逆転裁判4・その2

 逆転裁判4は贅沢なゲームだと思う。


 まぁ、自分はごく一般的な生活を送る庶民of庶民なので、本当の贅沢がどんなものなのかはよく知らないんですが。
 なので贅沢、という単語に対して貧困なイメージしか持ち合わせていないんだけど、逆転裁判が贅沢なのはこれは確かな事実だと思う。
 まぁ、例えれば、高級ホテルのスウィートルームで、宝石箱から零れたかのようなキラめく夜景を眼下に、バスローブを纏ってビロード張りのソファに体を埋め、ワインを舌で転がす…… そんな感じの豪華さ。チープな想像ですいません。


 逆転裁判について友人に話すと「でもそれって1回しか遊べないよね?」と言われます。まぁ、確かに逆転裁判の面白さはテキストの面白さに負うところが多くて、なおかつテキストというのは消費されやすいリソースではあります。
 2週目の隅を突く楽しさを否定するワケではないけれど、逆転裁判は1度プレイをすれば、その80%は味わったことになってしまう。肥えた舌は二度と元の素朴な味覚を取り戻すことが出来ず、私達は美食家になってしまった自分に気づくのです。コストパフォーマンスの観点からすると逆転裁判は極めて燃費の悪いゲームです。今時プレイ時間が20時間程度のゲームはボリューム不足の烙印を押されかねない風潮さえあります。


 ただ、私が思うのは、逆転裁判はその限られたテキストを一行一行、舐めるように舐るようにじっくりじっくり読み進めていくのが楽しいんじゃないかと思うんですよね。
 テキストを読む楽しさ。そしてテキストを消費する空しさ。この二律背反を指(或いはタッチペンを持つ手)に押し込めて、私達は逆転裁判の物語を追っていきます。「先が知りたい!」「でも終わりを見たくない!」 私が変なだけかもしれませんが、逆転裁判をプレイすること自体がタブーを犯しているように感じるのです。ムジュンに背筋がゾクゾクするのです。
 最近のゲームはどれもこれもが先へ先へプレイヤーを促すゲームばかりです。その流れに導かれて時間を忘れて没頭する。破壊的なまでの時間の使い切り方を私達は『ゲームにハマった』と称しています。
 その中にあって逆転裁判だけはプレイヤーに先へ進むことを躊躇わせるゲームなのです。明確な終着点の存在が私達にテキストを消費させることを躊躇わせるのです。たとえ逆転裁判を消費し尽くしたとして、逆転裁判に続くゲームが存在していればこんな残酷なムジュンに心を痛める必要はなくなるのです。しかし現実には逆転裁判の代わりを務められるゲームはなかなか存在しません。
 小説や漫画のように刊行数が莫大であれば、食欲を刺激する次の素材はすぐに見つけられるのでしょう。しかしゲームはなかなかそうは行きません。ぶつ切りで出回るゲームは(皆無とまでは言いませんが)稀なのです。
 今回の逆転裁判を消費したとして、次の逆転裁判を味わえるのはいつになるのだろうか。そんなことを考えてしまうと途端にゲームをプレイするのが勿体無く思えてきます。貧乏性なのです。しかし、そんな貧乏性の自分をズルズルと引きずり込んでしまう逆転裁判の面白さはまさに贅沢の極みなのです。


 いいじゃないか。出し惜しみしたって結局は最後までプレイするんだろう? だったら早いか遅いかの違いだけで結局行き着く先は同じなんだ。


 そんな悪魔の囁き声に負けて、貪るように逆転裁判をプレイしかねない日曜日が迫っています。今日は仕事だったから助かったけど、さて明日はどうなることか……




 まともな話に戻すと、逆転裁判のスタイルはユーザーにとっても開発者にとってもかなりベターなスタイルなんじゃないかと思う。逆転裁判程度のボリュームならユーザーと開発者に負担を与えることなく、ニーズに則って次の開発に繋げられるし。もっと先進的に考えれば値段を抑えて1話完結でポンポン出していくのが最良だと思うんだけど、月間ゲームは売れ行きが先細りするのが必定なので長くやればやるほど割が合わなくなってダメなのかもしれない。携帯版逆転裁判はそんなスタイルだと思うんだけど、あれって売れ行き的にはどうだったのかなぁ。
 あと、もう一つ心配なのはカプコンがそんなの始めたら絶対完全版商法をやるよなぁってこと。で、それを見越してユーザーが買い控えしたりして泥沼の様相になると。


 世界樹の迷宮の新納さんがゲームのダウンサイジングの重要性について力説しているので、最近よく考えるようになったんだけど、ダウンサイジングがユーザーと開発者の双方に対してメリットがあることを説いても、多分、そのままではユーザーの反発を招くと思う。というのは「なんでこんなに面白いゲームをもっと遊ばせてくれないんだ!」ってユーザーは思ってしまうから。
 ユーザーは地雷を踏んだり、地雷を掘り当てたり、偽装地雷を掴まされたり、とても悲しい思いをしているので、やっと掴んだ幸福なゲームはとことん楽しみたいんだよね。これは自己防衛機能に近い反応なんじゃないかと思う。
 なのでダウンサイジングを受け入れさせる為には、単純に内容を小さくするよってだけじゃなくて、「10000円で50時間遊べるゲームを1本出します」ってところを「5000円で25時間遊べるゲームを2本出します」という感じに敷衍しないと受け入れ難いのではないかと思う。後者だって同じクオリティのゲームが続いて出るかは怪しいところではあるんだけど。


 なので結論としては逆転裁判の次回作まだー? ってことで。次回作じゃなくてもどこかのメーカーが面白そうなADVを出してくれればそれで満足なんだけど。DSはADV向きと言いながらなかなか傑作が出てこないところが歯がゆいなぁ。




 世界樹トラックバックキャンペーンのミニコミ誌情報を求めていらっしゃる方がどうも多いようなのでちょっと報告。どうやら長野は存外に僻地のようです。手元に来たらそれとなく内容に触れたいとは思っています。明日以降をお待ちください。
 まぁ、ウチに届く頃には大概の情報が公開されちゃったりしてる可能性も大いにあるんですが。



 以下ネタバレ。第2話探偵パート中。ちびちびと進めています。





事務所が酷いことになってるー!
ああ、ぼやきトークがタクシューの持ち味だよなぁ。面白い。
まさか院長が出演するとは! 誰が喜ぶんだ私が喜ぶわーい!
ちょ、給食費って。15歳だから高校生かと思ってた。てかそんな子供を働かすなパパめ。
ああ、なんて嫌な親子。
おやっさんいい味出してる。逆裁のオヤジ系はみんないいな。
なんでパッケに2種類あるのかと思ったら双子か! 先生の出番もきっとあるよね?
茜来たー。しかし蘇る〜の頃よりヤサグれてるなぁ。何があったのか。
新旧(?)ヒロイン顔合わせ。ファン意識しすぎで嬉しいけど、ますます一見さんには?な内容だなぁ。