ゲームセンターCX買ってきた

 自分はどうも品薄とか売り切れとかの単語に弱くて、この手のワードが飛び交うゲームはつい反射的に確保してしまう。自分にとってのラストプッシュなんだなぁ。
 ゲームセンターCXも各店舗で売り切れ続出の上、次期出荷は12月中旬だかになるとか話を聞くとこりゃー居ても立ってもいられないというワケで、GEOに寄らずに帰ってきて着替えたところで、また着替えなおしてGEOに向かってしまった。なんと脆い自制心。


 とりあえずGEOでは恒例の売り切れチェック。DSではスーチーパイに、キティちゃんのご当地検定地球の歩き方タイ編が売り切れ。「なんでこんなソフトが?」と思うラインナップが意外と売れているのがDSの恐ろしいところではあるなぁ。
 Wii棚に向かってみると同じく品薄警報大発令中のバイオUCザッパー同梱版が売り切れ。Wiiのゲームとしてはこれは異例の事態なんじゃなかろうか。バイオ4Wii、宝島と意欲作を送り込んできたカプコンの熱意が報われるのかな。
 Wii棚で唯一6000円台の輝きを放っているオプーナ様の存在感は異常。これより高いソフトがザッパー同梱のバイオUCとゴーストスカッドしか見当たらない辺り、やはり格が違うと言わざるを得ない。


 で、目的のゲームセンターCXはどうやら大量に入荷してたらしくあっさりゲット。ゲーマー層向けが弱いGEOらしくダンジョンエクスプローラーは影も形もなかったんだけど、今日に限って言えばむしろ助かった気持ちでいる。こっちもディアブロライクで楽しそうなんだよなぁ。
 予約特典の課長名刺とステッカーも貰いつつ、店員のお兄さんの親切な接客態度にちと感動。こういうお店にはまた寄りたくなるね。


 てなワケで早速ゲームセンターCXをプレイ。ゲームセンターシィーエーックス! 課長オーン!
 ちなみにゲームは有野課長の少年時代という設定なので、このフレーズは「有野オーン!」にとって代わられている。ちょっと違和感。


 ゲームは魔王アリーノーによって過去に飛ばされてしまったプレイヤーが有野少年と共にアリーノーの挑戦状を攻略していくという内容。挑戦状をクリアするごとに新たなゲームとゲーム雑誌が出現する進行形態なので、最初から任意のゲームをプレイすることはできない。RPGのガディアクエストなんかは作中で何度も発売が延期され、なかなかプレイできないという焦らしっぷり。そんなとこまで再現せんでも(笑)


 ゲームの合間はインターミッション的にゲーム雑誌や有野少年との雑談を楽しめる。
 ゲーム雑誌は攻略情報や裏技が満載。勢いと馴れ馴れしさのある文体はどこか垢抜けてない昔っぽさがあっていい。今の雑誌はクールっていうか情報誌に徹してる感があるよね。ゲームセンターCXを知ってると見知った名前が出てくるのでなお面白い。人事異動多すぎる(笑)


 肝心のゲーム部分は、上画面にゲーム画面が表示されて、下画面はプレイヤーと有野少年がゲームをプレイする様子が映し出される。
 上画面の状況に応じて下画面の有野少年が突っ込みを入れてくれるんだけど、ダメージを受けると「あー」とか、敵を纏めて倒すと「おぬしなかなかやるな」とか、GAMEOVERになると「またガメオベラや……」とか色々と反応を返してくれる。これが結構楽しい。
 スマブラで観客から歓声を貰うと嬉しいのと同種の感覚ではあるけど、褒められるだけじゃなくて貶されることもあるのでより「見てろよ、うまくプレイしてやるからな!」という気分になるのかも。
 これは自分のインプットに対して、ゲーム側からのフィードバックと有野少年からのフィードバックの2重のフィードバックをプレイヤーは享受することができるので、普通にゲームをプレイするよりも格段にインプットのパフォーマンスは優れている。友達と集まってゲームをするのはなぜ楽しいのか、その理由が今にしてわかった気がする。
 だからこそ「お腹すいたな〜」とか「寝てもいい?」とか無関心な突込みをされるとすんげー腹が立つ(笑) 好きの反対は無関心とはよく言ったもんだなと。


 挑戦の内容は、本家ゲームセンターCXでいうところの第1ステージの『鉄機の4面クリア』とか『スターフォースのラリオス合体前撃破』とか『ドアドアの6匹閉じ込め』とかその手のタイプの挑戦で、「全面クリアでエンディングを目指せ!」みたいな体育会系なノリではない。どっちかと言えばゲームの要素を理解させるためのチュートリアルに近い感じ。難易度もかなり控えめ。
 全面クリア型の挑戦は挑戦状クリア後に現れる『やりこみモード』がそれに相当する感じらしい。ただ、こっちは有野少年の突っ込みが入らないらしいのでちょっと不安が残るなぁ。




 ゲーム全般についてはこんな感じで。あとは個々のゲームについて触れてみようかな。


・コズミックゲート
 最初にプレイヤーに用意される挑戦は『コズミックゲート』というSTG。元ネタはギャラガかな。
 自分はギャラガをやったことがないのでアレなんだけど、初心者は出てくる敵を次々に打ち落とすのが面白いし、上級者は敵がフォーメーションを組むのを待って、それから纏めて倒してハイスコアを目指すのが面白いという、初心者用と上級者用にモードを分けたりするんじゃなくて、どちらにも対応できる土台を簡潔に作り上げてるのが白眉だなと思った。
 昔のSTGはスコアを稼ぐことと面をクリアすることがほぼ同一線上にあって、習熟すればするほど幾何級数的にゲームを楽しめる反面、初心者は最初の敵にぶつかってゲームオーバー、なにが面白いのかさっぱりわからない、なんてことも珍しい話じゃなかった。
 これはSTGがインカムを稼ぐためのアーケードゲームから出発した名残を捨てきれないためなんじゃないかと自分は思うんだけど、そういう意味でレトロな雰囲気を伴いつつインカムの呪縛から逃れたこのゲームは、見た目こそオマージュの塊ではあってもスタンスとしてはオリジナリティに溢れた力作なんじゃないかと思う。
 STGのヘタな自分でも「あ、なんかオレ上手くね?」と錯覚できる位には進めるし、貫通弾で敵を纏めて倒したときの爽快感もある。10点刻みのスコア(これまた懐かしい)だからこそ嬉しい巨大隕石撃破の15000点ボーナス。
 ゲームセンターCXで初めてSTGを触るようなユーザに対して、「STGって楽しい!」と思って貰うための愛情が詰まったゲームだと思う。



・からくり忍者ハグルマン
 2つ目は『からくり忍者ハグルマン』。攫われたお姫様を救うためにカラクリ仕掛けの忍者ハグルマンが立ち上がる、というベタな内容のアクションゲーム。
 冒頭のお姫様が攫われるシーンとか、魔界村の鎧制度とか、2週クリアで真のエンディングとか、味付け自体は魔界村のテイストがメチャクチャ見えるんだけど、中身は忍者じゃじゃ丸君とドアドアの組み合わせみたいな感じで、確かにあの時代っぽい雰囲気がある。
 敵を倒すためには大別して踏みつけるか、回転扉で弾くかの2種類があるんだけど、踏みつけはマリオから始まる伝統的なアクションの手法で敵に接近するリスクとリターンのバランスが楽しいし、回転扉は離れた敵を場合によっては纏めてプチプチと潰せるので上手く決まると楽しい。
 補助武器として敵をピヨらせる手裏剣があるんだけど、これが効かない3面の鎧の敵はナイスだなと思った。クッパも屠る最強のファイアーボールを投げつけてもビクともしないメットを初めて目にした時のような感覚。凄い機能的なデザインというか。
 逆に咀嚼が不十分だなと思ったのは鎧制度。鎧制度のキモは敵の攻撃を1回耐えられることじゃなくて、パンツ一丁のアーサーがピンチだと視覚的にわかることだと思う。なので目が飛び出ただけのポンコツ状態ってのはネタ的にも普段のグラと比べて落差が足りない。カラクリ人形って設定なら一回攻撃を食らったら骨組みになってしまう、くらいの潔さが欲しかった気がするなぁ。……ってそれはニンジャウォーリアーズか。



・ラリーキング
 某N社のM兄さんと某C社の騎士Aさんを合体させたようなマーサーアリオさんがラリーに挑戦する俯瞰型レーシングゲーム。F1サーカスみたいな感じというか、今の世の中でこのタイプのレースゲームが絶滅してしまったので当時を知らない人にはナンダコレと思われるかもしれない。
 とは言えゲームはシビアなステアリング捌きを要求されるタイムアタックというよりは、ガリガリとドリフトをかましてターボで突っ切るパワフルなゲーム。ターボを決めた瞬間の時速300Kmのスピード感がスゲー気持ちいい。
 慣れないうちはターボを決めても壁に激突しまくりですぐに爆発炎上してしまうので、ベタにアクセルを踏みつつ安全運転でコースを覚えるのがクリアの近道だと思う。
 このゲームは特に有野少年の突っ込みが激しくて楽しい。ターボで前の車を2台纏めて抜き去ったりすると驚いてくれるし、カーブが厳しくてアイテムを取り損なった時に「アイテム取り忘れてるやん!」って言われて「そんな余裕あるかー!」って心の中で突っ込み返すのも楽しい。
 突っ込みに関しては次のコーナーが右か左かナビってくれると協力してる感があってよかったんだけどなぁ、とかレースゲームをやる時に弟をナビ代わりにしてた自分は思う。たまに方向間違えたりしてね。
 主人公がM兄さんに似ているのは課長の「ルイージ出してください」って嘆願の結果なのかもしらん、とふと思った。



・スタープリンス
 言わずとしれたハドソンのスターソルジャーのオマージュ的なSTG。タイトルの脱力感がなんか笑えてしまう。
 まず最初に驚くのはタイトル画面のBGM。このゲームは前述のコズミックゲートの発売元TOMATOの新作STGという設定なんだけど、コズミックゲートでは2音くらいのチープな電子音だったのが、ここに来て途端に重厚で迫力のあるゲームサウンドに進化してるのが実に衝撃的。
 提示された挑戦状をクリアしないと次のゲームがプレイできない、というこのゲームの仕様は最初から色々なゲームを遊びたいユーザにとっては少々不親切な作りにも思えるけれど、ゲームの進化を垣間見させるこの仕掛けを見せられた自分は、これだけでもその選択が英断だったと納得できる。
 普段はもっと高級な音源のクリアな音楽を聞いているにも関わらず、ファミコン相当の音楽に唸ってしまった。これは音楽だけに限った話ではないんだけど、やはりゲームを理解するために時代性を蔑ろにすることはできないなと。今では物凄くチープに見える作品群もその当時の最先端の技術と思想が詰まっていたりするしね。ゲームセンターCXはそういうことを特に考えさせられるゲームではある。
 で、前置きが長くなったけど、ゲーム自体は激しく爽快な撃ちまくりSTG高橋名人の名言、「シューティングは、弾を避けるものではなく敵を倒すものなんですよ。」がまさに体現されたゲームで、敵も構造物も撃ちまくり壊しまくり爆発しまくりのドンパチゲー。いやー、STGはやっぱりこうじゃなくっちゃ。
 自分はあまりSTGをやらないので深くは語れないんだけど、基本的にSTGは操作ミスを誘って殺すより、判断ミスを誘って殺すべきだと思う。STGの一番悔しくて面白い死に方は敵を倒すために自機を敵の真正面に置いたけど間に合わずに体当たりを食らって死亡とかの形なので、プレイヤーを釣り出す敵の配置が面白さに直結するように思うなぁ。
 そういう意味ではこのスタープリンスは釣られて死亡パターンが非常に豊富で「ああ、やっちゃった!」と思いつつ再度プレイに挑んでまた死亡というSTGの面白さを感じられるゲームになっていると思う。
 強いて難点を挙げるとすれば爆発音が少々寂しいところ。「バチュンバチュン!」みたい感じじゃなくて「ズギャオンドグァーン!」みたいな敵一体倒すだけでも核爆発クラスな爆音を轟かせてくれないと敵を倒した手応えが伝わってこないように思う。爽快感が醍醐味のゲームなだけに特にSEの頼りなさは画竜点睛を欠いているように思えた。勿体ない。


 てな感じでとりあえずゲーム4つの感想を。残りのゲームはまた日を改めて。
 個人的には有野少年の突っ込みがもっと頻繁でバラエティがあるとなおよかったかなと思う。ゲーム自体の演出が時代もあってシンプルなので、シーンとした状況だとちょっと物寂しさを覚えるのよね。
 あとゲームクリア時にはそれこそ本家ゲームセンターCXのような盛り上がりが欲しい。って考えると、次回作ではもう2,3人友達呼ぼうぜって感じではある。カオスすぎるかなぁ。それがいいんじゃないかなとも思うんだけど。