亜空の使者をクリアしましたよ

 今回はネタバレも取り扱っているので未クリアの人はご注意を。


 達成率は81%。取り残しが結構あるので100%を目指すのはちょいと根気がいりそう。他にも遊びたいモードは沢山あるしねー。
 全体を通してみて、スマブラそのものをアクションとして流用することの難しさを改めて感じたというか、アドベンチャーモード単独の魅力を提示しきれなかったかなという印象が強い。


 アドベンチャーモードに限らず、100人組み手やホームラン競争と言ったミニゲームスマブラの対戦モードにぶら下がる形で存在しているんだけど、今回の亜空の使者は扱いとしてそれらミニゲームとは別の立ち位置、対戦モードと並列するような立ち位置として喧伝されていたので、もう少しオリジナリティが出るのかなと思っていた。
 まぁ、余りにも数値をいじりすぎて、それが本編と別の形になってしまうのは開発の本意ではないと思うので、対戦モードと同軸線上にアドベンチャーモードを置いた形があの亜空の使者なんだと思う。とは言え、「もう一つのメイン」と呼ぶには至らなかったかなというのが正直な感想ではある。


 アドベンチャーモードを振り返ってみて、最大の魅力はなんだったのかと問われると真っ先に浮かぶのが要所要所で展開されるムービー。あのムービーはテンポも良くて、内容もユニークで、映像表現も素晴らしかったんだけど、こうやってムービーをべた褒めすると逆にゲーム本編について触れづらくなる側面もあって、なんというか非常に歯がゆいところがある。
 本編の最大の問題はスマブラのキャラクターの挙動はアスレチック状のステージ構成に合致しないということだろうか。多くのキャラは挙動がクイックではないのでどうしても間が緩んで緊張感に欠ける。その癖細かい制動が難しく、触れると弾かれる障害物に何度もぶつかったりしてやきもきさせられる。
 道中の敵キャラも全てを叩き切っていくような爽快感を感じる前に、囲まれて為すがままに殴られることが多く、「吹っ飛ばされなければ負けじゃない」というスマブラの特徴が逆になぶり殺しを招く敵構成を許しているようにも思えた。
 またステージ構成もメリハリがなく、最終ステージの○○○はそれまでのステージの流用ということもあって、アクションゲームの魅力としての次のステージへの期待感、意外性に欠ける展開が多かったのも残念な点ではある。


 まぁ、これらの事情も全てはスマブラ本編の材料を流用した結果ということで納得はできるんだけど、やっぱりそこまでに留まってしまって、プラスアルファは望めなかったのは残念。
 ただ、この亜空の使者がまったくの無駄なオマケだったかと言えばそうでもなくて、このモードがあったからこそあの○○○○は最大限のインパクトを伴って登場できたんだと思う。これがなかったら多分このキャラは古参ゲーマーとアメリカ人しか喜ばなかった思うんだよなぁ。
 それは裏を返せば○ー○○○ッ○の2番煎じ的なサプライズを避ける仕掛けとして、亜空の使者は用意されたのだと考えることもできて、いかにサプライズを待っているユーザにサプライズを与えるのが難しいかということの証左でもあるように思う。
 小林幸子の紅白衣装が年々巨大化を続けるように、サプライズを演出するためにはより大掛かりな仕掛けを使わざるを得なくなる。その意味でも桜井さんが「スマブラはもう作れない」と零すのは確かにそうなのだろうと思う。「同じ面子で同じゲームを作りたくない」という言葉も同様に。
 これはスマブラに限らず、スマブラと同様の量の拡充によって魅力を提出する多くのゲームが根源的に抱えている問題だと思う。或いはスマブラならその袋小路を抜け出す秘策を持っているのではないか、と自分は期待していたんだけれど、それはやっぱり難しいのかな、というのが今回の感想。


 それにしても亜空の使者のおかげで素晴らしい登場を果たしたキャラもいれば、一方では「これは余りにも……」というキャラもいたりする。まぁ、○○ー○さんはいつも通りなのでそれでいいとして、最後に出てくる○○○○はあっさりしすぎてて、この扱いをファンはどう思うんだろうと他人事ながら心配してしまったりもして。同じく初登場の○○ー○が物凄いイカした扱いだったので期待はあったんだけどなぁ。うーん。悲喜交々。