社長が訊く スマブラ編 Vol.4

 http://wii.com/jp/articles/smashbros/crv/vol4/index.html


 毎回毎回追いかけられるかは微妙になりつつある今日この頃。発売前日のVol.7までやるのかなーと見ていますが、さてどうなのか。
 今回はスマブラの一人用モードについて。




 桜井さん「かといって、『スマブラ』の対戦をシステムから変えていこうとか、今度は3Dバトルにしようとか、そういうことは望まれてないと思うんですね。」


 これは凄く単純なことだけど頷いてしまう部分。3D化についてはPS期から多くのメーカーが挑戦して失敗していった部分で、もちろん中にはGTAのような3D化したからこそ生まれた直感性というのがあるにしても、2Dの方がシンプルでとっきやすいというのは、2Dマリオと3Dマリオ、2Dゼルダと3Dゼルダの売れ行きを見るだけでも納得のいく話だと思うんです。
 そういう意味で64の頃に、ポリゴンゲーではあるんだけど実質的には奥行きのない2Dアクション、というスマブラのデザインは既にそうした答えを導き出していた物凄く先見性のある作品だったんですよね。
 そして桜井さん自身が物凄くシンプルな、それでいて奥の深いデザインを好むという軸がブレてないってのが、非常に心強い部分でもあります。ともすると桜井さんは「スマブラしか作れない」みたいな評もあるワケですしね。まぁ、自分的にはその「しか」の部分が凄まじすぎて、これは悪評足りえないと思うんですけど。




 桜井さん「それで、やはり何かのストーリーはなきゃダメだ、という結論にいたったんです。」


 これを読んで「アクションにストーリーって必要か?」と思った人って結構いるんじゃないかなぁと思ったんですがどうでしょうか。実は自分も最初はそう思ったんですが。
 今の時代、あのマリオでさえもゲームの進行にはムービーを交えたストーリーが付属していたりして、古参のゲーマーの中からは「マリオにあんなのいらんよ」という声が聞こえてきたりもします。
 が、ところでアクションゲームにストーリーを初めて持ち込んだゲームは何か、を考えてみると、実はこれ、ドンキーコングなんですね。配管工のマリオが悪のドンキーコングに攫われたレディを助け出す、というストーリーがあの一画面の中で展開されているんです。
 ドンキーコングが海外で大ウケした理由の一つに、そうしたストーリー性やドラマ性があったから、というのは今の私達からしてみれば全くもって信じられないような話ではあるんですが、なぜゲーム内のキャラクターがプレイヤーの分身となって先へ進むのか、が設定付けされていないゲームは没入感が淡白になってしまうんですね。
 実は前作のスマブラDXにもそういう点はありました。一人用モードはフィギュア獲得用のオマケ部分みたいな感じで、できればさっさと終わらせて乱闘に移りたい、みたいな。
 その欠点を桜井さんもわかってたんじゃないですかね。で、それが以下の岩田社長の言葉に繋がってくると。


 岩田社長「横スクロールのアクションゲームを遊ぶ場合、「この先どうなるんだろう?」という期待がもっとも大きな動機になりますからね。」


 これはアスレチック的な仕掛けに限らず、単純に言えば「エンディングを見たい」という欲求もその一つと言えるでしょうね。



 ストーリーが野島さんと桜井さんで認識が違っててどうこう、ってのは実際にゲームをプレイしてみないと桜井さんが何を目的としているのか見えないのでなんともなんですけど、一つ確実に言えるのは、桜井さん自身はメチャクチャ壮大なストーリーが好きだってことです(笑)
 例えば桜井さんの作ったメテオスというゲームは、まぁ、内容的にはテトリスと似たようなゲームです。別にストーリーなんてなくても成立するんです。
 ですが、桜井さんはメテオスのバックボーンに宇宙の破壊と再生に纏わる叙事詩を織り込んで、メテオスをとんでもないスケールのデカい宇宙大戦争みたいな逸話に仕立てあげたんですね。
 まぁ、テトリスに置き換えると、テトリミノが詰まったら宇宙が滅亡するよ、みたいな話です。だからプレイヤーは頑張れと。
 なのでギャップが激しすぎて、最初に見たときは「とんでもない重荷背負わされてるよ、オレ!」って笑っちゃうんですが、いざゲームが始まってみると「よーし、じゃあ頑張ってみるか!」みたいな変な悪ノリが出ちゃうんですよね。
 真剣ではあるんですけど、ユーモラスなんですよね、桜井さんのストーリーって。だからスマブラも、例えばあれはフィギュアが意志を持って戦っているという設定ですけど、その辺の事情を絡めた何か壮大なストーリーが展開されるんじゃなかろうか、と個人的には見ています。




 桜井さん「そういえば、先日、酒井省吾さんがテストプレイしていて、『亜空の使者』の「やさしい」をクリアーしたんですよ。」


 これはスマブラの話じゃなくて酒井さんの話じゃないですか!(笑)
 凄く2人は納得してるみたいなんですが、実際どれほど下手なのか気になりますね。それで初心者でも大丈夫って言われてもなんかこう実感が沸きづらいんですけども。
 酒井さんは元々データイーストに所属してた方で、相当キャリアは長いんですけどねぇ。と言うかゲーム業界の人で「ゲームが下手!」ってのが凄く自分的にはインパクトがありました。例えば本業が音楽のすぎやまこういち先生だってゲームは大好きって人ですからね。
 2人の話を聞く分には、どうもコントローラーの持ち方すら怪しいような雰囲気のある酒井さんですが、そもそもなんでゲーム音楽に携わることになったのか、うーん、不思議ですな。