世界樹日記・その18(8Fのアイツ)

 今日の内容は8Fにいるヤツとの記録です。題して『○○○○○○撃滅プロジェクト』。
 なので、8Fクリアしたよー、という方でも、その段階の多くの方にとっては、ネタバレと思われる事項が多々含まれていますので、取り扱いには注意して頂ければと思います。
 あとまぁ、どうしても勝てないという方は、まぁ、参考になれば、みたいな。あんまり詳しい装備とか書いてないんですけどね……
 まぁ、アレですよ。ぶっちゃけレベルを上げればどうにかなりますよ、世界樹は! ってことで。



 そんな感じで、以下ネタバレです。




 樹海の第2層に居を構えるサラマンドラ冒険者達は、大公宮から下されたミッションの過程において、初めてこの怪物と遭遇する。
 サラマンドラは、前作経験者と未経験者を隔てる分水嶺としても機能する。前作経験者ならば、この強大な敵を目の前にして、あっさりとその足元を潜り抜け、目当てのお宝を手にすることができるだろう。
 そして前作を触ったことのない新たな冒険者(および、ごく一部のMな前作経験者)は、樹海の凶暴性と無慈悲の象徴とも言えるこの怪物の胸元に、短慮と蛮勇を伴って飛び込み、1000ダメージの火炎の吐息によって瞬時に我が身の愚かさを思い知る羽目になるだろう。
 あるいは準備のいい冒険者ならば、炎に対して耐性のある装備を整え、火炎の吐息をうまく潜り抜けることができるもしれない。しかし、安堵する彼らは幸いである。彼らは、その次に5000ダメージの尻尾の一撃が来ることをまだ知らないのだから。


 しかし、果たして我々冒険者は、いつまでこの怪物の暴威に怯え、惰弱を英知と賞賛し続けるのだろうか?
 臆病者であることを潔しとし、乾いた蔑笑と諦観で自らの境遇を肯定してよいものなのだろうか?
 否! 敵は我々が打倒するものであり、富と名誉は我々が手中に収むべきものである。
 ゆえに私はここにサラマンドラの撃滅を目的とした計画を発動した。
 これは、火竜サラマンドラに挑んだ男たちの熱く儚い物語である。




 さて、この時点でメインメンバーの戦力は以下の通り。


 ベオ ソードマンLV44
 ナガヤ ブシドーLV44
 ユーディット ドクトルマグスLV48
 ミレッタ レンジャーLV49
 ノワイト カースメーカーLV49


 第4層に到達したこのメンバーならば、おそらくサラマンドラとも互角に渡り合えるだろう。前作の経験を鑑みて、私にはそんな目算があった。


 しかし、全滅……!


 たった3ターン。たった3ターンでギルド『バラック』は壊滅した。なんという猛威。なんという暴威。サラマンドラの力量はワイバーンのそれをも遥かに上回る。
 これは、汎用的な今のパーティでは勝ち目がない。対FOEに特化したパーティ作りが必要だ。


 そこで私は、ギルドに控えるメンバー2名を呼び出した。狙うは完全決着。そして勝利。そのためならば手段は問わない。たとえ非道と謗られようとも、私はサラマンドラの亡骸を樹海の灰土に還してやるのだ。


 そこで結成された新パーティは以下の通り。


 ユーディット ドクトルマグスLV48
 ミレッタ レンジャーLV49
 ノワイト カースメーカーLV49
 ウィバ アルケミストLV32
 ジャド ダークハンターLV26


 新たに追加されたメンバー2名は、主にボス狩りのために登録されたメンバーだ。そして、各人の役割は以下のようになる。


 ドクトルマグス:アルケに『巫術:鬼力化』を使う
 レンジャー:『アザーズステップ』で各種援護
 カースメーカー:病魔の苦痛を力に変えて、今必殺のペイントレェェェード!
 アルケミスト:言わずと知れた『核熱の術式』
 ダークハンター:一撃必殺『ジエンド』が唸る


 つまるところ速攻で強力な大技を叩き込み、弱点である防御の薄さを潰してしまおうというのが作戦の骨子だ。いくらサラマンドラの攻撃が熾烈であっても、それ以上の速度で致死ダメージを叩き込めば勝てる。
 まさに兵は神速を尊ぶ。先手必勝とはこのことである。


 というわけで意気揚々とサラマンドラ討伐に乗り出した一行。


 しかし、全滅……!


 後衛の新人2名はレベルが不足していることもあり、サラマンドラの『獄炎の吐息』に耐えられなかったのである。なまじ先行した正規メンバーが、最初の一撃を凌いでしまったがために生まれた誤算と言えよう。
 ゆえに私は、計画の見直しを求められた。新人2名に炎に対する耐性を与える『炎の指輪』を装備させた。また、第1ターンでは出番のないレンジャーには、炎を弱める力を持つ『対熱ミスト』を使用させ、サラマンドラの初手を封じ込もうと画策したのである。


 しかし、全滅……!


 確かに『炎の指輪』と『耐熱ミスト』を併用した多重防御は理に適ってはいた。しかし、余りにも対炎を意識した装備の構成は、サラマンドラの次なる一手、すなわち強靭な尻尾から繰り出される『クラッシュテイル』に対する防御策の一切を見失っていたのである。
 一見して『獄炎の吐息』こそがサラマンドラの最強の武器に思われがちではあるが、奴の切り札はこの『クラッシュテイル』なのだ。そのダメージは防具を着用していない新人2名に5000点という奇想天外なダメージを与え、全身防具で身を固める前衛に対しても800点の致死ダメージを与える。
 前衛ですらこれなのだから、正面から『クラッシュテイル』を防ぐ手段などない。ならば我々に残されたのは『クラッシュテイル』を撃たれる前に撃破する。それだけしかない。


 無茶だ。しかしやるしかない。無理だ。いや、我々ならできる。
 わずかな可能性、そう乱数の神様が『クラッシュテイル』ではなく『戦慄の死声』を選び、なおかつパーティの主力が存命となる…… 僅かであっても可能性に縋る余地がまだ我々には残されているのだ。


 しかし、全滅……!


 敵は他にもいた。それが『獄炎の吐息』の効果によって併発する足縛りである。足縛りは腕や頭と違って決戦兵器である『ペイントレード』『核熱の術式』『ジエンド』に対して制限を齎さない。その意味では、即座に敗北を確定させる各種全体攻撃と比べて安牌ではある。
 しかし、足縛りによって、我々はあるひとつの重要なスキルを封じ込められるのだ。そう、『アザースステップ』を!


 サラマンドラは『獄炎の吐息』を戦闘開始時にまず放つ。つまり2ターン目以降、『アザースステップ』の使用には大きな制限がかかるのだ。『ペイントレード』も。『核熱の術式』も。『ジエンド』も。最速の2発目は、ない。
 さらに言えば、足縛りを受けたメンバーの多くは、スキルの発動を前にサラマンドラの悪逆な第2波を被ることとなる。そして『獄炎の吐息』を耐え凌いだ我々には、もはやサラマンドラの追撃を凌ぐ余力など残されていないのだ。


 絶望……! まさに絶望……!


 苦難に臨み、そして敗北を続けた我々が、唯一の勝機である『先制ブースト』の乱数に頼るべきかを真剣に検討し始めたとき、しかし、その妙案は齎された。
 すなわち、『スローステップ』を使った『ネクタル』の使用。これで一度地に伏し倒れたカースメーカーを彼岸の淵から引きずり上げ、その総身に走る苦痛を憤激の怒号に変えて、再び渾身の『ペイントレード』を解き放つことを可能とするのだ。
 『獄炎の吐息』を受けて、一度は死んでいるのだから足縛りを考慮する必要などない。そして『ペイントレード』は、サラマンドラの次の攻撃よりも確実に早く発動するのだ。


 やれる……! これならやれる……!


 我々は、胸に大きな確信を抱き戦地に向かう。そして10数度目となる火竜との勝負に挑んだのだ。
 作戦は予定通りに進んだ。『獄炎の吐息』によって撃沈するカースメーカー。地に崩れ落ちた彼を『スローステップ』によって機会を得たダークハンターが、『ネクタル』を与えて意識を呼び戻す。
 サラマンドラは『核熱の術式』と『ペイントレード』の一斉攻撃を受けて酷く傷ついている。ここでダメ押しの『ペイントレード』を叩き込むことで、この長く険しい戦いに終止符を打つのだ!
 そして満を持して放たれる『ペイントレード』。その衝撃に大地と大気が戦慄いた。


 しかし、届かない……! サラマンドラの命を削りきれない……!


 サラマンドラは、想像以上の生命力に溢れた怪物だったのだ。二度の『ペイントレード』に苦悶の表情を色濃くしながらも、なおも意識を絶やすことはない。
 またも敗北……! 誰もがそう思ったとき、しかし、サラマンドラは意外な行動に出たのだ。


 『戦慄の死声』……!


 パーティ全員に対して『呪い』もしくは『即死』の効果を与えるこの遠吠えは、誰もが予測不可能な混沌とした未来図を戦地に描き出す。多くの勇士を昏倒させ、多くの勇士を狂気に走らせたこの恐怖の旋律が、今、戦場を再び駆け巡る。


 死神が去り行き、自らの両足で大地を踏みしめていた者。
 それはドクトルマグスとカースメーカーの2人だけだったのである。


 ドクトルマグスの斬撃が走る。雷の力を湛えた聖剣の一撃は、しかし、サラマンドラの鱗にわずかな傷を与えるだけに留まる。
 しかし、それで十分だった。その時間さえ稼げれば十分だった。
 朗々と聖句を読み上げるように、自らの苦悶を紡ぎ上げるカースメーカーの姿。そして彼の放った悪意と憎悪の塊は、見事にサラマンドラの心臓を恐怖で引き裂き、その命脈を断ち切るに至ったのである。



 我々は、勝った。勝利したのだ……!



 ここに男たちの挑戦は終わった。我々が目にした軌跡。我々が目にした奇跡。そこから生まれた我々の魂の叫びを結びの一言に代えて、この物語を締め括るとしよう。




 兄上、最強!




 ……と、言うわけで試行錯誤の結果、サラマンドラの撃破に成功しました。
 あとで数値を見てみたら第3層のボスより強かったです。第4層のボスと同格かな? まだ見てないのでわからないんですが。
 ちなみに手に入れたアイテムは『焔鉄の骨髄』だったんだけど、果たしてこれはレアなのか通常ドロップなのか。通常ドロップだったら、これを何度も繰り返さないといけないことになりますなー。なんともはや。


 ちなみにダメージソースとして一番役立ったのはペイントレードでした。核熱の術式も強いことは強いんですが、耐性やステータスにかなり左右される部分があるので、特定の装備を要するこの手の戦闘ではアクセサリーによるTECの底上げが望みにくく、ダメージが限られる部分があります。
 とは言え、育ちきってしまえば、ダメージの最大値はおそらく核熱の術式や、解析込みの氷結の術式になるんだと思います。成長途上において確実に大ダメージを与えるペイントレードは、いわば「強きを挫き、弱きを助ける」性格で、その使い方は核熱の術式とは全く別モノなんですね。
 また、ペイントレードはその出の早さも特筆モノで、ボス敵に先制して撃てるのが非常にナイスな点です。ボス戦でばったり倒れてもネクタルで復活させればすぐさま一撃が撃てるのですから。この特性は冒険の途上でも非常に役立ちました。


 最後に。
 こんな無茶をしなくても、そのときが来ればサラマンドラは倒せます。きっと。なので無理をしないで冒険を進めたほうが多分、結果的には効率的にサラマンドラも倒せるんじゃないかと思います。




※ この記事は2/25に作成されたので、スキルの使い勝手等は当時の感覚で記述されています。ゲーム発売から2週間以上が経過し、今となってはサラマンドラ退治はそれほど稀有な記録ではないとは思いますが、リアルタイムの雰囲気を少しでも感じて貰えれば幸いです。