▼4月28日は428の日

 4月28日は428の日! というワケではないんですけど、428を遊んでいます。もう大分後半で主人公の一人はシナリオが終わっちゃいましたけど(え、ここで終わるの? とビックリした)、ここから一体どうやって纏めるのかワクワクしながらプレイしています。
 多分、多くの人が428をパッと見たときにまず感じるのは、実写に対する抵抗感だと思うんですが(ゲームと実写ってあんまりいい思い出ないしね……)、元々体験版で実写の負の先入観がスッパリ抜け落ちていた自分にとってはその辺はまったくノー問題でした。その上でじっくり腰を据えて遊んでみると、今度は実写ならではの魅力、実写と非現実性のギャップが面白く見えてきましたね。
 コスプレ刑事の笹山なんてのはまさにその具体例で、これをCGで表現したらなんだかんだで「これもあるな」と納得できてしまうと思うんですよね。一目見て「これはありえんわ!」とツッコミを入れざるを得ない強烈な不条理さ抜群の絵面こそが実写の魅力であると自分は思っています。



 ええとまぁ、触れたいことは山ほどあるんですが、全部を網羅すると余りにも冗長になってしまうので、テーマを絞ってテキストについての感想をちょっと書き出してみたいと思います。やっぱりテキストはサウンドノベルの背骨となる部分ですからね。
 全体的な印象としてはテキストは簡潔にして直截。ゲームのテキストとしてはある意味一つの理想系だと思います。これだけ要を得て平易に読めるテキストってなかなか他所では見られないと思います。
 テキストだけを抜き出すと割と飾り気のない文章にも見えると思います。ですが、脇を支える音楽と映像が文章表現では冗長になる様々な事象を瞬時に提示してくれるおかげで、428はテンポよく渋谷の風景を描き出せているんですね。これぞまさしくサウンドノベル
 個人的に目を見張ったのがテキスト表示の速度の細やかさです。基本的にこの手のノベルゲームはプレイヤーがテキスト表示のスピードを変更できるのですが、428にはそうしたオプションが一切ありません。とは言え、それでリズムの悪さを感じることは一切なくて、むしろテキストの緩急を自由自在に操ることで平易なテキストに様々な情感を篭める手法に巧みさを覚えます。表示されるテキストは同じでも緩急をつけることで全く違った艶が出るんですね。熟練のピアニストのような手練です。
 428は「間」が絶妙なんですよね。読み手のリズムを崩さず、なおかつテキストに表情をつける。口で言うのは容易いんですが、両者を並立させるための調整は非常に面倒でなおかつ困難です。同じ効果を得るだけならフルボイスにでもした方がよっぽど簡単なんですが、そこを敢えてテキストによる表現を突き詰めた開発者の熱意に、自分は惜しみない賞賛を送りたいですね。テキストの表現力の追求は、小説でもドラマでもない、サウンドノベルというジャンルのオリジナリティを確立するための一つの命題だったのかなとも思えます。



 個人的にお気に入りな実写で笑えるシーン


 幸運を呼ぶミラクルストーンを手にしてのフリーライターの呟き。実写というか特撮の領域ではありますが。


 個人的にお気に入りな簡潔なテキスト



 説明など不要! 奇跡は起きたと言ったら起きたんだよ! という潔さがステキ。


 個人的にお気に入りな「間」



 犯人を泳がせろと言う本部の指令に逡巡する刑事二人。改ページに挟まれた一瞬の間にコスプレ刑事笹山の迷いと決意と覚悟が表現されています。



 それにしてもこのタイミングで豚インフルエンザが騒がれてるのってなんかタイミングよすぎないかーと思ってしまうのがなんかアレです。パンデミックの怖さがなんか肌身に感じられてイヤン。