バンガイオー魂

 MP3データ読み込めた! 弟が持ってるオーディオ用のゴッツいイヤホンを借りてきたら凄いスムーズに読み込めましたよ。とは言え、音量調整等必須なので、まずは公式のダウンロードページのサンプルを使って、読み込むための環境を整えるといい感じかと。自分で録音する際の参考にもなるしね。
 ちなみに公式サイトはこちら。スペシャルの項目にステージ配信があります。


 http://www.esp-web.co.jp/products/bangai-o/index.html


 それにしても音声データでマップが出来上がると、それだけでなんか感動があるね。まぁ、読み込みに四苦八苦したので、その分感慨も大きいです。
 作業自体は結構面倒なので、Wi-Fiやらで交換した方がカジュアルなユーザにも受け入れられるのかなとは思うんですが、MP3データをPC上で管理できるのがここではミソですね。元データを抑えておけば好きなときにインポートできますし、エディット枠の24個制限も気にせずにマップを集められるのが手軽でいい感じです。
 ちなみにMP3データ自体はガガーピーみたいな感じなので、耳を痛めないように注意が必要です。




 さて、世界初音声マップについてはこの程度に留めて、実際のゲーム部分はどうか、と言う話に移ろうと思うんですが、そもそも自分はバンガイオーの64版、DC版をプレイしてません。そーゆー前提の上での感想ということでご理解ください。
 「バンガイオーって何?」レベルのユーザが感じたゲームの印象と言いますかね。経験者からすれば当たり前かもしれないことに、イチイチビックリしてたりするのかもしれません。


 まず、バンガイオーとはなんぞや、と。購入前に自分が想像してたのは、縦スクロールの弾幕STGでした。怒首領蜂とか大往生とかそんなの。って言っても、自分はプレイしたことないんですが。
 が、実際に蓋を開けてみれば、バンガイオーは、ロボを操って上下左右に自由自在に動き回るアクションシューティングという感じでした。一番近いなと感じたのはFCのZガンダム・ホットスクランブルの2Dモードなんですが、あれをメチャクチャ軽快にしてバリバリ弾を撃つような感じというか。分かる年代が著しく限られますな、これ。
 うーん、飛行可能なメトロイド? なんか似たようなジャンルのゲームってありそうで思い浮かばないんですけどね。とりあえずガチガチのSTGではないです。普通にARPGとかを触れるユーザなら十分に遊べるゲームですね。


 でまぁ、ゲームとしては出てくる敵を撃って撃って撃ちまくる、非常に単純明快なゲームです。敵を追尾するホーミング弾や壁で反射するバウンド弾から始まって、敵を切り刻むソードや敵弾を跳ね返すバットなど接近用の武器まで用意されていて、豊富な武器の組み合わせを楽しめます。
 タメ攻撃であるEX攻撃の豪快さも特筆モノですね。敵の攻撃を引き付ければ引き付けるほどEX攻撃は威力が上がる仕組みになっているので、絶望的な弾幕に囲まれた瞬間からの一発逆転の快感が味わえます。
 最大100発の弾丸が戦場を一気に舐め尽す瞬間は、処理オチも相俟って昔ながらのSTGのようなニュータイプ感が味わえます。敵が破壊される際のSEなんかもコミカルな悲鳴が聞こえて心地よいですね。バットのガッキーンってSEが自分は大好きです。


 演出面では自機と弾の軌跡が逐一表示されるのがスゲェカッコイイなと思いました。まぁ、要するに納豆ミサイルです。板野サーカスですね。
 ダッシュを用いてマップをヒュンヒュンと駆け回ると、青い軌跡が残って自機の細やかな動きがよくわかりますし、大量に撃ち出した弾丸がそれぞれ軌跡を描いてこれがまた美しい。壁で反射するバウンド弾なんかはR-TYPEの反射レーザーを思い出しますね。


 てな感じで、全体の雰囲気を言い表すならば、とにかく「爽快」の一言に尽きます。自機の機動がスピーディで、敵に弾丸をぶち込む触感が楽しくて、大量の弾幕と巨大なボスには逆転一発のEX攻撃が火を吹きます。
 単機で敵の大群のミサイルを潜り抜け、バットで飛び交う弾丸を打ち返し、隙を見てチャージを開始し、敵弾が間近に迫るその瞬間にEX攻撃で倍返し。操作性が軽快で、なおかつレスポンスも良好なので、触感は素晴らしくいいですね。
 処理オチありきの速度設定なので、通常弾を撃ってるだけだとややモタつくところもあるのですが、瞬間的に処理オチが消えたりすると物凄く高速で自機が動いたりするので、オールドタイプの自分はこの程度のスピードで十分ですね。習熟すればするほど、派手でスピーディなプレイが楽しめるゲームなのだと思います。




 という感じで、ゲームそのものは非常に面白いのですが、入り口となるチュートリアルがイマイチ練り込まれていない欠点もあります。ステージ前の説明は冗長でわかりにくいですし、武器や操作が多すぎて、武器の性能と使い方を捉えられないうちに、次の武器の紹介が始まると言う感じで、1回の試行でわかった気分になれないことが多いです。
 キャラのスキットも始終説明に終始していて、雰囲気を味わうセンスのあるテキストはホント微小ですしね。前のインタビュー記事にJ9ネタがあったので、そんなのがふんだんに盛り込まれているのかなーと思ったら、それがほぼ全てだったという。
 あと、アクションの習熟が必要なところで、いきなりエディットの説明に入るのもどうなのかなと。エディットモードにヘルプを添付できなかったのでチュートリアルに捻じ込んだ雰囲気で、どうもスマートさに欠ける気がしますね。


 マップ自体も、操作の習熟が必要な段階から全力で殺しに来る構成で、ゲームに慣れないうちは、ステージ開始即死亡というパターンも多くて、なんと言うか実にシュールです。
 これが例えば任天堂のゲームだったら、マップの構成を物凄く単純にして、内容を小分けにして、使える武器も制限して、アクション画面を表示しながら説明とかするんだろうなぁ、みたいな。そういうのが凄く想像できるんですが、このゲームに関してはそんな今風の配慮は一切なしに、死んで覚えろを地で行くのが、なんというか不親切でもあり、愚直でもあります。まぁ、昔っぽいゲームではありますね。


 まぁ、でもスーマリで最初のクリボーにぶつかって死ぬのを延々と繰り返して、それでようやく操作を覚えるような、そういう歯ごたえは感じるんですけどね。実際、ゲームオーバーになっても復帰が物凄いスムーズなので、ガンガン再プレイを繰り返せるのはいいところですし、1プレイが軽いせいで、何度も何度も挑戦していくうちに、知らずと時間が吸い取られてしまうゲームではあります。
 あと、割とよく耳にする「パズル面が多すぎる」的な話は、操作に慣れるために用意された面を指してるのかなと言う気がしました。それも自分は凄く楽しくプレイできたんですよね。まぁ、チュートリアルの延長上のマップなので、前作経験者にとっては歯痒く感じられるのかなと。
 50面以降は前作っぽい構成のマップが多いらしいので、前作のコンセプトを全く捨ててしまったのではなく、パズル方面に枝葉を広げて遊び方を増やしたのが今回のバンガイオーなのかなと。面セレクトは制限がなくて、いきなり最終面を遊ぶこともできますし、まぁ、ユーザが自分の力量に合わせて遊びたい面を遊べばいいのかなと思います。




 てな感じで、総合評価としては紛れもない良作。自分は特に触感とテンポとコンセプト。この3点を重要視していますが、バンガイオー魂はそのどれもが十分な水準を満たした力作です。一方で、レベルデザインの不足、チュートリアルの欠如にキャラを生かし切ってないスキットなど、アクションシーンを取り巻く環境にはやや荒さが見えて評点が辛くなってしまうのですが、根本的なシステムは非常にセンスよく纏まっています。
 このゲームの面白いところはユーザのステージエディットがまだまだ本格化していないってことで、ゲーム自体の枠を広げるポテンシャルを物凄く秘めたゲームだってことです。
 言ってみれば、ユーザは大きな砂場をポンと与えられたようなもので、これからゲームをどう遊ぶかはまったく自由に任されているんですね。そういうコンストラクション的な楽しみに魅力を見出せる方は、このゲームと長く付き合っていけるのだと思います。