▼シグマハーモニクスをプレイしてます

 年末にブレイザードライブと一緒に買ったまま積んでいたソフトなんですが、昨日辺りからぼちぼち進めています。現在第4楽章までクリアー。
 明日はデビサバの発売日なので、ネットの攻略情報なんかも参照しつつ、だいーぶ駆け足はありますがクリアまでは行きたいなーと思っています。なんか噂によるとラストがモノ凄いらしいので、それだけは見なきゃなと。


 でまぁ、このゲーム、どんなゲームかというと、推理ADV+RPGです。推理ADVとRPGとどっちも好きな自分にとっては実にワクワクするコンセプトではあるんですが、一方で「推理ADVとRPGをどうやって合体させるんだ?」という素朴な疑問も湧いてきます。
 物凄く平易に言ってしまえば、このゲームは「推理が間違ってても戦闘に勝てばOK!」なゲームです。言うなれば東京フレンドパークで、アトラクションに失敗してもダーツさえ当たればOKみたいな感じで、推理が正しければ戦闘がラクになるし、推理が上手く行かなくてもLVさえ上げれば先に進める仕組みになっています。これはなるほど、発想としては面白い試みです。
 ただまぁ、実際には推理ADVとRPGの二つの要素を取り込もうとして、どっちつかずなゲームになってしまった点は拭えないなと思います。確かに二つの要素が補完的にガッチリ組み合えば理想的なゲームになるとは思うんですが、推理ADVの爽快感もなければ、RPGの数値を弄る楽しみも薄く、広げた風呂敷を上手く畳み切れなかった印象があります。


 このゲーム、ゲームとしての最終的な目的は「殺人事件を解決する」に収斂されるのですが、そこに補完要素として戦闘による解決を持ち込もうとすると「力尽くで事件を解決する探偵ってどんなのよ!?」という当たり前の不都合が浮び上がります。そこに何とか整合性を持たせるために「加害者に殺意はないよ! 全部逢魔のせいなんだよ!」という理由をくっつけて、さらに「逢魔を倒せば解決するよ!」「逢魔が見えるのは探偵だけだよ!」「探偵も登場人物からは見えないよ!」「証拠は過去の記憶から読み取るよ!」なんて設定を次から次へとくっつけていけば、元々平屋建ての一軒屋に増改築を施すようなもので、傍目から見て歪な外見になるのは目に見えています。
 推理ADV部分に関しては、このゲームはパズルそのものなんですね。主人公と登場人物の接点が切り離されているので、お話の中の事件を解決するような雰囲気で、なおかつ動機は「逢魔がそそのかしたから」に集約されているので、動機を探る意味も必要もないんです。
 まぁ、多少違和感はありますが、ハウダニットに徹するならそれも一つのスタイルではあるのでしょう。推理クイズと同じ要領と言えばそうですしね。
 ……とか腹を括ると今度は「逢魔のせいじゃないよ! 加害者には元々殺意があったんだよ!」なんて理由を持ち出してきて、それはどうにも二重基準なんじゃないかなぁと思えてなりません。逢魔を存在させなきゃならない縛りがルールを酷く曖昧にさせていて、それというのも推理ADVにRPGを組み込まなければならなかった歪さに何よりの原因があるように思うんですよね。
 そういう意味で、このゲームは物凄くイビツです。推理小説を書いてる人がトリックの矛盾を潰すために次から次へと矛盾を連鎖させてしまうのと似ているというか。結果的に一挙両得を狙おうとして二兎を逃している感じです。


 まぁ、ここまでエラく言ってきましたけど、雰囲気は凄くいいんですよ。音楽はメロディアスで聞き応えがありますし、SEも豊富で軽快ですし、登場人物も美人で腹黒そうな奥さんとか仮面の執事とか意固地な老婆とかいかにも怪しげで魅力的です。あ、でも、当主は清潔感ありすぎでどうかなと思うです。もっと金満オヤジがよかったなぁ。ミステリ的に考えて。
 ミステリ者がワクワクするプロバビリティの殺人とか死体消失とか密室殺人とかのテーマもふんだんに盛り込んでますし(まぁ、ロジックはヘチョいですけど……)、謎の提示とか雰囲気作りは結構いい感じだと思います。
 あと、今作のメインである超推理は楽しいですね。集めた刻音(証拠)を元に推理を構築して真実を解き明かす。推理の流れを詰め碁のように視覚的に表現してみせたのは、これは今までになかったやり方だと思うので、ここは凄く評価したいですよ。推理部分は確かに面白いゲームです。


 ただまぁ、超推理も、一度置いた刻音をアンドゥできなかったり、再挑戦のためには一から手順を踏まなければならなかったり、調律の演出がカットできなかったり、あらゆる面において快適性からかけ離れた作りなのは面倒なんですよね。まぁ、ユーザに総当りで推理させないようにしようという考えなのかもしれないんですが、一発で完璧な正答を狙うのは難しいので、やはり何度か挑戦を繰り返さざるを得ないとは思うんですよね。
 自分は難しい推理はアリだと思いますよ。ただ、推理を難しくするなら手軽に再挑戦できる作りにしないとバランスが取れないかなと思います。折角セリフパターンも色々あるので、試行錯誤を楽しみたいですよね。


 あとはまぁ、調音査が面倒くさいですね。イチイチ移動して、メニューを出して、コマンドを選んで、画面が切り替わるのを待って、怪しいところをタッチして…… というのを延々繰り返さなきゃならないんですよ。
 これはねー、移動と調査をシームレスで進められなきゃいけなかったと思うですよ。十字キーで移動、タッチペンで調査、みたいなスタイルで。
 でも、縦持ちで十字キー+タッチペンは保持がキツいので、そうなると横持ちにする必要がありますかね。DSの縦持ちってグラフィックを大きく表示できることが大きな利点なんですが、このゲームに関してはグラフィックの表示に力を入れる前に快適性の確保が必要だと思います。
 オープニング一つとってもですね、1枚絵が多くて、あー、グラフィックに力を入れてるんだなーってのは、まぁ、わかるんですが、一方でオープニングがかなり長くて、いつになったらゲーム始まるんだろ、みたいな部分は凄くありまして。その辺ねー、携帯機としてコンセプトを見誤ってるんじゃないかなーとは常々感じます。


 まぁ、自分は攻略サイトを参照しながら進めてるので、調査関連の面倒臭さはカットしつつ、超推理の醍醐味だけを存分に堪能しています。面白いところと面倒なところと両方があるソフトなので、面倒な作業を効率的に切り落とせる要領のよさがあれば楽しめるソフトだとは思います。逆に「攻略情報は一切見ない!」という人にとっては、かなりストレスを感じるゲームではないかなとも思いますけどね。
 まぁ、一個のゲームとして見ると、とにかく仕様のツッコミどころが多すぎて(今回触れてませんけど、戦闘もシステムが凄く見掛け倒しな感じ)、なんでこんなゲームになっちゃったんだろう、と首を傾げる部分が多いです。でも、遊べないかと言えばそうでもなくて、この先どうなるんだろうかと興味深く進めています。
 それは単純に自分が雑食なだけなのか、安く買えたので心に余裕があるのか、色々と前情報を仕入れていたので耐性があるのか、解剖する意図で触れているからなのか…… 多分、全部だと思いますけど、まぁ、なんでしょうね、言うほどヒドくはないな、遊べてるな、というのが今のところの感想です。一言で言えば奇ゲーですね。まさしく奇ゲー。この呼び名がこれほど相応しいゲームも珍しいなぁと思います。