▼スパロボ本来の楽しさが味わえる、魔装機神LOE

 金曜日に魔装機神リメイク買って来ましたー。第2部終盤まで進んでます。
 戦闘アニメ以外は本当にベタ移植ですねー。凄く懐かしいこの感覚。敵が一直線に並ぶAIとか昔あったなーって感じで。第4次なんかその辺、凄く顕著でしたけどね。


 リメイクされてよかった点は、周回要素の追加、戦闘スキップ、アニメの強化辺りですかね。後述するレスポンスの重さを差し引いても総合ではオリジナルよりも遊びやすくなっていると思います。
 これで操作回りがストレスのない作りだったら手放しで絶賛できたんですけどね。惜しいなあ。
 1周辺り必要な時間が短めなのも個人的には良ポイントですね。とりあえず20時間くらいで1周遊べて、更に深く楽しみたい人は他のルートを巡ってみる、みたいな。幅広いプレイスタイルに適した構成だと思っています。
 一応、精神逆引き検索も実装されたんですが、祝福、応援、感応のない今作ではあまり使いどころがないという。というか、今のプレイヤーは幸運の効果を見てビックリするんじゃないでしょうか。


 ただ、昨今の丁寧に作られた携帯機のスパロボに慣れきっているせいもあってか、レスポンスの重さ、メニュー表示の重さ、MAP画面での若干の処理落ちなど、手触りの悪さが結構気になります。
 そのせいで、全部のユニットを移動力一杯まで移動させるターンとか凄く気が重かったりも。ユニットの表示が大きいこともあって、マップは割とコンパクトなんですけどね。
 まぁ、開発のウィンキーソフトは長らくスパロボから離れていたので仕方ないのかなと思う点もあり。昨今のスパロボシリーズの触感の良さはシリーズを重ねてきた賜物なのかなと感じました。
 メッセージ送りに対してSEがないのも凄く気になったり。これだけで触感がボソッとしているというか。最近遊んだソフトで言うと「極限脱出 9時間9人9の扉」もSEがなくて気になったんですけども。フィードバックって大事ですよね。
 あと、タイトル画面のクレジット表示も長くて気になります。Licenced by Nintendoなんて表示初めて見たんですが必要なんですかね、これ。ウィンキーソフトロゴの飾り気のない古臭さはむしろ感動を覚えましたが!
 システム的な進化度で言えば、α外伝を思い出す感じです。戦闘スキップにもいちいち防御のエフェクトが入ったりする辺りが。


 今見てもテキストは面白いですね。硬軟のバランスが取れていて。スパロボってどんなゲームも展開は似たり寄ったりなんですが、ライターの違いで確実に面白いシナリオとつまらないシナリオとがあるんですよね。これ、凄く不思議というか、興味深い点なんですけども。
 きちんと設定が作りこまれているのがいいんでしょうかね。無駄に内容のない会話が少ない点とか。
 昨今のスパロボは参戦作品が膨大に膨れ上がりすぎて、風呂敷を広げるにも畳むにも一苦労している印象がありますが、今作は設定がスッキリしているので、シナリオの展開が実にスムーズなんですよね。
 スパロボによくある現状確認のシーンが煩わしいことって結構あります。「当面はAの勢力が問題だな」「Bの動向にも注視しないと」「Cも忘れちゃいけないわ」「Dも絡んでいますしね」……一方その頃、地下で暗躍するEの影が…… みたいな。「結局全部戦うんでしょ!」みたいな。
 思えば第2次スパロボで悪の勢力全てを力技で一つの旗印の元に纏めてしまったディバインクルセイダーズという設定は、複雑な勢力構図をシンプルに纏めるための発明だったのかも知れません。まぁ、当時はガンダムマジンガー、ゲッターの敵勢力だけに気を払っていればよかったというのもありますけど。
 今の悪役は行動理念がシンプルじゃないから一枚岩になりにくいのはあるんでしょうね。字面だけでインパクト抜群な世界征服万歳です。


 オリジナルからの修正部分を探すのも楽しいです。「なんか問題があったんだろうなー」的な。ミオのファミリア変更は壮絶に吹きました。
 TIPSは普通に補足説明なんですが、随所に小ネタが仕込まれていて楽しいです。箸休めの感覚ですね。
 オリジナルもそうなんですが、序盤の展開がプロローグに徹した作りでやや単調かも。魔装機神に興味がない人にとって面白みを感じられるのかどうかはちょっと疑問にも思えます。
 敵味方ともにユニットが少ないので戦術的な楽しさも薄いですし、戦闘なしで終わってしまう話もあります。こういうの、今見たら「いいのかな?」って思っちゃうんですけどね。まぁ、メリハリがある時代でした。


 しかし、設定だけ見るとギャルゲーですよね、これ。第2部のスタートなんてマサキとゲンナジー以外、全部女性っていう。
 当時は全然気にならなかったんですが、今改めて見直すと随分男女比が偏ってるなと思わされます。マサキは何本フラグ立ててんだっていう。
 オリジナルが発売されたのって、PCE版ときメモがヒットして、SFCに移植された頃なんですけどね。ギャルゲーに対する賞賛と拒否反応が未だ渦巻く中で、違和感なく受け入れられてるバランス感覚はちょっと驚きですよ。


 戦闘アニメは、まぁ、頑張ってるんじゃないでしょうか。アニメについてはスパロボチームの情熱が異常すぎるだけなので、それと比較するのはちょーっと気が引けます。
 まぁ、プリレンダムービーを強引に差し込んでいるところを見ると、FLASH風の関節アニメはウィンキーにはできないんだなーってのもわかりますけども。
 自分は基本アニメOFFで遊ぶほうなので、あんまり気にならないんですよね。ボスを必殺技で沈める時に見るくらいかな。
 あと、戦闘アニメの尺が伸びたにも関わらず、台詞には手が入っていないので、なんか手持ち無沙汰に感じてしまうことはありますね。アカシックバスターでグリグリ動いてるのにセリフがずーっと「行っけー! アカシックバスター!」のまんまっていう。その辺の演出はやっぱりちょっと昔っぽさが残っててバランスが悪いですね。


 オリジナルを踏襲した戦闘バランスですが、殺るか殺られるかの先手必勝な殺伐さはSLGケレン味たっぷりで自分好みです。最近のスパロボはザコ敵撃破に最低2発の攻撃が必要で、どうも進行のテンポが悪い印象があります。それに比べてLOEは背後を取れば一発撃破。スピーディで爽快感があるんですよね。
 まぁ、それだけに攻撃を回避する各種特殊能力が邪魔っ気に思えたりするんですが…… 当時はシステム的な需要よりも「燃えるシーンの再現」が重要だったからなぁ。
 一方で敵の攻撃は苛烈です。一体の攻撃はさほどでもないですが、集団で襲い掛かられると壁役でもあっさり沈みます。
 精霊や向きのダメージ補正で一撃が重く、装甲の脆い味方を優先的に狙う殺る気満々なAIが非常に嫌らしい攻め方をしてきます。
 なので、ダメージコントロールが凄く重要ですね。敵の攻撃を集中させないように配置に気を配ったり、閃きをかけた味方の背中をわざと晒して攻撃を誘ったりとか。


 最近のスパロボは基本的にHPが一番高いユニットを攻撃するルーチンなんですが、このルーチンだと壁役に攻撃が集まりやすくて役割分担している気分が味わえるんですよね。ユニットがなかなか死ににくいのもヌルゲーマーにはありがたい点です。
 ただ、一方でこのルーチン設定は攻撃が読みやすくて意外性に乏しいという弱点もあります。全編通して、ずーっと敵が同じユニットを狙ってくるものですから後半になるとマンネリ感がヒドいんですよね。
 今作は弱いユニットを守るようにキチンと壁を作らないと、意外な移動経路で弱点を的確に突かれますから、なかなか気の抜けないゲームになっています。
 特に事前の計算ができない増援からの強襲は脅威です。敵の増援で悲鳴を上げるスパロボって本当に久しぶりですね。でも、「してやられたー!」って気持ちが妙に心地よいというか。「それは卑怯だろー!」と憤慨しつつも何とかピンチを切り抜けるのが快感なんですね。


 全体的にダメージの応酬が豪快なゲームではありますが、一方で難易度的には相当簡単な部類です。主人公機のサイバスターが非常に強いので、とりあえず改造しておけばなんとかなるというか。
 幸運MAP兵器でお金はザクザク集まりますし、改造はお金を注ぎ込んだ実感を得られるいい感じのインフレぶりです。
 むしろ最近のスパロボは改造の実感が薄くて個人的にちょっと馴染めなかったところもあります。「無改造でもクリアできるように」とか「ユニットの格差を生まないように」とか配慮があるとは思うんですけど、一方で「ロボットを改造してパワーアップする!」という、わかりやすい熱さを損ねているようにも思います。
 あとは使えるユニットが増えすぎて、片寄った育て方をすると攻略的に「詰まる」恐れを危惧したのもあるのかなぁ。
 まぁ、その点、ウィンキー時代のスパロボはユニットの強さも結構割り切ってましたしね。第4次のダンクーガみたいな悲劇も、まぁ、あったワケですけど。
 その点、LOEはユニットの数も絞られていて、なおかつ魔装機神という目に見える安牌なユニットがあるワケですから、スパロボ開拓時代の荒削りの理想を無理なく感じられるゲームではあります。
 詰め将棋までは行かないにしても、差し手にある程度緊張感を覚えられるのが非常に好みですね。ユニットが育ちきってしまうとヌルく感じられてしまうところはあるんですけども。もう少し改造の上限が欲しかったなぁ。


 ともあれ、久しぶりに触ってみてやはり良いゲームだなぁと思います。SFC版があるならそれで事足りるような気もしますが、周回要素のおかげでスパロボ終盤でいつも襲われる虚しさが若干和らいでいるのが個人的にはありがたい点です。アニメカットも重要ですね!
 あ、自分は、スパロボではGBAのOG2が一番好きなんですが、共通するのは勢力図がシンプルで構図を把握しやすいってことなのかもしれません。あと、殺るか殺られるかのシビアなバランスだったのも。MAP兵器が強かったのも共通してるかなー。
 そんなワケでOG2のバランスが好きでSFC版を触っていない、という方にはぜひオススメしたいゲームです。多少古臭さもありますけど、そこはまぁ、ちょっと目を瞑って貰えれば、きっと楽しい体験を味わえると思いますよ。




 以下、拍手コメントへの返信です。




>キャラについての考察、大変面白く読ませてもらいましたw の方


 色々と解釈を講じられるのが世界樹の面白さですよね。色々とシナリオの感想を見て回ったりもするんですが、プレイヤーの感じ方、受け取り方が多種多様にバラけているのが凄く面白いです。深王様とか評価に物凄く幅があって、それはなんでだろうなー、とか勝手に分析したりしてます。
 誤字の指摘ありがとうございましたー。おかげさまで恥を晒さずに済みました。