すばらしきこのせかいがゼタ面白い

 最近改めてわかったことなんだけど、自分はRPGが好きだ。というよりキャラを成長させるのが好きで、もっとミクロに言えばリソース(経験値やお金)をコツコツと溜めていくのが大好きだったりする。
 というワケでリソース稼ぎの充実したゲームならそのジャンルがRPGだろうが、アクションだろうが、SLGだろうが楽しめる。自分の好きなゲーム、パッと思い浮かべてみて、世界樹とかMGとかスパロボとかみんなそんな感じだ。
 逆にローグ系RPGなんかの「プレイヤーのレベルが上がる」タイプのゲームはあんまりのめり込めなかったりもする。多分、自分の消費した時間と付随した結果が数字として表現されることに安心を覚えるタイプなんだと思う。貧乏性なんだなぁ。


 最近遊んだFFCCRoFもリソース稼ぎゲーとして非常に楽しめたんだけど、そのおかげでRPG魂に火がついてガッチリした濃い口のRPGを唐突にプレイしたくなった。うーん、「RPGやりたい病」は自分の中では珍しい症例だなぁ。
 で、最近発売されたスクエニの「すばらしきこのせかい」がFFCCRoFに負けず劣らず面白いとか、、いやいやもっと面白いとか、意外なまでの好評を耳にするので買ってみることにした。
 まぁ、前々から興味はあったんだけど、財布の事情が芳しくなくてなかなか手出しができなかったんだよね。FFCCRoF買うときも考慮には入れてたんだけど、まぁ、値段で落選したという経緯があったりもして。
 でも今日はRPGやりたい病発症中なので気後れせずにゲームが買えるぜ! 風邪をひいてると薬代とかケチってられないのと同じ理屈。熱が冷めたときに後悔するかどうかは神のみぞ知るってことで。


 さて、早速プレイを始めてみたんですが、オープニングの演出から凝り凝りですな。センスがどうこうって話はまぁ、よくわからないんですが、グリグリ動いて力は入っている。この辺はさすがスクエニならではといったところ。
 導入がウダウダーと始まって、ちょっと身構える。従来のゲームからは割と乖離した雰囲気のゲームなだけに物凄い痛い展開で始まったらどうしようとか思ってたら、結果、半笑いで済みました。反発を覚えるよりも「おうおう、若いのう」と見ていられたのは、多分、年を食ったってことなんだろうな。でもボイスでかなりダメージを負った。ヤバいと思ったら音量を絞るのが有効だと思われます。


 導入で体力を削られつつ、ゲームを進めていくと、あれ、なんだかメチャクチャテンポがいい。うわー、戦闘が凄い面白いぞ!
 戦闘はそれぞれ異なる攻撃方法と能力を持ったバッジをスロットにセットして戦う。まぁ、バッジはカードみたいなもので、要するにデッキを組んで戦うRPGというか。雰囲気としてはロックマンエグゼ辺りが近いように思う。
 もっと言うとGBAキングダムハーツのスピード感にロックマンエクゼを足したような感じ、と思ったらスタッフがまんまキングダムハーツだったらしい。なるほどなぁ。


 DSっぽいのはバッジを発動させるのに、敵をタッチする、空間をタッチする、円を書く、敵をこする、など様々な方法があるところで、戦闘が始まるとついついタッチパネルをガリガリ削るようにプレイしてしまう。この感覚は応援団を思い出すわぁ。
 それぞれのバッジの攻撃を繋げることもできるので、地面からの氷柱で敵を浮かして(タッチパネルを下から上にこする)、エネルギー弾を空中で連続でぶち当てて(敵を連打タッチする)、落ちてきたところをザクザクと斬りまくる(敵をこすりまくる)とか、様々なバッジの組み合わせでコンボを狙えるのが面白くてたまらない。
 しかもコンボを連続で決めると戦闘後に得られる経験値にボーナスがついたりするので、ザコ戦でも全く気を抜けず、毎回全力をつぎ込んでしまうのが上手い作り。
 戦闘後のスペシャルボーナスはスマブラっぽい感じで「10HITコンボ達成」とか「ノーダメージでクリア」とか「アイテム未獲得」とか色々なパターンがある。スペシャルボーナス以外にも戦闘時のクリア時間とか与ダメ、被ダメで獲得経験値に修正が入るので、やっぱり全力疾走でプレイしてしまう。気づくとフラグ立てとかストーリー進行とかそっちのけで戦闘ジャンキーになってたりした。この戦闘システムの中毒性はかなり強烈で面白いわー。


 そして戦闘を取り囲む様々なシステムがリソース稼ぎ大好きな自分にとってはいちいち刺激的だったりする。全部は書き切れないので割愛するけど、どれもこれも一捻りしてあって従来のRPGから半歩足を踏み外して新鮮さを醸しつつ、それでも全体として破綻することなく作品として仕上げているのが、凄いバランス感覚だと思う。
 自分の今の感覚を表現するなら、ドラクエ、FFを遊んだ初心者ユーザがメタルマックスをプレイするのに近い気がする。


 「主砲と副砲ってどう違うの?」
 「武器変えたらHP減ったんだけど?」
 「重量オーバーって出て動けないんだけど?」
 「宿屋泊まっても主砲回復しないんだけど?」
 「防具が壊れたんだけど?」


 今までのRPGとは勝手の違うシステムに戸惑いつつ、システムを把握することで、世界観をも理解していく。いまどきRPGなのに新鮮な驚きに満ちている、というのがこのゲームの白眉な点に思えるなぁ。


 とは言え、独自性が強いがゆえに敷居の高めなゲームなのも確かではあると思う。ゲーム内チュートリアルは充実していて、いつでも読み返せる形にはなってはいるけど、量が膨大で一見して概要が理解できるかどうかは甚だ怪しい。「メシが食べられなくなった! なんで!?」みたいなのがザラにあったりするし。
 少なくとも任天堂のゲームのような噛んで含める親切心は全くなくて、膨大なマニュアルをポンと渡して「あとはそっちで理解してね」みたいな突き放した感がある。
 まぁ、単純なアクションだけでも戦闘はこなせていけるので、細かいシステムは理解してなくても楽しめるとは思うけど、システムを理解して掌握する楽しさを久々に楽しめるゲームではあるので、腰を据えて取り組む姿勢で挑んだ方がやっぱり面白いとは思う。


 まだゲームは5時間くらいしか遊んでないんだけど、触感としては凄く面白いゲーム。個人的な感想を言えば、今年のゲームの中では世界樹スパロボW、ゼルダに並ぶ良作。割と多くのユーザが感じるであろう「どうも雰囲気がなぁ」の一言で目を逸らしてしまうには余りにも惜しい作品。
 とは言え、自分はあんまり気にならないだけで、雰囲気に比重を置くユーザにとっては、やっぱりこの独自のテイストが肌に合わないと感じる人もいるのではと思う。
 ただ、世界観とかキャラクター性だとか、そういうものを取り除いた純粋なゲーム性に関してのみ言えば、このゲームは面白いゲームだと断言できる。
 いやー、本当に予想外な好作でビックリだった。良作と言ってもせいぜい70点くらいのゲームかなと思ってたら自分的にはもう90点オーバー。7日間のゲームなのにもう5日目とかなんだけど、周回要素が充実してるらしいので長く楽しめそう。




 ……というファーストインプレッションを3日前に書いたままほったらかしにして、休みの間はずっとすばらしきこのせかいを遊んでました。寝食を惜しんでゲームするのってホント久しぶりだわ。
 しかし他のゲームとすれ違い通信が成立すると聞いたのに、期待して町をうろついてみたら全然だったわ。泣いた。