▼デスティニーリンクス・その2

 いやぁ、デスリンはテキストが凄くいいですよ。自分は凄く好みですね、このセンス。
 デスリンは基本的に主人公が無口なドラクエタイプのRPGなので、セリフがあるのは専ら町の人だけなんですが、テンポが軽妙でなおかつ台詞回しが凝っていて面白いです。風俗文化が細かく設定されていて、物語の舞台の生活様式を鮮やかに想起させてくれますし、なおかつ住民の抱える様々な悩みをクエストに無理なく結び付けてくるのが上手いなーと感じます。
 全体的に雰囲気は児童書のようなほんわかとした空気なんですが、それでいて子供っぽさを過度に感じさせないキレのよさが秀逸ですね。どことなくポケモンに近い雰囲気のテキストかな。漢字が少ないので、全体を通してやや読み辛い部分はあるんですが、まぁ、これはしょうがないところかなと。
 全体的にテキストは上質で、お話もいい話が多いんですが、特に二つ目の島のメインクエストは何気にいい話でちょっとウルッときました。まぁ、最近ですね、年を食ってきたせいか、この手のちょっといい話には滅法弱いんですよ、自分は!
 傭兵稼業が怖くなって逃げ出したある一人の少年と、彼を助けて匿っている小人のお話。主人公が小人の島に上陸したことで、小人は少年を捕まえにきたものと勘違いして…… という流れで、まぁ、なんでしょうね、小人と少年の間に生まれた友情のお話ですね。
 なんか、このゲームの登場人物はみんな優しいんですよね。あー、心が潤うわぁ。まぁ、直前にプレイしていたゲームは悪魔だ神だ殺し合いだと殺伐としたやり取りが続いてたので、反動的に安らぎが恋しくなることもありますよ。


 でまぁ、テキストは凄くいいんです。いいんですが、フラグを立てるために何度も洞窟に潜らなきゃならないのが正直面倒です。
 まぁ、お使い要素のあるゲームだと話は聞いていたので、ある程度の心構えはありました。まぁ、3回くらい同じダンジョンに潜るのならどうってことないなーと。そんなに奥行きはないですしね。
 しかし、5回も6回も潜ってると、さすがに「え、また潜るの!?」みたいな気持ちになってゲンナリします。この先何回潜ればいいんだろう、みたいな気分にもなりますし、さすがに飽きが来ます。
 基本的にこのゲーム、LVの概念がなくて装備の強化で成長するゲームなので、装備を作るための素材さえ揃ってしまえば、もうダンジョンに潜る必要って特にないんですよね。なので更なる強敵と良装備を目指して次のダンジョンに向かいたい…… のですが、メインクエストをクリアしない限りは次のダンジョンが開放されない仕様なので、クエストをクリアするまで何度も同じダンジョンを徘徊することになります。これは凄く残念な部分ですね。
 仮に経験値やLVの概念があるなら、洞窟巡りも経験値稼ぎの一環と捉えることができたと思うんです。それがないので、洞窟を歩く無為を埋められないんですよね。
 ただ、LVを廃止するという割り切った仕様は、これはこれでアリだと自分は思うんですよね。その分、装備が強化された際のパワーアップぶりが明瞭なので、成長の喜びを強く実感できますし、素材を集めきったらサッと次の洞窟に向かえる足回りの軽さも利点です。
 ダラダラと経験値稼ぎを続けて緊張が弛緩してしまう、RPGにありがちな停滞感を回避して、ユーザーを先に誘導するための仕組みとしてはLV廃止は一つの選択だとは思うんですね。この手のゲームはとかくテンポが肝心ですし。
 ただ、進行をクエストに縛られてしまうと任意のタイミングで次のダンジョンに行けないので、進行のテンポ、スピード感が失われてしまいます。そこがLV制廃止の長所と噛み合ってなくて、ギクシャクした感じを受けますね。
 一つのダンジョンを何度も遊ばせるのは、多分用意されたダンジョンの数が限られているせいだとは思うんですが、ストーリーやクエストは、ゲーム進行に従属する立場でよかったんじゃないかなと思います。「もっと先に進みたい!」と思っていても、ゲーム側にそれを制限されてしまうのでは気が削がれてしまいますしね。


 という感じで、このゲームは何度も同じダンジョンに潜ることになるので、武器を色々と持ち替えて、それぞれの性能を試すのが面白いのかなと思います。普段は自分は片手剣や飛び道具の化学書を使っているんですが、両手武器に取り替えたらこれまでとはまるで違う触感が楽しめました。
 このゲームは、炎氷電打斬突の6つの属性がありまして、モンスターは必ず一つ以上の属性の弱点を持っています。弱点にあった属性で攻撃するとモンスターに大きなダメージを与えられるのはこの手のゲームのセオリーですが、デスリンではさらにドロップする素材の数が2倍になります。
 で、モンスターの属性を突いてザクザクと素材が手に入るのが凄く気持ちいいんですよ。モンスターをテンポよく倒せておまけに素材も沢山手に入るので、属性を考慮した武器選択はかなり重要ですね。
 ダンジョン内に生息するモンスターはそれぞれ弱点が異なるので、どのモンスターに注力するか、どのモンスターから素材をゲットするかでプレイヤーの選択が問われます。「このダンジョンの敵は大体火に弱いから火炎瓶を持っていきたいけど、中ボスは打撃に弱いからハンマーのほうがいいのかな」みたいな。ダンジョン内では装備が変更できないので、前以って踏破のプランを立てて武器を選択する形になります。
 最初は「道中で武器を変更できないんじゃアクションの幅が狭くて面白くないんじゃないかなー」と思ったんですが、実際にプレイしてみると、武器の選択次第で進み方に差異が生まれるのが面白いです。不利な敵はスルーして、有利な敵だけ相手して素材を集めるとかね。有利不利を見極めて死なないための立ち回りを考える、というのがいかにも傭兵っぽくて自分は好きですね。


 クエストを幾つかこなしたことで、ようやく船を改造できる資金が溜まりました。船はグレードアップの種類によって購入できる武器が異なるので、どの船に改造するかは迷いまくりです。片手剣がやはり使いやすいように思うので、強い片手剣の買える船がいいのかなぁとか、いや、このゲームは属性の相性が重要だから沢山の属性をフォローできる化学書が買える船いいのかなぁとか。
 とりあえず自分はガンナースキーというか、飛び道具スキーなので、化学書メインで船を改造することに決めました。ちょうど改造費用を抑える特殊能力を持つNPC船大工を雇えたので、タイミング的にもここだ、と言う感じで。
 とりあえずはそんな感じで3つ目の島まで進めていますです。火炎瓶便利だわー。