▼初のシューティングに挑戦してみる

 自分はSTGについては興味はあるけど触った経験は薄いというユーザーで、濃いシューターの薀蓄話とか聞いてるだけでワクワクしますけど、じゃあ実際に触ってみようかとなると敷居を感じてしまってそれっきり、ということが少なくありません。最近(?)だとゲームセンターCXのシューティングは面白かったですけどねー。
 多分、STGに堪能な世代って自分よりもうちょっと上のアーケードゲーム世代とかなり被っていると思うんですよね。FCの普及にはゼビウスの移植が一役買った、なんて話を聞いたことがありますが、当時ゼビウスがユーザーにどんなインパクトを与えて、どんな影響力を持っていたのか、皮膚感覚では理解できない部分があったりします。遠藤雅伸さんの作ったゲームと言えば、ケルナグールですよ。そんな世代。
 そんな自分がちょっと昔を思い返してみて、面白かった縦STGってなんかなかったかなーと考えたところ、真っ先に浮かんだのが、今回再現してみた爆笑人生劇場のミニゲーム、正式名称はよく知らないのですが、数学テストでした。



 この数学テスト、ちょっとルールが複雑で、出てきた敵を手当たり次第に倒せば点が貰えるというシステムではないんですね。ABCDEの5種類の敵をアルファベット順に撃つことで初めて得点が得られるというルールなんです。
 例えば、A→B→Cの順番で撃つとちょうどアルファベット順なので30点ゲット。B→B→Bの順番で撃つと2番目のBだけアルファベット順と合致するので10点ゲット。C→B→Aの順番で撃っても2番目のBだけ得点が入って10点ゲット、というような感じです。伝わるかなぁ。
 当時はその辺のルールがよく理解できなかったので、全然得点を稼げないわ、すぐやられるわで、「なんだこのクソゲー!」と子供心に思っていたものです。このミニゲームがプレイできるテストのマスはハズレというのが自分たちの共通認識でした。
 ただ、一端ルールが飲み込めると、攻撃に出る時期と回避に専念する時期と見極めがついて俄然面白くなるんですよね。Aを打ち落としたい時は敵の編成がAAAになるまで回避に徹する、なんていう駆け引きの要素があるんです。
 また、敵は自機に対して弾を撃ってくるのですが、敵の弾はこちらの弾で相殺することができます。これは逆に言えば、うまく敵めがけて弾を撃っても敵に弾で相殺されるという意味でもあって、いかに敵の弾を避けつつ自分の弾を命中させるか、STGの二大要素である「当て」と「避け」が巧みに織り込まれていたんですね。この辺はさすがにインベーダーを世に送り出したタイトーの本領発揮といったところでしょうか。この数学テストも敵の文字の挙動がどこかインベーダーっぽくて、タイトーSTGの系譜を感じさせてくれます。
 ちなみに今回のプチゲームでは、そんなインベーダーの系譜を考慮してナゴヤ撃ちができるようになっています。最接近した敵をドガガガガッと撃ちまくる逆転性と爽快感がナゴヤ撃ちの肝ですね。
 まぁ、ゲームのルール上、敵の編成がABCのパターンでないとナゴヤ撃ちは有効ではないので、使う機会は限られていますけどね。あと、最下段でも敵は弾を撃ってくるので、連打しないと押し負けます。



 爆笑人生劇場は、個人的には思い出深いソフトですねー。なんか反応が薄いところを見ると、あんまりメジャーなソフトではなかったみたいですけども。
 当時、自分は小学校3年生くらいでしたかねー、友達と一緒によくこのゲームを遊んだんですけども、1プレイが長かったもんで、なかなか最後まで遊ぶことができませんでした。でも、このゲームの面白さって序盤中盤の勉強、就職、恋愛、結婚にあって、後半は割と大味な部分もあるので、それでも十分に楽しめたんですけどね。
 数学テストは大学入試で必ずクリアしなければならないミニゲームだったので、当時は大学入学自体が稀でした。まぁ、大学に入学したからと言って、必ずしも有利になるワケでもないんですけどね、このゲーム。
 当時はプロ野球選手とか歌手が学歴要らずの花形職業で人気だったように思います。自分はなんか、高校卒業で板前になることが多かったような……


 内臓のミニゲームと言えば、「あるかのいど」も凄かったですね。あるかのいどはパワーアップカプセルを除いた純粋なブロック崩しなんですけど、「1つのゲームで2つも3つもゲームができるなんてなんてお得なんだ!」と当時は思っていました。「アルカの井戸ってなんだ?」と思っていたこともありました。
 今はミニゲーム盛り沢山のゲームでも、あんまり感動を覚えなくなってしまって、なんというか随分舌が肥えてしまったんだなぁという気がします。
 このゲームが楽しかったのは、先ほどちょっと触れましたけども「当て」と「避け」のバランスがとてもよかったからだと思います。「当てようとすると弾を食らう」「弾を避けようとすると当てられない」という二律背反をプレイヤーに突きつけて、プレイヤーはその矛盾をテクニックで解決するという構図が凄くゲームらしい面白さを与えてくれたんじゃないかなと。
 二律背反はゲーム性を考える上で凄く有効な考え方です。遠藤雅伸さんはドルアーガの塔について「1ボタンによる「攻撃」と「防御」の二律背反をテーマにしていた」と語っていたことがありますが、この考え方は実は物凄くメイドイン俺とマッチするんです。
 自分の作ったプチゲームに関して、ゲーム性について高評を貰うことが時々あるんですが、多分、それは二律背反を意識してルールを作っていることが一つ理由としてあるんじゃないかなぁと自分は思っています。