▼レギンレイヴをクリアしました

 オフノーマルでざっと32時間。割と時間がかかった方だと思います。
 時間がかかったのはひとえに体力を成長させずに戦っていたためです。体力を増やすタイミングをなんとなく掴めないままに気づいたら後半に突入していたので、もうこうなったらデフォ状態でクリアしてしまえ、と。意識していたワケでもないのに、なぜか縛りプレイを自ら課していました。
 去年のメガテンSJでもデビルソース無使用のままエンディングまで行ってしまった経験があるんですが、この手のナチュラルな縛りプレイは第一に「ここで使うのは勿体無い!」という気持ちから始まってしまうようです。「体力成長に結晶を使うなら次の武器を作った方が効率的だろう!」的なピーキーな考えをするんですね。
 実際はバランス良く成長させていく方が詰まらなくて済むと思います。特に終盤の敵の攻撃の激しさは結構なもので、1発食らうと体勢を立て直す暇もなく死亡というパターンも珍しくないんですよね。特に後半のデカいザコ敵が遠近両用かつ広範囲高精度な攻撃を放ってくる鬼畜ぶり。2体以上出てくると速攻で各個撃破しないと詰みます。
 レギンレイヴはゲーム的にもシナリオ的にも圧倒的な戦力差に苦しめられる状況が続きます。持ち込む武器を吟味して、敵の配置を覚えて、あとは「腕よモゲろ!」と言わんばかりにリモコンを振り回す。絶望的な難局を己の気概と(文字通りの)腕力で切り開いた時の達成感はもう筆舌に尽くし難いですね。敵の範囲攻撃を神速移動で避けるときとか、長剣の連撃で敵を仕留める時とか必死でリモヌン振ってますよ。一体感が凄いです。


 レギンレイヴはとにかく攻撃を当てた時の気持ちよさが素晴らしいゲームなんですよね。ありとあらゆる工夫を注ぎ込んでいると言うか。
 最も特徴的なモーションコントロールの活用法もそうなんですが、リモコンスピーカーから響く斬撃音の存在は非常に大きいです。リモコンから手に伝わる振動と音で斬撃の確かな手応えがあるんですよね。これはやっぱりWiiでしか遊べないゲームなんです。
 一見して引いてしまうほどの大量の流血も、斬撃の爽快さを後押しする演出の一つなんですよね。あれって要はロボットが爆発するのと一緒なんです。ロボットゲーで敵ロボットを破壊した時、爆発がなかったら凄くモヤッとすると思うんです。わかりやすい「おしまい」の表現が必要なんですね。
 で、だったらロボットゲーにした方がよかったんじゃ……と思いつつ、そうなると今度はもうひとつの重要な要素、部位破壊と部位の再生に引っかかるんですね。自然に腕やら足やら生えてくるロボットというのはちょっと想像しづらいですし、部位破壊はレギンレイヴのゲーム性を語る上で極めて重要な役割を持ちます。


 部位破壊って要はダーツと同じで、的に矢が刺さるにしても刺さった場所によって得点が異なる点が重要なんですね。的に矢を当てるのは簡単でも、高得点を取るのは難しい。初心者はまずは的に当てることに注力して、慣れてきたら今度は高得点を狙っていく。段階的な学習が自然に行える仕組みなんです。
 レギンレイヴでは、何も考えずに遮二無二剣を振るうと反撃を受けてしまいますが、狙い済まして四肢を切り落とすと敵の行動をキャンセルできてずっとこちらのターンが続きます。おまけに部位破壊に成功すると追加の結晶が貰える特典もありますし、部位破壊がとにかくお得なゲームになっています。
 そして、部位破壊を活用するゲームデザインのために敵キャラはデカくなければなりません。やっぱりその方が見栄えがしますし、強大な敵が相手じゃなければ搦め手を駆使する意味合いも薄れてしまいます。


 あと、3Dアクションゲームって実は巨大な敵と戦うのに凄く適したジャンルなんです。これは逆に2Dで巨大な敵と戦う場面を想像してみるとわかりやすいんですが、2Dで巨大な敵と戦うゲーム、アクションでもシューティングでもなんでもいいんですが、これらに共通した欠点は「狭い!」ということなんですね。自機が動けるスペースが極力限られている。窮屈で自由度がなく、自ずと攻略法が限られてしまいます。
 その点、3Dの場合、縦軸と横軸の他に奥行きがありますから、巨大な敵が画面いっぱいを占領してもまだまだ自由に動く余地があります。また、敵の攻撃を避けて懐に飛び込む、ピンチをチャンスに変える逆転性を盛り込みやすいのも3Dの長所です。


 また、巨大な敵の長所は、カメラから逃げにくいということです。3Dゲームはカメラをどう動かすかが重要なファクターなんですが、これが小さい敵だとカメラから逃しやすいですし、早く動く敵だと尚更に難しくなります。
 レギンレイヴの敵キャラの基本形は「デカくてノロマ」です。なので凄くカメラに捉えやすい、3Dアクションに適したコンセプトと言えますね。逆にデカくもノロマでもない敵にはイライラさせられることもありますが…… この辺のイライラを解決する上でFPSは合理的なシステムなんですが、レギンレイヴも槍やら氷の杖やらの射撃系の武器を使うと戦い易いことが多いですね。


 レギンレイヴは一言で言ってしまえば「巨大な敵を斬る」ゲームです。なぜ巨大な敵と戦うのか。なぜ3Dアクションにも関わらず接近戦主体のデザインなのか。その理由をじっくり考えてみると、それぞれの要素が歯車のようにガッチリと噛み合っていて、ひとつの精巧なカラクリを形作っていることに気付かされます。
 しかしながら、作り手のスタンスとしては敢えて奥深さを詳説することもなく「巨大な敵と戦えるってロマンだろ?」とだけ表明して余計なことを考えさせず、ただ圧倒的な迫力と爽快感だけを味わわせてくれるエンターティメントの塊であるところがもう職人肌を感じてしまって堪りません。
 このゲームのコンセプトは、本当に隅々まで良く考えられていて完成度が高いです。メニューやデザイン等、諸処に詰めの甘さはありますが、この楽しさの前では微々たるものですね。


 一応、デフォ体力でクリアした証拠。達成率はクリア後に表示されます。一応ネタバレにも配慮して。