▼プチゲームとしての完成度を求められる時代へ


 今回のネタは、くにおくんシリーズでは最も著名な作品であろう熱血行進曲のモードの一つ、勝ち抜き格闘です。いやー、このゲーム、よく友達と遊びました! 小学生の時だけじゃなくて、中学の時は中学の友達と、高校の時は高校の友達と遊んでね、誰かしら遊び相手がいるという意味では重宝なゲームでした。


 今回はプチゲームのフォーマットである4秒の制限時間で一体何ができるか、について強く意識して製作に取り組みました。ゲームの主題の切り取り方から、ゲーム部分と演出部分の比率など、4秒間に適したスタイルを模索したつもりです。
 ゲーム要素だけを抜き出してみると、やっていることはタイミングよく画面にタッチするだけのものです。今までのプチゲームに比べると相当シンプルな作りだとは思います。
 ただ、プチゲームのゲーム性ってそれぐらいが最適なんじゃないかな、と最近では思うんですよね。(連打ゲーを除いて)4秒のプチゲームであればタッチ3回程度、8秒のプチゲームであればタッチ5回程度の操作に纏めるとプチゲームらしさが出るんじゃないかなと。
 勿論、それ以上のタッチ回数を盛り込むことも可能ではありますが、余りに操作が忙しくなるとスピードアップした時に無理ゲーになります。プチゲームとしての普遍性を獲得しようとする場合、操作は可能な限りシンプルに纏めるのが無難なのかなと自分は思います。


 そんなワケで動画を公開してみると、再現性やバランスに対する疑問は(今のところ)皆無で、指摘を受けたのはルールがわかりにくい、という一点のみでした。いやー、このコメントはまさに膝を打つ内容で、こういう意見が貰えると動画を公開してよかったなと心底感じます。
 まぁ、ルールがわかりにくいよなー、というのは自分でも自覚のある問題点だったんです。そもそも、元の熱血行進曲からして、爆魔龍神脚の操作方法ってかなり手探りで探していたような記憶があります。なんかガチャプレイしてたら飛び膝蹴り出したよ、みたいな。そこから様々な試行錯誤を当時は繰り返していましたね。
 着地したタイミングでボタンを押したら技が出る、という動作が、例えばボタンを押したらマリオがジャンプする、という動作と比べて一段ややこしいのは確かです。もっと言えば、そもそもそんな操作方法があることにプレイヤーが気づかない可能性さえあります。操作に挑戦する機会さえ与えられずに失敗扱いされてしまうのは、さすがにいい気持ちがしませんよね。
 なので、この手の面倒な操作のゲームはプレイヤーの誘導が必要不可欠なんです。それを怠ったのは、まぁ、面倒くさかったのが一番の原因ではあるんですけども、このコメントを貰って、元の作品のコピーで満足するか、それとも良質なプチゲームを目指すか、どっちを選ぶか問われているような気分に自分はなったんですね。それじゃ、これはもう挑戦するしかないだろうと。


 ってことで、手元にはその辺を調整したバージョンがあります。タッチが必要なタイミングでタッチを指示するアイコン(のようなもの)を表示させてみました。
 まぁ、元々そんな指示はないゲームなので、絵的には統一感が薄れてちょっとウルサい雰囲気はあるんですが、ゲームの意図はこれで伝わりやすくなったかなと思います。あとは公開したバージョンでは伝わりづらかったゲームのランダム性についても明示的にしています。
 具体的に言えば、公開バージョンではさおとめは時間ランダム指定で移動を開始するのですが、現行バージョンではゲームスタート時から移動を開始して途中3分の1の確率で一時停止します。このフェイントに気づかずに爆魔龍神脚を出してしまうと逆にオーラパンチで落とされる羽目になります。


 いずれの件でも共通して言えることは、ゲームの意図をプレイヤーに伝えるために作り手は最大限の努力を払う必要がある、ということです。特にルール周りに関しては元のゲームを遊んで貰った人にだけ理解して貰えればいい、という段階から脱皮できるとより普遍性のあるゲーム作りができるように思います。
 その辺、元の作品の再現性さえ確保していればオーケーというのではなく、もっと普遍性のあるゲーム作りを作り手が要求されるようになったことから、メイドイン俺を取り巻くユーザの意識の水準が一段階進んだな、という実感を自分は覚えます。良くも悪くも既存ゲームのコピーが氾濫して、受け手の目が肥えたってことなんでしょうね。これからの展開が楽しみになってきました。