▼ファンタシースターZERO・その6

 ファンタシースターZEROをPS0と略すとPSOと区別がつきにくいので、最近はどうもPSZが主流みたいですね。今までPS0で通してきたのでちょっと違和感はあるんですが、PSPPSpなんかホント区別が難しかったので、まだ逃げ道があってよかったなぁと思っています。


 さて、PSZの楽しさの一番ミクロな部分は何かと言えば、敵の攻撃を避けて、こちらの攻撃を当てる「立ち回り」にあると思うんですね。敵の動きを全て見切って、こちらの攻撃を連続でヒットさせる。ノックバックやフォロースルーで徐々に崩れる彼我の間合いをこまめに修正しながら、最適のリズムで敵を打倒する。この立ち回りの積み重ねでPSZはできあがっています。
 今回のPSZは、PS0と比べると、必殺技としてのフォトンアーツと、無敵時間を貰える緊急回避という動作が加わって、格闘ゲームで言うところの「差し合い」のような緻密な打撃の組み立ては、やや面影を薄くしたような気もします。ただまぁ、フォトンアーツを多用するシーンに辿り着くまでは随分と時間がかかるので、プレイヤーがまず触感を判じる材料は、攻撃と回避で構成されたシンプルな立ち回りであることは間違いないですね。
 そして、この立ち回りの魅力がきちんと確立されているのが、自分のPSZの評価の基礎部分です。まぁ、アクションとしては割と単純な作りではあるんですが、単純な中に選択肢を散りばめているのがいいところですね。新しく追加されたフォトンアーツもバランスを崩さず、戦闘にメリハリをつけていて好印象です。

 で、その上でPSZで一番自分が評価しているのは、Wi-Fi通信を使った協力プレイ回りのシステムなんですが、昔のPSOで通信プレイを楽しんでいた人にとっては何かと不満の多い部分でもあるようです。自分はGC時代のPSOをプレイしていましたが、その頃はオンライン環境がなくてオフ専門だったんですよね。なので、自分にとっては今までファンタシースターオフラインだったものが、今作でようやくファンタシースターオンラインになったワケで、それだけの質的転換を見せられれば多少の問題も瑣末だと感じてしまうワケです。そこが昔からのファンの人と感じ方の違う部分なのかなとも思います。
 ただ、自分がオンラインの海に乗り出せるようになったのも、最適な通信環境を整えるのが昔より格段にラクになって、通信を促すような魅力的なコンテンツが多数揃ってきたからというのが凄く大きいんですよね。さすがにPSOホームランドしかオンライン対応ソフトがない中で、設備一式を整えようとは思えなかったので……
 簡単、安心、無料な通信インフラを整えたDSというハードでPSOの新作が発売される意義はまさにそこなのかな、と思っています。ハード的にはやはり携帯機の限界もありますが、参加者の層の広さが魅力に結びつくオンラインゲームにおいては参加の敷居が低いというのは非常に大切なことじゃないかなと思いますね。


 そんな感じで、PSZは非常に面白いソフトではあるんですが、まぁ、同時に閉口するところもありまして、自分が一番それを感じるのはタイムスケールがオンラインゲームのまんまそれってことだったりします。自分はPSZを70時間ほどプレイしているんですが、アイテムの収集率で言えばまだ6割くらいなんです。まぁ、このゲームは収集率を競うゲームではないんですけども、エルミナージュで言えば、70時間もプレイすれば村正が何本も手に入るレベルで、この先どうなるかはホントに先が見えないんですよね。
 MOやMMOにありがちな沼の深みがなんか見えてきた感じで、この手のゲームにはとかく近づくまいと決めていた自分にとっては、ああ、なんかヤバいところにいるな、という自覚症状があります。基礎的な立ち回りは先述の通りに面白いので、惰性で物凄くダラダラとプレイできそうな反面、ふとしたことでPSZから離れたら、もう二度とパッケージを開けないところまで行ってしまうんじゃないか、みたいな危惧を抱えてもいます。
 普通のハック&スラッシュであれば、どこまで行っても自己満足の世界なので、足を洗うタイミングも自分で好きに決められるんですが、通信によってプレイヤー同士が繋がってしまうと強制的に自分と他人のレベルや装備を比較するようになってしまうので、何かと競争心を煽られてしまうんですね。
 ゲームのプレイスタイルにしても効率的なリソース稼ぎを理想と見てしまう部分があります。それだけならまだしも、その空気を他人にも強要してしまうのではないか、という予感がするのが自分は物凄く怖いです。自分はマイペースを良しとしてる人間なので、できれば他人のペースも尊重したい。でも、他人の気持ちを忖度するにはネットの壁はまだまだ厚いんですよね。
 ネットを介した競争原理が励みになる人もいれば、疲れてしまう人もいて、自分はどちらかと言えば後者なのかな、と今は思っています。社長が訊くスマブラの話にあった「山の頂上」の話に近いのかなぁ、これは。
 まぁ、客観的に見てみれば、こんなのはUOだかEQだかの頃にもよくあった話だなぁ、とは思うんですが、自分はこの手のオンラインゲームに触れたのは今回が初めてとも言える有様なので、多くのオンラインプレーヤーが体験してきたであろう楽しさや苦しさを今になって追体験しているような状況です。オンラインゲームって、楽しいけど疲れるゲームですよね。
 もっと細かく言えば、オンラインゲームの交流部分は楽しいけど、数値競争は疲れるってことなのかなぁ。そういう意味では、どうぶつの森は数値競争の概念が薄くて疲れにくいゲームなのかも、と思いつつ、オンラインと関係ない根本の部分で疲れる要素はあるよね、とは思ったりします。花とか雑草とかね。


 自分としてはもっとボリュームが圧縮されたゲームが好みだなぁとは思うんですが、ユーザから上がる希望の声は難易度アルティメットの追加とか、レベルキャップ200までの引き上げとか、ボリューム増加の方向が多いので、どちらかと言えば自分の考えが中心からズレてて、それだったら他に適したゲームを探した方がいいのかな、という状況なのかなとも思います。
 まぁ、これはあんまりに急激にオンラインゲームの面白さに触れたもので、今はその揺り返しが来ているのかなーとも思っているんですが。一時期、TCGにハマった直後、カードに触れるのも嫌になった時期があったりと、浮き沈みの激しい性格ではあります、自分。