エレメンタルモンスターまで買っちゃった

 ニャースがレベル30で覚える「猫に小判」でザクザクお金稼ぎができるようになってからポケダンが非常に面白くなってきたにも関わらず、エレメンタルモンスター購入に走るとか最近のゲーム購入の無軌道振りには自分でも呆れるばかり。まだすばこもRoFも遊びきってないのになー。


 それにも関わらずエレモン購入に踏み切ったのは、エレモンの初日販売数がたった2000本なのに売り切れ店続出という情報を聞いたせい。
 大抵のゲームは放っとけば値段も流通量も落ち着くので、それから買っても十分間に合うんだけど、知名度と広報努力に明らかに欠けるこのゲームは早めに保護しないとヤバいレベルだと判断した次第。……まぁ、自分のこの手の先物買いが予想通りに運んだ試しは今までないんだけど。


 というワケでGEOに行ってみたら当然の如く置かれてなかったので一路カメクラへ。GEOは最初から期待はしてなかったわい。
 地元のカメクラは例の破産申請のあとも普通に営業を続けていたので、業務形態を変えて続けているのかなと思っていたんだけど、実は本部は再建できるかどうかの瀬戸際らしくて、突然潰れてしまう可能性もまだまだあるのだそうだ。
 そんなカメクラには当然のようにエレモンが並べられていたので、これはやっぱり潰れて貰っちゃ困るなぁとしみじみ思った。まぁ、今時ゲームなんか通販で買えるんだけど、自分の足で直接店に出向いて購入するのがやっぱり好きなもんで。
 ともあれゲームは無事購入。難民化は免れたぜヒャッホーイ。しかし10月4日発売のASHのポスターを見て気が沈む。年末商戦も近づいてきたしなぁ。


 で、実際にゲームに触ってみたんだけど、これがなかなか考えさせる作りになってて楽しい。
 既存のゲームではカードヒーローTCGらしからぬデッキの圧縮具合で、GBらしいコンパクトなTCGに仕上げていたのが記憶に残っているけど、エレモンも同じような発想なのか、1つのデッキ辺り最高6枚のクリーチャーで構成されるというシンプルさ加減。しかもカードはコスト枠内に収めなければならないので、クリーチャーを6枚入るパターンは限定的。カードをドローすることもなく、セットしたクリーチャーで意図通りに戦闘が始められるのでデッキというよりはチームといった方がより的確なように思う。
 こうなるとTCGというよりはむしろポケモンの6vs6対戦といった感じ。ポケモンもトーナメントレベルになると能力値の割り振りや技の選択とかはほぼ固定化されて、あとは選択と運のみという感じになるんだけど、このゲームもそんな感じ。
 ドローによるランダム性が除かれている分、各種攻撃にはランダムでクリティカルが発生するように設定されているんだけど、これもどちらかというとポケモンっぽいアプローチではある。
 生粋のTCGプレイヤーにとっては乱数がゲームに関わるのは鼻白む部分かもしれないけど、でもそうでもしないとこのゲームは詰め将棋になってしまうぐらい数学的なゲームでもある。腕と戦略が極めて試されるゲームというか、デッキ事故での負けがないので理不尽な負け方をすることは少ない。ああなればこうなるという論理の帰結が明快で、トライアンドエラーを気軽に試せる作りがゲームにのめり込ませる力として作用しているように思う。


 個別のカードに目を移してみると各カードの特徴づけはそれぞれが色濃く出ていて面白い。
 大抵のTCGは枚数割増のために大して価値の変わらないカードが何種類もあったり、酷いものでは単純な上位互換・下位互換のカードがあったりするんだけど、このゲームではその手のカードを極力取っ払って総数を絞っている感じ。
 カードの種類をやれクリーチャーだ魔法だ罠だと分別しないで、全部の機能をクリーチャーに突っ込んでいるので、1枚のカードにしてもHPや攻撃力、属性といった基本的な能力の差異はもとより、それぞれが何かしらの特殊能力を持っていて、シナジーを狙ったカードの使い道を探求するのが楽しい。
 なにより最弱のカードにしても、コストが安くて、かつ属性による修正がメチャクチャでかいので、必ずどこかで使い道があるってのがいい。逆にカードの固体性能だけで単純に強いと言い切れるカードもない。どのカードもそれぞれが長所と短所を持ち合わせている。
 デッキの方向性を決めるクセのあるカードも多くて、この尖りっぷりはかなり自分好みだけど、もうちょっとカードを集めてみてから最終的な判断は下したいかな。


 てな感じで、ゲームそのもはデッキ構築と戦術に頭を悩ませる作りになっていて非常に面白いんだけど、それを取り巻くシステムデザインがかなり微妙。
 戦闘時にはカーソルが何を選んでるのかよくわからなかったり、デッキ構築時にはミス操作が多発したりと、慣れれば克服できるけど全般的に親切さに欠けていて、独特なゲームデザインをフォローするだけのシステム面での踏み込みが足りない点が多々見受けられる。


 DSの2画面の使い方も微妙で、カードの情報なんかは上画面を使って別に表示させればいいのに、下画面だけで片付けようとしてて、強引さが拭えない。
 これは上画面を戦闘画面に使用しているせいで、「3Dキャラによる迫力のバトルシーン!」みたいなのが多分開発側からのウリなんだろうけど、ユーザからすると過剰な演出はテンポを損ねるだけで面白くもなんともないんだよなぁ(ちなみに一部クリーチャーの攻撃にはムービーまで入る)。
 戦闘アニメ関連についてはDSの狭い画面でクォータービュー戦闘なんかやってるので、キャラは貧相だし、エフェクトもかなりヘボくてPS1のゲームかと思うほど。効果音がビシバシ入って爽快感があるワケでもないし、この戦闘関連の見せ方はかなりのヘッポコ感が漂ってる。
 そんな安い戦闘シーンを見せられるよりかはカードの情報が逐次確認できる方がTCGとしては遥かに役に立つワケで、戦闘シーンを含めた画面の使い方はシステムデザインの段階でもう既に失敗していると言わざるを得ない。


 最近はよくゲームの動画を購入の参考にすることが増えているけど、このゲームは動画なんか流されたら一発でアウトだろうなぁ。このゲームの楽しさの肝はデッキ構築と戦術の選択という手触りの部分なので、外面を見ただけでは購入の動機に結びつかないように思う。逆に言えば中身はしっかりしてるので、遊んでみれば楽しいってのはわかるんだけど。うーん。
 自分的には戦闘シーンはカルドセプトくらいが開発の労苦も少なく、かつユーザ側で想像できてバランスがいいんじゃないかと思う。それにアニメカットをオプションでつけてくれれば完璧かなと(DSでカルドセプト出ないかなぁ)。


 総評としてはゲームの骨格は素晴らしいけど、肉付けがおざなりという、ある意味ではハドソンらしいゲーム。まぁ、見た目はいいけど内容がダメなゲームよりは遥かにマシだし、アイディアをきちんと出して低開発費で挑んだゲームと捉えると、この辺が落し所だったのかなという気もするけど。