▼キミの勇者・その2

 キミの勇者、1日1話のペースで進めて今17話まで来ています。この感じだと、あと1週間もあればクリアできるかなぁ、と言ったところですかね。毎日ちびちび進めています。
 でまぁ、今の自分は、他にも中毒系のゲームを抱えているにも関わらず、放置することなくまったりと続けています。なので、このRPGは面白いんだなー、と結論付けたいところではあるんですが、いや、それはちょっと待てよ、と。手放しで「面白い!」と断言できるほど、ハマっているゲームかというと、そうでもなかったりするんですよね。非常に評価が難しいゲームではあります。
 このゲームの初見の印象、例えばテキストのたどたどしさですとか、平坦な雰囲気ですとか、その辺は、終盤に差し掛かる今に至っても実はあんまり変わってません。もうちょっとダイナミックに変化するのかな、と思いながら進めていたんですが、上級星技、覚醒星技なんかの要素が全て出切ってからもあんまりプレイ感覚は変化がないんですよね。割と平坦です。


 平坦というのは言い換えると、安定してはいるけども、ハデさ、爽快さがイマイチ足りない、ってことです。特に戦闘に際して、連携が余り繋がらない点が気になるんですよね。キャラ同士の連携が入る確率がかなり低いというか、基本的にランダムで、プレイヤーが連携の発動に関与できる部分が極めて小さいんです。
 なので、「ここで連携して欲しい!」と思ったところでも運任せの要素が凄く大きいんですよ。一方で連携なしの戦闘は躍動感に欠けて地味になりがち、通常攻撃の合間にも妙な間が入ってどうも気になります。
 もうちょっと、この辺、連携ありきのバランスでデザインしてくれればなぁ、と思う部分があります。そもそも連携のダメージ補正自体が控えめなので、連携のメリットが余り感じられないんですよね。発動、補正、共に控えめなので、見た目には非常に楽しい仕掛けなのに恩恵が少ないんですよ。
 ボス戦なんかは、連携攻撃が決まって必殺技でトドメを刺せるとメッチャ嬉しいんですが、そうやって綺麗に決まることが稀で、もう少しコンビネーションを堪能させて欲しいなぁと思うところがあります。
 せっかくの覚醒星技も打てるかどうかはホント運任せで。ダメージ自体はもっと控えめでもいいんですが、もう少し計画的に連携が出せるような仕掛けが欲しかったなぁと思います。戦闘が長引けば長引くほど連携発動率が上がるとか。連携を必ず発動させるスキルがあるとか。


 あと、戦闘以外の部分では、


・エンカウントモンスターが微妙に固くて意図が曖昧。
・オートマッピングの判定が渋い。
・経験値がゲージ表示じゃないので一目で把握しづらい。
・キャラが多すぎ。存在が空気なキャラが幾人か。
・やっぱりテキストが微妙。悪役はいい味出てるんだけど。
・パーティの目的が場当たり的で進行がグダグダ。第7話とかどうしようかと思った。


 まぁ、細かい不満を挙げようとすると、幾らでも挙げられるゲームではあるんですが、それでも自分がチクチクと進めているのは、1日30分RPGというコンセプトのおかげですね。このコンセプトを知らなかったら、どこかでパッケに仕舞ってそのままになってたかもわかりません。
 とりあえず30分だけでもプレイすれば、新たな展開が見えてくると。これが実に大きいです。
 この手のストーリー消化型のRPGは、世界樹やElonaなんかのシステム重視のRPGと異なり、プレイヤーが目的を見失いがちで、道中がダレることが多いです。なので、次の展開が30分おきにやってくる、という確約は、自分にとって物凄い安心感があるんですね。
 テンポのよいRPGでも、例えば自分は「世界はあたしでまわってる」を放置している状況です。それはなぜかと言えば、このゲームはあとどれくらい続くのかなー、という疑問の答えが見えないからで、それでなんとなく続きを始めづらかったりするんですよね。
 松下プロデューサーは、このゲームを「ゲームをクリアする楽しみを味わってもらうRPG」と言ってましたが、確かにその通りだな、と自分は思います。キミの勇者は、最初に全25話というボリュームが提示されていて、とりあえず30分だけでも進めれば、確実にエンディングに近づくことがわかっているんです。ワンプレイが軽いので、気安く電源を入れられるんですよね。この点が非常に秀逸だなと思います。


 さっきは悪い点を挙げたので、今度はいい点を挙げると、まず、ボスが強くて歯応えがあります。こまめに回復を入れないとあっさり倒されてしまうバランスで、かつこちらはバフを使ったり、連携を狙ったりする必要があって、ターンによって攻勢に出るか、守勢に回るか、戦局に波があるのがいい感じです。この辺、オールドスクールRPGのいい流れを踏襲しているなぁと感じます。


 「星の記憶」による成長要素も自分好みですね。要するにFF6の魔石のような成長ボーナスが貰えるアイテムなんですが、シンプルながらキャラの育成パターンを考慮できて楽しいです。
 あと、このゲームでは、「ありがとうレベルアップ」という、NPCやPCからの感謝の言葉を貰うことでボーナス経験値を貰えるシステムがあるんですが、この「ありがとうレベルアップ」と「星の記憶」のシステムが組み合わさると、このゲームの成長システムの意外な姿が見えてきます。
 普通にプレイする場合にはレベリングを加速する「ありがとうレベルアップ」は有益なイベントではあるんですが、一方で成長率の高い「星の記憶」が手に入るまでは「ありがとうレベルアップ」を意図的に避けてLVの上昇を抑え、「星の記憶」入手後にステータスの強化を図る、なんていうテクニカルなキャラの育て方もあるんですよね。
 まぁ、それほどパラメータの重要性が濃いゲームではないので、拘ることもできる、というレベルの話ではあります。でも、FF6で魔石入手までの低レベル進行を楽しんだ人には、こういうチャレンジの土台がある、という面白さは理解して貰えるものと思います。


 あとは、各話終了時の雰囲気ですかね。エピローグを迎えて〆の音楽が流れてくると、まぁ、展開はグダグダでも大団円の雰囲気になって、ああ、よかったよかった、みたいな気持ちになって。これは音楽の力が結構あるんですけど、1話プレイしてよかったな、次の話はどんなのかな、と毎回思えるのが、次のプレイに繋がっているように思いますね。




 まぁ、自分は計算尽くのカッチリしたゲームが好きなんですけど、このゲームはどちらかと言えば天然ボケなんですよ。なので滲み出てくる色々も、まぁ、許せるかなぁ、と思ってしまう、なんか変テコなゲームではありますね。