社長が聞く スマブラ編

 http://wii.com/jp/articles/smashbros/crv/vol1/index.html


 社長が聞く、スマブラX編。やっべー、このツーショットは凄まじすぎる。
 ワクワクしてページに飛ぶとまず目に入るのは、スマブラ発売延期のお詫び。こういう場所、こういうタイミングできっちりとお詫びを入れて、最後にライターの名前を入れて盛り上げるこの構成は見事。
 いつもの社長が聞くに比べると、文字数が絞られてて行間が広い気がする。その割に交わされる言葉一言一言に着目すべき点があって、決して内容が空虚ではないというのが唸ってしまうところ。
 いつも岩田社長の写真って判で押したように笑顔ばかりなんだけど、今回だけは半分だけ笑顔みたいな感じなんだよね。この辺がまた緊張感があるというか。


 E3での岩田社長のやり方は酷い(笑) 「スマブラ作る時は一声かける」みたいなことを岩田社長は桜井さんに約束してたらしいので、突然の発表に桜井さんはマジで面食らったんだとか。方々に頭を下げてから開発に入ったみたいな話を聞いた覚えがあるなぁ。


 開発も当時は結構騒がれてたなぁ。開発者募集要綱で勤務地が高田馬場だからゲームアーツが怪しいとか。自分はスネーク出るからコナミ関係のアレかなぁとか漠然と思ってたんだけど。編曲陣もゲームアーツ関連の人が多かったしね。うーん、なるほどなー。


 桜井さんの「同じ人たちと同じシリーズをずっとつくる」のがイヤになったってのも凄い話だと思う。
 特に桜井さんの関わったゲームってのは物凄く完成度が高くて、その開発体制ってのは相当レベルが高いハズなのに、そうした環境でより高い完成度を目指すってんじゃなくて、全く新しい環境に自分を置いて1からゲームを作っていきたいってのは、物凄いリスキーだと思うんだよなぁ。いくら桜井さんが凄い設計図を描いたとしても、実際に部品を作る工場に技術がなかったら、それはただの落書きにしかならないんだから。
 今回のゲームアーツにしても名前が出てから凄く好意的に受け止める人と、悲鳴を上げる人と様々で、果たしてこのチームは上手く機能していたのかってのがよくわからない。自分はゲームアーツ開発のゲームってプレイしたことがないので、その実力もよく知らないし。
 ただ、桜井さんに関して自分が凄く強くイメージしているのは、「物凄く怖くて妥協しない人」ってこと。これは前作のスマブラDXのスタッフインタビューか何かで、とにかく桜井さんの完璧主義的な側面について、回りのスタッフが語っていたのが印象に残っている。
 それは今回のインタビューでもあったとおり、確かな完成形が見えているからこそできる仕事なんだろうなぁ。だからとんでもない馬力の車を突然用意したとしても、桜井さんならなんとか乗りこなしてしまうんじゃないか、って思ったりもする。
 桜井さん自身も「だって『スマブラ』をつくるためには、本当に、すべて捨てきらないとダメなぐらいやらないといけないですからね。」なんて言ってたりするし。ゲーム開発者がみんなこんな考えなのか、それとも桜井さんだけが特別なのか、その辺は自分にはよくわからないけれど、当たり前のようにこんなことを言い切ってしまう桜井さんは凄いと思う前にやっぱり怖い。


 そんな桜井さんを知悉してる岩田社長だからこそ、今回のような特別な開発体制を用意できたんだと思うし、そこまでにいたる両者の信頼関係を想像すると、なんかもうこれは友情と言う言葉では表せない荘厳な何かを感じてしまう。
 実の話、自分は男同士の友情というヤツにことのほか弱いので、これを読んでちょっと涙が出た。いや、年食ってどうも涙腺が弱くなったってのもあるんだけど。



 そんな感じでお互いの来歴を明らかにして、さて核心に迫ろうかというところで次回に続くと。なんだこの少年漫画的な引きは! 凄い気になるじゃないか!
 まぁ、本当に分量的には限られているんだけど、かつてHAL研スマブラを共に作り上げた2人が、今立場を違えて再び向かい合うという姿に大河的なロマンを嫌が応にも感じたり。離散集合の多いゲーム業界だけど、これほどドラマチックな再会ってあんまりないのではとか思う。

 しかし、桜井さんはなんか名倉潤に似てきたなー(笑) まぁ、いつまでも童顔ではないってことですか。初代スマブラからもう9年だもんなぁ。年も取るワケだ。