線で結ばれた都市)全部に病原体を1個置く」というイベントです。ソウルの場合、隣接する3つの都市、東京、上海、北京それぞれが病原体に冒されることになります。いよいよ(と言ってもまだ2ターン目!)病魔が海を超えて日本にも上陸してまいりました……!


 続いてボード左端にあるアウトブレイク表示表のマーカーを一つ動かします。初期位置は0にあるんですが……


 これを一つずらすと。
 勝利条件である4つの治療薬が完成する前にアウトブレイクマーカーが最大の8に達するとプレイヤー側が敗北します。つまり残りHPみたいなものですね。
 プレイヤーの敗北条件はアウトブレイクの回数の他、病原体が多すぎてコマが足りなくなったり、ゲームが長引いて山札がなくなったり(いわゆるライブラリアウト)といった場合もありますが、まぁ、一番よくあるのがアウトブレイクを重ねてのゲームオーバーなんじゃないかなと思います。
 ということで、病原体コマが3つ乗った都市は言わばアウトブレイクまでの死の宣告を食らっているようなもので、一刻も早く病原体を減らす努力を求められるワケですね。たぬきちが貴重なプレイヤーカードを投じてまでテヘランに急いだのはそんな理由があるワケです。
 一方でたぬきちの努力もむなしくソウルではアウトブレイクが発生してしまいました。これもカードの巡り合わせと言えばそうで、1回でも多くシャッフルしていれば状況がガラっと変わった可能性はあるんですよね。パンデミックはそんな避けがたい運命と時に戦い、時に受容するゲームとも言えます。


 さて、たぬきちの手番が終わり、続いてフォックスのターンです。ソウルでのアウトブレイクを目の前にしてさすがのフォックスもおかんむりといったところでしょうか。


 フォックスの手札をおさらいするとこの通り。先行したマリオを追ってシドニーの赤カードを渡したいところです。


 さて、前回マリオは陸路と海路、3回分のアクションを使ってシドニーまで移動しましたが、フォックスはなんと特殊能力で一気にシドニーまで移動できるのです。それが通信連絡員の「1アクションを消費して、いずれかのコマ1つをプレイヤーコマがある別の都市へと移動する」という能力。
 ここでいう「いずれかのコマ」はフォックス自身も含むので1アクションを消費することでフォックスは他の3人の滞在する都市ならどこでも一瞬で移動することができるのです。なんたるチート能力!


 ということで、あっという間にシドニーに到着。そりゃマリオも驚くってなもんです。


 カードを受け渡す条件である「二人が同じ都市にいる」「受け渡すカードと同名の都市にいる」を満たしているので、フォックスはシドニーのカードを滞りなくマリオに届けることに成功しました。
 さて、ここまでで消費したアクションは「移動」と「カードの受け渡し」で2回。フォックスの残りアクション2回はどのように使えばいいでしょうか?


 色々考えた結果、フォックスはサムスを移動させることにします。まだ一度も手番が回ってこないというのにエピデミックやらアウトブレイクやらハデな事件が頻発してサムスもどうにも困り顔といった風情ですが、それだけに世界は彼女の衛生兵としての働きを求めているのです。


 再び「1アクションを消費して、いずれかのコマ1つをプレイヤーコマがある別の都市へと移動する」能力を利用して、今度はサムスをたぬきちのいるテヘランへと移動させます。サムスの手札を温存したまま、サムスを中央アジアに送り込むことに成功したワケですが、実はたぬきちのカード使用はこれを見越した選択でもあったのです。


 さらにフォックスはたぬきちを隣の都市バグダッドに移動させます。これは通信連絡員のもう一つの能力です。
 たぬきちの移動は次の行動への布石なのですが、果たして青写真通りに上手く行くのか、さて……?


 そしてフォックス自身はシドニーでターンエンドです。


 さて、アクションが終わってから手札の補充です。


 フォックスが引いたのは青のトロントと黒のモスクワ。


 手札は見事にバラバラな色。とは言えフォックスは持ち前のスピードでサイドラインを駆け上がり、フォワードにラストパスを送る役どころ。バラバラの手札はむしろカバーできる範囲が広がったとも言えますね。


 さて、次はガノンドロフの恐怖の感染カードのお時間です。いまだに各都市でアウトブレイクの恐怖が残っているだけにこのドローは注目ですね。


 ガノンドロフが引いたのはテヘランとカラチ。黒の中央アジアに集中爆撃を敢行です!


 ところがどっこい、テヘランはさきほどたぬきちが感染者の治療を行った場所。アウトブレイクの発生の回避に見事に成功し、プレイヤー側は「してやったり!」といった表情です。
 仮にたぬきちがカードの使用を躊躇っていればここで2度目のアウトブレイクが発生していたワケで、これは幸運な巡り合わせである一方、果敢な努力の結果でもあるんですよね。パンデミックのプレイヤーとして一番興奮するのは、こういうギリギリのタイミングでアウトブレイクを避けた時だったりします。


 一方でテヘランの南にあるカラチは3つ目の病原体が積まれてアウトブレイク目前です。とは言え、カラチの感染カードは今引かれたばかりなので、もう一度エピデミックが起きて捨札が山札に戻らない限りは安全とも言えるのですが……


 さて、1巡目最後のサムスのターン。フォックスの能力で中央アジアテヘランからのスタートになります。


 サムスの手札は黄色のマイアミとスペシャルイベントの空路。今は特に積極的にカードを使いたい状況ではないですね。


 サムスはモスクワに移動。モスクワの感染カードは未だに山札に残っていて、アウトブレイクが起きる可能性を残しているため早々に病原体を減らす必要があります。


 モスクワで「感染者の治療」。ここでサムスの能力が発動します。


 衛生兵であるサムスの能力は「その都市にある病原体コマ1色を全部取り除く」というもの。まさに病魔との最前線で力を発揮する能力です。


 パワードスーツに身を包んだサムスのチャージビーム一閃!




 モスクワは壊滅しました(ウソ)


 冗談はさておきモスクワの混乱を収めたサムスはテヘランへと踵を返します。


 テヘランの病原体タワーにパンチ!


 テヘランを病原菌から開放し、中央アジアの沈静化に貢献しました。
 ちなみに今回の行動はテヘランから始まって、モスクワに移動→治療→テヘランに移動→治療と流れたワケですが、何もテヘランに戻ってこなくても、最初にテヘランで治療を済ませてからモスクワに移動してもよかったんですよね。
 なぜこのような順番でターンを終えたかと言えば、そこは次の作戦があったりなかったり…… 取り敢えず次の行動を見越してテヘランでターンエンドするのが望ましいとここでは判断した次第です。


 続いてサムスの手札補充。何が来るでしょうか?


 引いたのは赤の大阪と北京(多分)。ちょっと字が潰れて自分でも判断がつかないところがあるんですが、確かそうだったような気がします……
 マリオが喜んでいるのは、これで赤の治療薬の完成に目処がついたからですね。サムスがマリオにどちらかのカードを渡せば、マリオの手元には赤のカードが4枚揃うことになります(※マリオは特殊能力でカード4枚で治療薬を精製できます)。


 ということでサムスの手札はこんな感じ。スペシャルカードの空路は温存したまま緊急時に使いたいですね。


 続いてガノンドロフのターン。中央アジアをあっさりと鎮火させられてガノンも少々腹に据えかねた様子です。


 怒りの感染カードドロー。出たのは黄色のハルツームと黒のデリー。ここまで黒の出現率がかなり高いですね……


 デリーには2つ目の病原体コマが乗せられます。決して安全というワケではありませんがまだまだ手の打ちようはあるという状況ですね。


 が、ハルツームは都合4つ目の病原体コマ(そう言えばセットアップで3個乗ってた!)。もちろん一つの都市に4つの病原体コマを乗せることはできませんから……


 2度目のアウトブレイクが発生! ハルツームで拡大した感染症は陸路を通じて近隣都市へと拡大。南アフリカのほぼ全てが病魔の渦巻く暗黒大陸へと姿を変じてしまったのです。


 そしてアウトブレイクマーカーも2へと移動。まだ薬は一つも完成していないというのに、あまりにも急激な展開です。


 これでプレイヤー的にはようやく1巡完了なのですが、非常に濃密な1巡目だったように思います。初手のエピデミックに始まる2度のアウトブレイク。ぶっちゃけ自分がプレイしてきたパンデミックのゲームプレイの中でも屈指のキツい立ち上がりだったりします。ホントはもうちょっとゆっくりと始まるハズなんですが……
 パンデミックの展開には波があります。ピンチの後にはチャンスがあり、チャンスの後にはピンチがある。緩急が止めどなく続くジェットコースター感こそがパンデミックの面白さのキモではあるんですが、果たしてプレイヤー達はこの難局を乗り越えてチャンスを掴めるのでしょうか? 文字通り人類の戦いはまだ始まったばかりなのです……