くりきん・その2

 なにやら20000本売れたそうで。出荷数が23000本とか聞いたような記憶があるので消化率的には最高の出だしというか、もっと強気に行けたんちゃうの? と思ってしまうような大健闘。任天堂ゲーとは言え、発表から発売前での間を考えると先発のジェットインパルスが消化率50%割れってのをやらかしてたので、その線に落ち着くのかなとも思っていたんですが意外な結果です。自分は知らなかったんですが、どうやらテレビCMをガンガン流してたらしくてそれが良好なセールスに繋がったようですね。クリスタルキング主題歌(くりきんなだけに)も一部でウケが取れてた様子。二次出荷はどれだけ出すのかなぁ。


 前にもちょこっと触れましたがゲームとしては対戦型のリアルタイムストラテジーゲームなんですが、プレイヤーのやることが突き詰めると「ユニットの移動だけ」というシンプルさがRTSならではの敷居の高さを感じさせることなく、瞬間的な判断と操作に没頭できる点でこのゲームのデザインは光っています。
 ユニットを生産する、ユニットを移動させる、ユニットで攻撃する、と通常なら段階を踏んで行うべき様々なステップを、ユニットの移動というワンアクションだけで実現させるというシンプルなシステムは細菌(以下キンと呼ぶ)をモチーフに取ったRTSというユニークな発想があっての代物です。


 全てのキンは時間が経つと勝手に2つに分裂します。しかしキンの回りにスペースがないと分裂することができないので、プレイヤーはキンをタッチペンで囲んでマイクに息を吹きかけてキンを飛び散らせます。飛び散ったキンはモゾモゾと蠢いてそのうち2つに分裂。さらに時間が経つとまた2つに分裂します。気がつくと物凄い一生懸命にマイクに息を吹きかけてる自分に気づきます。
 そうやってキンの数を確保したら、今度は全体を囲んで相手方に突進させます。キンは相手を発見すると自動的に攻撃を仕掛け始めて死ぬまで戦います。しかし大群同士の戦闘となるとせっかく増やしたキンをそのままでは有効に使えません。なにせキンは肉弾戦でしか戦うことが出来ません。SLGによくある後方からの支援攻撃、遠距離攻撃の概念がないので、後方に控えたキンは上手く誘導して相手の側面を衝かせたり、或いは散らして再び増殖させたりとプレイヤーの判断が必要になってきます。むしろ最前線のキンは勝手に戦ってくれるので置いといて、遊んでるキンをいかに働かせるか頭と手を働かせる必要があります。
 とまぁ、一見単純そうに見えるんですが、実際のゲームにはここにグーチョキパーの属性関係が加わってきたり、SMLのサイズによって異なる性能のキンを使い分ける必要があったりと、戦術的な工夫だけではなく戦略的にも工夫のしどころがあります。その中で自分に合った戦略、戦術を構築して相手を圧倒して全滅させるのがこのゲームの醍醐味です。


 このゲームは詰まるところ、「時間」と「空間」を制するゲームです。まぁ、RTSってみんなそんなゲームなのかもしれないんですが、自分はあんまり経験がないので……
 クラウゼヴィッツとかの古典的な戦術論が見事に体現されているゲームと言えばそうなので、ランチェスターの第2法則とか聞いてビビッと来る人は相性がいいかもしれません。絵面はメチャクチャ子供向けですけど。


 RTS部以外の話をするとADV部は割と古典的な総当り風のADVなので面倒に感じる人もいるかもしれません。後半になればなるほどいける箇所が多くなるのでフラグを立てる作業になりがちですが、割と誘導がキッチリしているので詰まることはまずないと思います。
 あと意外に音楽がいいのが予想外の収穫でした。ADV部の音楽は割と凡庸な感じで特にインパクトはないんですが、RTSの音楽がなかなかテンションが高くなるメロディでいい感じです。ボス戦もかなり燃える曲でかなり気合が入りますね。
 懸念だったボリュームについてですが、最近忙しいのであんま触れていないんですが、小粒なゲームという先入観を取っ払ってくれるぐらいにはボリューム感があります。
 今のところ第15章くらいまで進んだところですが、後半になるに従って1章のボリュームが大きくなるので、クリアにはもう1週間ぐらいかかりそうな気配です。カスタムロボ風の進行だと割とあっさり終わっちゃうのかなーって感じだったんですが、合間合間にキンを集めたりレベリングしたり新しいキンを試してみたりと話を進める以外でRTSを楽しめるのでなかなか先に進みません。
 この辺は人によってはダルい部分かもしれませんが、ドラクエ3アリアハン周辺で1500G稼いではがねのつるぎを買った自分のような人間にはこのちまちまとリソースを稼いでいく作業がなんとも楽しいのです。ゲームクリア後もポケモンのバトルタワー的に更なる強敵と戦うステージが用意されてるらしくて遊びつくすまでは結構かかりそうです。