▼逆転検事、1話目をクリア

 逆転検事買って来ましたよー。安かったのでついでに采配のゆくえも買ってきました。
 とりあえず1話をクリア。全体的な印象としては、妙に掴みが弱い点が気になりましたね。
 蘇る逆転の追加5話にしても、逆転裁判4にしても、オープニングの演出がえらく凝ってて自ずと期待感が高まったんですけど、検事は割合アッサリとした導入でワクワク感が内から沸いて来ない感じですね。
 まぁ、最近メイドイン俺で忙しくて、本作の発売日を指折り数えて待っていた、という状況ではないもので、割と心情的に起伏に乏しい状態でゲームに触れたせいもあるかも知れません。あと、今回はスピンアウト作品ということもあって、期待感が本編と比べて差っ引かれている部分もあるかなと。


 今回はゲーム画面が従来の一人称視点から、三人称視点に変わったのが大きな特徴ではあります。カプコン的に言えば、ファイナルファイト的な視点と操作というか。
 三人称視点への変更は自分自身が感覚に慣れないこともあるのか、ややデメリットが目につきます。一人称視点で多用していたキャラ絵のバストアップが、今回は5〜6頭身のドット絵に置き換えられているのですが、キャラの動作が細かすぎてちょっと分かりづらいなという気がします。
 細かく描き込まれたドットアニメは自分の好みではあるんですが、全体的な挙動が小さくてアクションが地味になりがちなんですよね。バストアップ絵では表情の変化がアクションの要となりますが、ドット絵の場合はバストアップほど表情の変化を表現できないので、メリハリのある全身の動きが重要になります。これは言ってみれば、映像と舞台で演技の特性が異なるのと同じようなものでしょうか。
 元々、逆転裁判は大袈裟でわかりやすいリアクションが楽しいゲームなので、感情表現としてのアクションの重要性もよく理解しているとは思うんですけどね。個人的にはもう少し戯画的な表現に特化してもよかったような気がします。逆転検事はそれが許されるゲームではありますしね。


 逆に三人称視点でのメリットとしては、マップの構成がわかりやすくなった点が挙げられるでしょうか。カメラが一歩引いたことで、より情報を客観的に把握しやすくなったのは、今後、マップが複雑化すると地味に強みが活きてくるように思います。
 逆転裁判は今まで古典的なマップ構成が伝統的に続いていて、各マップの繋がりがわかりにくく、移動が面倒だという問題があったんですよね。今回の視点変更は、そうした問題に対する一つのアプローチなんだろうなと自分は考えていますが、さて、この変更がプレイアビリティにどんな影響を及ぼすかは今後の注目点ですね。
 個人的にはマップ構成を活かしたトリックなんかがあると嬉しいですね。システムとゲーム性が噛み合う仕組みがあれば、今回の仕様は好判断と言えるんじゃないかなと思います。
 あと、百戦錬磨の天才検事が主人公なのも三人称視点を選んだ理由としてはあるのかなー。何の経験もない新人弁護士をプレイヤーが自分自身と重ね合わせるのは簡単ですけど、今回はプレイヤーと主人公で乖離がありすぎますしね。だったら、三人称視点を採って眺めるプレイに徹底した方が物語をよりわかりやすく見せられる、と開発側は判断したのかもしれません。


 テキストに関しては、今回はタクシューさんが書いてないと聞いていたので、ややおっかなびっくりでゲームを始めたんですが、思っていたよりも自然で違和感は覚えないですね。御剣はこんなに「うム」って言ってたっけ? ぐらいなもんです。
 1話目なのにシリーズ経験者向けのネタがこれでもかとばかりに詰まっていて、既存ファン向けのカードを切る早さにビックリします。既存ネタはまぁ、鉄板の面白さはあるんですが、やはり意外性には欠ける部分があるので、カードをあらかた出し終えて、さて、ここから逆転検事ならではの新しい引き出しを見せてくれるのか、それとも既存のシリーズのネタで食い繋ぐのか、ブランド性の維持拡大を期待できる潜在能力があるのかどうかは興味深いところです。


 新システムのロジックは、地味ではありますけど簡潔で目的を視覚的に表現してくれるのがいいですね。これまでのシリーズでも、探偵パートを肉付けするための新システムを色々と試行錯誤してきましたけど、これが一番地に足のついたシステムじゃないかなと思います。
 まぁ、今のところは使い方が地味ではあるので、ロジックならではの面白い仕掛けが出てくるとなおいいなといったところでしょうか。今のところは会話なり選択肢なりで代用できるシステムの域を脱していないようにも思うので、今後うまい活かし方を見せてくれると嬉しいです。


 今回、検事側の立場ということもあって、尋問は法廷じゃなくて現場で行われるんですけども、法廷じゃないのが妙に寂しいというか、木槌の音とかザワザワがないと締まらないなーという印象がありますね。もう少し緊張感が欲しいです。
 バストアップ絵を通常の会話シーンと尋問シーンとで共用していることや、一人称から三人称への視点の変化がないので、尋問がどうしても通常会話の延長線上に感じられるんですよね。探偵パートと法廷パートといった明確な落差、メリハリが薄いんです。
 あと、緊張感に欠けるのは、新しいBGMに自分が慣れていないせいもあるのかも知れないですね。尋問も終盤になるとアップテンポのBGMがいい感じでテンションが上がるんですけど、序盤のBGMはなんだかノレない自分がいます。


 最初の容疑者は、あー、らしいなー、という感じ。また○○か、という気持ちも多少ありましたけども。執務室前にアレを持ち込んでいたり、退場まで爽やかだったり、随所で笑える部分もありましたけど、インパクトはさほどでもないかなーという。


 とまぁ、そんな感じで全体的には第1話は従来のシリーズと比較してもイマイチピンと来ない内容に感じられました。第2話から面白くなってくるとの話も聞くので、まぁ、今後に期待ですかねー。
 でも、小出しで伏線を張ったりと、丁寧に第2話に興味を繋げていく辺り、手際のよさを感じます。第1話の事件を皮切りにして、以降の話ではより大きな事件が起きる、という構成は今までのシリーズとも共通したやり方ではありますが、連続性があるとやっぱり期待が膨らむんですよね。
 逆転裁判逆転検事とで相違点もだいぶ多いので、それに戸惑ってなかなか集中できない部分もあったように思いますが、物事の矛盾を探し出して指摘し、真実を探り当てていく楽しさは今回も健在です。第1話なのにいきなり詰まったりして、大分推理力が衰えているようにも思うので、気を張って集中してプレイに臨みたいですね。