▼世界樹の迷宮3 キャラについての考察

 感想については「なぜ自分がそう思ったのか?」をある程度を固めてから書き出したいと思っていて、それでなかなか纏まらずに今までいました。これはこういうキャラなんだなーと理解できても次の日には評価がガラリと変わっちゃうことも少なくなくて、落ち着きがなかったんですが、まぁ、そろそろ方向性が固まってきたので、書き出してみたいと思います。
 凄まじくネタバレありです。モンスター図鑑を全て埋めてから見た方がいいと思います。最後の一つは埋めなくてもいいかもしれませんが。






 深王ザイフリート


 深王は目的遂行を第一に考える現実主義者、潔癖な為政者として描かれています。その中で一貫性を欠くのが真ENDでの彼の行動なんですが、ここをどう読み取るかで評価は変わるかなぁと思っています。


 ちなみに自分は真ENDを見て、最初に「えええええ、禍神どうすんのよ」と思ったクチですが、第6階層のテキストを追うと、他ルートのテキストを流用するために姫様ともどもご退場願ったんだろうなーってのがなんとなく窺えて、それで憎みきれないところがあります。まぁ、メタな見方なので一般的ではないとは思いますが。
 深王に関しては、どこまでが世界樹の代弁で、どこまでが深王自身の意志なのか、考えるのが解釈として面白いと思うのですが、記憶を取り戻した結果が真ENDの結末なのだとしたら、元々は妹煩悩な人なんでしょうね。

 大異変の前には、妹に白亜の供物を見つける約束をしたりと、やっぱりシスコ……妹煩悩の気が窺えます。

 深王の記憶喪失には世界樹が一枚噛んでいますが、それは世界樹の独断なのか、深王からの希望なのか、どう解釈するかで「フカビト打倒」と「妹を助けたい」という二つの目的に対する心理の比重が変わってきますね。
 個人的には深王が世界樹に願い出て海都との絆を自ら断ち切った、みたいな展開だと燃えると思っています。フカビトとの戦いに感傷は無用、みたいな感じで。実利面では、感情を餌にされるのを防ぐ意味合いもあったのではと。

 真ENDについてフォローをするなら、そもそも深王の仕事は世界樹禍神の決戦までの時間稼ぎであって、最終的な禍神の打倒までは自分の力の及ぶ範囲ではないと、本人は割り切って考えていた節があります。
 深都ルート第6階層での「世界樹に遠慮は無用〜」というセリフは、元々世界樹が描いていた決戦シナリオはあるけど、この際だから無視しても構わないよ、という意味でしょう。
 真ルートでは冒険者一行が倒すことになる真祖にしても、深王にとっては力を封じるだけで精一杯なのが実情で、そうなると真ENDの展開は深王にとっては全く想定外の流れで、以後は自分の力の及ぶ範囲を逸脱してしまっているんですね。
 なので、晴れて仕事から解放されたから自分の本意を遂げようとしたのかな、とも思えなくもなく。後事をオランピアに全部一任するのは、彼女に対する信頼の現れとも見えます。

 てか、深王は冒険者禍神に正面切って挑む展開なんて1%も考えてなかったんじゃないかなぁ。真祖が倒れたことで戦線の縮小と緩やかな停滞が始まり、世界樹復活までの障害は消えたと判断したのかも。
 まぁ、ケツ持ちするのが上司の仕事なんで、顛末を見守るのは義務ってのはわかるんですけどね。他のENDとはちょっと事情が違うことは念頭に置いて考えたいなとは思います。

 姫様や真祖の言う「深王は世界樹に憑かれた」云々は、立場上皮肉も交じっているので、どこまで額面通りに受け取っていいのかは難しいところでもあって。完全な洗脳という感じではなく、ブレンパワードのオルファンへの同調みたいなもんじゃないかなーと思っています。

 海都ルートのエンディング、深王が砂に還ってからのモノローグでは、世界樹は深王を誇り高き王族と評価しています。世界樹が深王を操っていたらこんな評価は出てこないワケで、深王は自身の選択によってフカビトとの苛烈な戦いを決断したことが窺えます。
 あと、冒険者禍神を打ち倒すと「それなら他にも方法はあったのかも」とも呟くので、100%世界樹に操られているってのはちょっと違うなと思います。計画通りに進行させるのは得意でも、融通の効かない石頭タイプって感じでしょうかね。


 深王は第一印象は正直あんまよろしくないんですが、ムロツミイベントを最後まで見てると一層嫌悪感が先立つのではないかなと思います。自分の場合、ムロツミは第1階層に置き去りだったんでそこまで尾は引かなかったんですが、初回でアレを見ちゃうと大分海都寄りの心象になるのではないかなと思っています。
 で、イベントもそれを意図して配置されたんだと思います。以後、ムロツミの出番が一切なくなるのは役割を終えたからでしょう。ムロツミイベントの最後まで辿り着けるかは、結構な数の二択とフラグ立てを乗り越える必要があるので、初回のプレイヤー全員がキチンとそこに辿り着けるように設計したものではないのでしょう。適度にプレイヤーを分散させるためのパチンコの釘みたいなものだと思っています。
 ちなみに開発者視点での初回推奨ルートは海都だと思っています。海都だとゲートキーパー戦でヒントが貰えるんですよね。深都は全然前置きとかないから2ターンで……

 第1階層のムロツミも協力を表明するとナルメル討伐のヒントが貰えますし、海都方面だとやや親切な印象。まぁ、ラスボス戦で苦労したーって言ってる人は大体海都ルートの人なので、そこで帳尻を合わせているのかもしれませんが。


 グートルーネ姫


 姫様は徹頭徹尾ブラコンですね。それ以外の読みようがないと言うか……

 ルート選択前の海都陣営の主張、「協力してフカビトを倒せばいいじゃないか」というのはなるほど至極尤もだと思ったんですが、深王からダメ出しされて、勝手に抜け駆けして、挙句の果てに「お兄様に会いたかっただけ」とか言われるとゲンナリしてしまいます。典型的な「無能でやる気のある味方」じゃないですか、これ。


 そんなワケで姫様を始め、婆様もクジュラも含めて、海都陣営は軒並み評価しづらいのが正直なところです。冒険者の命を粗末に扱っているのは、海都も深都もあんまり変わらないですし、冒険者なんて稼業は自己責任なんで、死ぬのは自分の無能を恨もうね、という話です。
 初見の印象はよかったんですけどね、姫様。きちんと儀礼の手続きを踏んだりして。

 むしろ深都側の方が排他的に見えたものですが、まぁ、そこは事情を知ってなるほどなと。


 姫様をフォローするなら、真祖との関わりから考える必要があるでしょうか。姫様の目的はかつて海都と深都が一つだった頃の日々を取り戻すことです。深王に会うことを「目的」と考えるならフォローのしようがないんですが、「手段」と考えるなら余地はあります。
 真祖の話から窺う分には、姫様と真祖の接触は、人間とフカビトの間で起こる摩擦とは若干異なる展開があったようです。そこで姫様が抱いたフカビトへの印象は、深王とは違っている可能性が多分にあり、理解の齟齬を埋めて、最終的な落とし所を見つけようとしている(和平的解決とは言いたくないです)のであれば、姫様が深王に会いたいと思う動機にも違った価値が与えられるのではないかなと思います。
 姫様のフカビトに対する見識を保証する材料はないので、利己的な事情が若干和らぐというだけではありますが、少なくともそう考える方が自分としては救われます。姫様は自身に流れる真祖の血を邪な力と認識しているので、フカビトとの関係自体は結構現実的に考えているっぽいですけどね。


 これは妄想ですが、姫様は真祖の力を内に封じる人身御供としての役割を自身が果たしている自負があり、それを深王に伝えることで、「既に真祖の脅威は減衰している」→「だから深都だけ頑張る必要はない」→「昔の日々よもう一度!」と繋げるつもりだったのかもしれません。
 ただ、この論法だと、姫様が兄のためなら真祖すら騙す女ということになってしまいますね。いや、真祖が勝手に絆されただけかもしれませんが。
 ブラック姫様を初めて見た時に「違和感なさすぎる……」と思ったので、個人的にはそういう姫様もアリです。少なくとも姫様にとっては、深王 >>>>>> 真祖 なのは明白で、姫様が目的遂行のために真祖を出汁にしている可能性は少なくありません。
 姫様は余りにも言動に一貫性がありすぎて、テキストを洗い出す度に心が折れそうになるんですが、逆にそれだけ一つの発見が面白い解釈につながりやすい存在だと思っています。世界樹3のシナリオを考察する上で意外と大きな可能性を秘めているのではないかなと。



 真祖


 フカビトの王子、もしくは王女。人間とフカビトの関係を考える上では外せない存在です。
 フカビトはその設定のベースにクトゥルフ神話を引用しているので、そちらの見地から解釈することも可能です。ただ、実際に色々考えてはみたんですが、余り広がりがありませんでした。
 一応、クトゥルフに当てはめるなら、禍神クトゥルフ、真祖=父なるダゴンと母なるハイドラ、フカビト=ディープワンになるでしょうか。元々、アトラスは女神転生を扱っている会社ですから、同様のフレーバーとしての引用なのかなとも思います。
 ここではゲーム内のテキストだけを取り上げて考察を煮詰めます。


 「人とフカビトが理解し合う事…友となる事はできるであろうか?」
 これって非常に理解が難しい問い掛けだと思います。YESかNOか、という意味ではなく、なぜその問い掛けをこのタイミングで真祖が発したのかという意味で、です。
 ここまで溜めがなさすぎるんですよね。協和にせよ決別にせよ、議題に至るまでの過程がない。なので一見して、真意を伏せたまま、こちらを煙に巻こうとしているような意図を感じてしまうんですよね。
 笑顔で近付きながら背中に手を隠しているような感じ。持っているのはナイフか花束か、どっちかはわかりませんが。
 ただ、そうしたこちらの受け取り方を真祖は理解した上で発言しているとは思うので、見た目よりは思いつきの質問なんじゃないかと思っています。「人類代表に是非を問う」というような重々しいものではなく、「そう言えば……」くらいの軽さ。

 真祖は言動から立場なりに聡明に見えるんですが、それにしてはこの質問に対する定見を全く自分で用意していないんですよね。回答によって態度がまったく様変わりしてしまう。
 事前の話題とあわせて考えると「昔、人間の少女が友達になれないか聞いてきたんだけど、あれって本気だったのかね?」みたいな問い掛けなんじゃないかなと。長らく抱えていた大きな疑問をぶつけると言うよりは、思い出したついでに尋ねる雰囲気。

 少女って要するに姫様ですけども、姫様の態度には裏があるのかないのか、人間の思考法に理解が及ばないので同族に聞いてみたかったんじゃないかなと思います。
 フカビト視点での人間との関わりについては真祖の中で既に答えは出てるでしょう。どういう答えを出そうが、真祖は禍神の眷属でしかない以上、路線の変更が難しいことも。
 真祖は禍神を祖とする眷属ですから、フカビト全体の意志決定権を有する存在ではないんですよね。現場責任者として前線に出ているだけで。
 真祖は大局を変える力を持たない。となると、真祖の欲した答えは、自身の慰めにしかなりません。だから、この問い掛けって極めて個人的な質問じゃないかと自分は思います。
 混同しやすいんですが、真祖の関心って人間に向けられたものではないんです。姫様個人に向けられたものなんです。姫がー、姫がー、と言ってばかりで人類に対する思慮は欠片もないですし。
 計算できる犬を見て、犬全体が賢いと思うかと言えばそうじゃないというか。特別な個体に対する関心なんだと思います。
 仮に人類に対する譲歩があるなら、ここまで100年の猶予があったワケで、結局そこで足踏みを続けたのは、それが真祖の本音と限界なんだと思います。


 真祖には二つの目的、海都の支配と、姫様の回復(恐らく精神的な)があったワケですが、真祖の血を姫様に分け与えたことで、その目的の両方が遂行されつつありました。
 真祖は過渡を良しとしていたのだと思います。現状維持こそが真祖の望むバランスを保つ唯一の手段だったのではないかと。
 ただまぁ、海都の危険を排除しようとする深都側の思惑と、邪悪な生命の歪さゆえに決着を急ごうとする海都側の思惑が祟り、真祖は目的の一方を断念せざるを得ない状況に追い込まれた、というのが今回のシナリオの流れです。
 しかしながら、冒険者が空の玉碗と星海の欠片を持って真祖の前に現れたことで、真祖にとって第3の筋書きが生まれます。それが、姫様の精神的均衡を回復させ、同時にフカビトの王として人類の駆逐を果たすという真ルートです。


 白亜の供物を冒険者に渡す際、真祖は「真祖たる王から百年越しの届け物だとな」と言います。注目したいのは、真祖が自らを王と呼称していることです。

 これまでは「王子、あるいは王女という呼び名が相応しい」と言っていた真祖ですが、王たる自覚を得たのがまさにこのタイミングなのです。姫様に分け与えた血が戻ってきて青年モードになってからではなく。
 理と情の狭間で揺らいでいた幼さを捨て、真祖はフカビトの王として眷属に冷厳な号令を下す決意を固めたということなのでしょう。真祖は真ルートで初めてモラトリアムを終えたのです。


 ところで真祖は姫様との出会いを美しい思い出のように語っていますが、泣きじゃくってる幼女に熱いものを注ぎ込んで意のままに操ろうとか、やってることは外道の極みじゃないですか……っ。
 それは冗談として、姫様は「深王に会えない」ことを嘆いていたのに対し、真祖は「深王が白亜の供物を持ち帰れない」→「自身の病弱な肉体が癒せない」ことを嘆いているものと受け取り、そこで(悪意なのか気紛れなのか)自身の血を分け与えて姫様に永遠の命を与えたのではないかと自分は想像します。
 そんな自身の過失から真祖は姫様への衷心を励起したのかもしれません。「百年越しの届け物」という言葉には、真祖の汚名返上の意志が見え隠れするように思えます。
 いずれにせよ、真祖の行動は姫様に償いを果たし、存念を晴らし、その上でフカビトの王としての責務を果たす。結果、勝つのが人間であれフカビトであれ、目的の一方は叶わず、しかし、王としての誇りは証明される。そのための選択だったのではないかと自分は考えます。



 世界樹


 禍神を追って漆黒の星海から飛来した知的生命体。アーモロードの地に漂着し、数代に渡って王族と親交を図っていました。
 アーモロードの王族と世界樹は対話が可能。イブン・ガジの粉を使えば王族以外でも世界樹と意志を通わせることができます。




 世界樹は先進的な知識を提供し、海都に海洋立国としての地位を与えていましたが、大異変に伴う禍神の目覚めにより、深王に決戦の決断を迫ります。結果、海都に抜け殻を残し、深都と共に地中に沈むことになります。
 フカビトに対立する存在である世界樹は、従来のシリーズの同名の存在とは立ち位置が全く異なります。人間に積極的に関与し、彼自身が「魔」と呼ぶフカビトに強迫観念めいた敵意を表しています。


 世界樹と人間の関係をどう見るべきか、は着眼点として重要なポイントです。
 世界樹の迷宮のシナリオはシリーズを通してそんなに捻った仕掛けにはなっていないので、単純に考えれば悪のフカビトに対する、善の世界樹と捉えるのが最も簡単な構図です。

 世界樹は白亜の供物を齎し、人間の文明発展に寄与したとして、人間に好意的な存在として語られています。ただ、自分としては世界樹が完全に人間と歩調を同じくする側の存在かという点については疑問を残しています。


 初回プレイで疑念を最も喚起されたのは、深洋祭祀殿のあのデザイン。壁画に描かれているのは明らかにフカビトです。見開いた目をモチーフに取っているのは第6階層とも共通点がありますね。
 この謎については、フカビトを一種の荒御霊として祭った社殿なのかもとか、元々フカビトの祭殿だったものを人間が取り込んだのかもとか、吹っ飛んだ仮定としてはフカビトが住処にしてから壁画を塗り変えたのかも、とか、色々考えてはみたんですが、テキストを追っていく限り、世界樹を奉った祭殿である傍証だけが積み上がっていくんですよね。

 世界樹に関してはクトゥルフ神話からのアプローチも余り有効ではありません。クトゥルフら旧支配者を封じた善の旧神ノーデンスが立ち位置として近そうではあるんですが、ノーデンスと世界樹を結びつける材料は乏しいです。
 あるいはクトゥルフに敵対する旧支配者ハスターが世界樹のベースなのかも、とも思いましたが、これまた世界樹と繋がる材料が見つかりません。二つ名の、名状しがたき〜はむしろ、禍神の第二形態で使われているくらい。
 世界樹は疫病に苦しむ海都の民に白亜の供物を齎した存在と謳われていますが、真ルートのエンディング及び真祖とのイベントで、白亜の供物が世界樹に由来しないものであることが明らかになっています。白亜の供物は、世界樹の聖性を示す一要因とされていますが、その点に関しては差っ引いて考えた方がよさそうです。

 白亜の供物は、禍神世界樹が地球に降り立った「ついでの産物」なのです。水泳部員がプールに飛び込んだら、その水しぶきがカエルにかかったような感じと言いますか。そこに慈悲は介在していないんですね。だからと言って反動的に世界樹が人間を利用していると言いたいワケではありませんが。
 利用という表現をするならば、世界樹と人間の関係は互いが互いを利用している関係です。世界樹はアンドロの設計を始めとした先進的な知識を与える代わりに実動部隊としての役割を人間に求め、人間もそれに応じます。
 仮に人間が世界樹の提案を拒んでいれば、世界樹はフカビトに倒され、次いで人間も抵抗する術がないまま駆逐されるだけです。生存のための両者の目的は共通していて、腹の底はどうあれ、今日を生き延びるための適切な方法を選んでいるだけです。敵の敵は戦術的な味方に成り得る、という地政学の基本ですね。


 結局、世界樹は基本的に善の存在と見るほうが論理的な破綻は少ないように思えます。美的センスの残念な異邦の超越者って結論になるでしょうか。
 さて、あくまで妄想の範囲ではありますが、世界樹の正体については一つ自分の中で仮定があります。それは世界樹禍神はかつて同一の存在であり、分化したそれぞれが地球に飛来した、という仮定。ピッコロ大魔王と神様の関係と言えばわかりやすいでしょうか。
 この仮説で自分が気に入ってるのは、世界樹禍神に対して示す執着の由来が説明しやすいということです。自分が捨てた負の部分が無関係な人々に迷惑をかけていることに責任を覚えているというか。俗な言い方をすれば黒歴史を人に見られるのを嫌がってる感じでしょうかね。
 前述の深洋祭祀殿のデザインの謎もこれで説明がつきます。元々同一の存在なら偶像が似通ってても不思議ではないですし。
 あと、世界樹を感情だけの知的生命体と見たとき、禍神は感情を持たない白痴の肉塊と対比することもできます。まぁ、世界樹の裏ボスはセリフを喋らないのが常ではあるんですが。
 感情と肉体は、深王と姫様がそれぞれ失ったものでもあり、それぞれ関与したのが世界樹禍神(真祖)なのは、対比として綺麗に纏まるようにも思います。
 フカビトが感情をエサとするのも、自分に欠けた概念を埋めようとしているのはないかなとか。フカビトが敵対者であるハズの世界樹の祭殿に住み着いているのは、祭殿に「不思議な力」が満ちているからとのことですが、これも失われた感情への希求と考えると都合がつくのではないかなと思います。


 じゃあ、そうなるとフカビトでありながら感情を持つ真祖ってどんな存在なの? という話にもなるんですが、真祖は禍神が感情を取り戻して「復活」した際の先行試験型なのかなと考えたりもします。まぁ、真祖は禍神が星海を縦断する前から禍神の傍にいたらしいですが。
 一方で肉体を捨てた世界樹も「復活」の為に肉体(依代というか)を得ようとしているのかなと。何分、世界樹がフカビトに独力で対抗できないのは、肉体がなくて物理的な干渉ができないせいにも見えるので。




 そんな感じで、最後は妄想含みで考察からは随分離れてしまいましたが、世界樹の迷宮3の主要な登場人物について、テキストを洗って色々と考えてみました。
 どのエンディングがしっくり来るのか、と言えば、まぁ色々な脳内補正込みで真ルートってことになるでしょうかね。単純に死ななくていい人が死なずに済んでよかったね、という話で。
 世界樹のオチのモヤモヤっぷりはシリーズ伝統でもあって、むしろ妄想好きとしては胸を撫で下ろした感もあります。真ENDが一分の隙もない完璧なオチだったら妄想の余地なんかないじゃないか、的な。
 設定の補完については500冊限定のプレゼント冊子に何かしら記載されていることを期待すると同時にガクブルしています。世界樹1のミニコミ誌のヴィズル二重人格オチは個人的にショックだったしなぁ。