スラッシュさんが面白すぎる

 幻霧ノ塔ト剣ノ掟の話。5階クリアまでのネタバレがあるのでちょっと前置き。未クリアの方はご注意を。


 そう言えば、このゲーム、次の階に昇ると取得経験値がいきなり2倍くらいになるんですよね。その分敵も強くなるんですけど。
 このバランスの組み方は、一見大雑把ではあるんですが、硬骨な感じで実にいいなぁと自分は思いました。無印世界樹の第2層に突入したときのような突き放され方というか。
 もう敵は強くてガンガン食らうけど、こっちもガンガン攻撃してたら、なんかガンガン経験値は溜まるし、ガンガンレベルは上がるし、みたいな。レベルアップのテンポが軽快なRPGはいいRPGです。
 なので、もし途中までゲームを進めて、「あ、やべ、キャラの作り方間違えた!」とか思っても、改めてキャラを作り直して浅い階をウロウロするよりは、次の階に向かってそこで新キャラを鍛える方が効率的だと思います。
 それと同時に、経験値を上手いこと稼げるポイントを発見したとしても、そこでダラダラレベリングを続けるよりは、探索をこなして次の階に向かった方が精神衛生上も健やかにゲームを進められるのかなぁと。
 強まったキャラでザコを叩きのめしていても、これはこれでダレるんですよね。B1で少々キャラを強化しすぎて、自分は2階を歩き回るのがちと億劫でした。貰える経験値は少ないしねー。


 てな感じで、以下ネタバレです。




 幻霧ノ塔ト剣ノ掟には、面白いNPCが多数登場します。3階の巫女が実は○○○だったことを知った瞬間、小さくないショックを受けたりもして…… ああ、いやいや。
 えー、その中で、なんか自分が気に入ってしまったのが、5階に登場したスラッシュさんでした。このスラッシュさん、見た目はヴィジュアル系バンドのボーカリストチックな感じで、職業はなんか魔を狩る者(?)とかそんな感じの人です。イベント終わっちゃったので大分うろ覚えで書いてます。
 ところでこのゲームは、最大の特徴として、ダンジョンやキャラ、BGMに至るまでを「今風に演出する」アレンジモードと、「昔懐かしい」オリジナルモードの2種類があります。
 背景だけじゃなくてキャラの立ち絵なんかも変わっちゃうんですよね。電撃の特設ページを参考に。


 http://dol.dengeki.com/pr/genmu/chunen1.html


 ↑こんな感じで。


 で、このスラッシュさんの風貌はアレンジモードでの描画なワケですが、これがオリジナルモードになるとどうなるかというと…… これが(電撃のギルド長と同じ)M字ハゲのオッサンになってしまうんです。えええええ!?
 いやまぁ、単純に男性キャラの流用ではあるんですが、若者の立ち絵すら用意して貰えないというのは余りにも酷すぎやしないかと。何よりヴィジュアル系からM字ハゲってのは、落差がとんでもないです。
 しかし、同時にこの瞬間、自分は天啓を得たりもしたのです。この人、2枚目に見えて実はネタキャラなんじゃ……?


 さて、オッサン姿のスラッシュさん。彼の話によると、どうやら彼はクリムゾンと言う名の魔族の魔術師だかなんだかを退治するべく塔を巡っているという、どうやらそんな事情みたいです。
 でまぁ、彼もおくびには出しませんが、なんだか(ハゲるほどに)困っているみたいなので「何か手伝えることはないか?」と聞いてみると、「いや、奴を倒せるのはオレだけだ。奴にトドメを刺すには聖別された魔族の血が必要で、それはオレの体にしか流れていない」みたいなことを言い出すワケです。すいません、この辺り固有名詞とかホント適当です。
 しかし、この人、どうやら真っ当な人間じゃなくて、彼の追うクリムゾンと同じような、あっち側の人らしいですね。うーん、強いて言うなれば、ショッカーの怪人を倒すために奮起する仮面ライダーみたいなもの?
 でもまぁ、彼も魔族だっていうのなら、自分の血を聖別なんかして痛くないの、みたいに聞くと「いや、痛いけど奴を倒すためならば……」とか「いざとなったら手首を切って血をぶっ掛けてやるさ」みたいなことまで言い出してきて、なんかこの人、ただの中2病なんじゃないかと思えてくる始末です。冷静に考えてみれば、この設定もかなりぶっとんでるような……
 ともあれ、最初の出会いはそんな感じで。まぁ、ちょっとイタい人かもしれない、みたいな。そんな感じだったんですけども。


 で、ある時、スラッシュさんにあるアイテムを見せたんですね。そしたら彼は、「それは調査する必要があるかもしれないな……」とか言って姿を消したんです。
 うーむ、何かのフラグが立ったのか。まぁ、ともあれこれでクリアに一歩近づいたのかなーと思いつつ、ダンジョンを歩き回ってみると。


 スラッシュさん、なんか捕まってました。えええええ!?


 ちょい、あんだけデカい設定ひけらかしといてあっさり捕まるなってーの! しかも鉄仮面で顔を覆われて全身を鎖でグルグル捲きとか物凄い酷い有様です。つか鉄仮面て。どこのスケバン刑事ですか。
 でまぁ、仕方がないのでダンジョンの仕掛けを解いて鍵束を探し出してきて。それでスラッシュさんの戒めを解いてあげるんですが、このときのメッセージも凄い投げやりです。鍵が沢山あって超面倒、みたいな。まぁ、そりゃそうだろうなぁとは思うんですが。
 ようやく救助されたスラッシュさん。一体どうしたのかと聞いてみると「調査に向かったのだが、捕まってしまった」とアッサリ。いや、もうちょっと慎重に行こうよ……
 しかもどうやら彼の怨敵クリムゾンは、この塔で強大な力を手にしたらしく、それを破るアイテムを見つけなければ、幾らスラッシュさんと言えども太刀打ちできないと、今度は弱音まで吐く始末です。
 じゃあ、探してくるからヒントでもくださいよ、と自分は思うんですが、「それはきっとこの塔にあるハズだ。間違いない」とか、当たり前すぎることしか教えてくれなくて、ホント無意味もいいところです。いや、自分で探しに行けよ、とまでは言いませんけどね。なんかね、もーちょっとね、ヒントをくれてもバチは当たらないと思うんですよ。
 実際この5階は、クリアするために色々なアイテムが必要な階で、今のところ今作の最大の難所なんですよね。スラッシュさんの設定語り分の容量を少しだけヒントに回してくれていれば…… と思うと、ちょっと涙が出てきます。


 でまぁ、色々あって、クリムゾンを打倒するためのアイテムを手に入れたパーティは、クリムゾンがいると思わしき部屋へと直行します。その扉の前で待っていたのはなんとスラッシュさん。
 そこでスラッシュさんは、「オレも一緒に戦うぜ!」とパーティに加わります。おお、NPCとの共闘とかサガ2っぽいな!
 スラッシュさんは、ボス部屋の前に張られていた結界をあっさり解除。ようやく仮面ライダーの面目躍如です。部屋に飛び込むと、そこには悪の巨魁クリムゾンの姿が。前口上を述べてから戦闘に突入です。


 でまぁ、さすがにボス戦ということもあって力が入ります。
 戦士が突撃をかまして2回ヒットで30点のダメージ! とか。
 戦士が慎重に攻撃を繰り出して2回ヒットで20点のダメージ! とか。
 魔術師が呪文の攻撃で30点のダメージ! とか。
 次々に攻撃を繰り出してクリムゾンを追い詰めます。さぁ、そして次はスラッシュさんの出番です!


 スラッシュの攻撃は2回ヒットして6点のダメージ ……って、えええええ!?


 えええええ、その程度であんな大口叩いてたんですか、この人は!? つーかクリムゾンは魔法攻撃がかなり強力で、正直こっちもきっついんですが。


 そんな感じで、スラッシュさんは空気のままでしたが、クリムゾンの撃破に成功します。「肉体は滅びても魂は滅びぬわフハハハハ!」と逃げを打とうとするクリムゾンですが、スラッシュさんの魔族の血を浴びせられて遂にはトドメを刺されます。
 つーか、スラッシュさん、戦闘では役立たずだったのに、一番美味しいところを持っていきましたね。


 クリムゾンを打倒したことで、パーティに別れを告げるスラッシュさん。なぜか「引き止める」みたいな選択肢が用意されてるんですが、これは一体……
 まぁ、引き止めて居座られるのも困るなぁと思って、社交辞令的に挨拶を交わして別れたんですが。今になって思えば、あれは一体なんだったんだろうとちょっと口惜しい気分でいます。




 てな感じで、なんだろう、一言では纏めにくいんですが、味のあるキャラでした。というか、ただのヘタレなんじゃ、って、いやいやいや……
 まぁ、「オレのスラッシュさんは、こんな人じゃない!」という反論は受け付けます。大分穿った見方だというのは自覚もしてますので。でも何か彼は、自分の中のヘタレセンサーに引っかかった気がするんですよ。
 スラッシュさんの再登場にも期待したいところなんだけど、どうかなぁ。このゲーム、あんまりNPCとの関わりとか希薄っぽいですしね。Wiz5に則るなら、もうお役御免なんですよ。うむむむむ。
 あとまぁ、もうちょっとテキストは読み込んでおけばよかったね、ってことで。




 あれ、オスカー君に使う時計ってヒョウタンじゃないのー!? orz