GTSは鉄火場の匂いがする

 本当に今更なのかもしれないですが、ポケモンGTSにハマってます。うわー、これは楽しい。
 最初パッと見たときは、「ポッチャマLV1でパルキアLV100募集!」とか「ビッパLV1でミュウツーLV100募集!」とか、異世界の光景が広がっていて正直頭が痛くなるような思いにも囚われましたが、まぁ、試しにキモリを預けてナエトルを要望してみたら上手いこと成立しましたしね。そこらに並んでいるアレな案件はスルーして、自分の欲しいものと出せるもののバランスを考えれば理性的に取引は行われる物なのだとわかって、とりあえずホッとしました。
 でまぁ、そうと分かれば心にも余裕が生まれてくるというもので。GTSの大部分を占める意味不明なトレードの海の中から、ちょこっとだけ顔を覗かせるまともな案件を探し出してきて、それで手持のポケモンを見ながら交換するべきかどうか思案する、というやり取りが宝捜しみたいで非常に面白く思えてきたんですね。
 自分のところは調子に乗って孵化させまくったキモリがボックスを占有しておりまして。いつかひょっとしたら交換するかもしれないなー、的な思いでずっと置いといたんですが、これがなかなか日の目を見ることもなく放置されていたんですよね。
 で、逃がしてしまうのもアレだなと思いつつ、ボックスには制限があるものでどこかで割り切らなくちゃならないと思っていたところでのGTS。いやぁ、娘の嫁ぎ先を見つけられたようで嬉しいです。


 でまぁ、そんな感じで色々と交換を進めていると、変な案件を見つけたりもするんですよね。「ユクシーLV50でゴローンLV60募集」とか。え、そんなのでいいの?
 まぁ、一瞬改造とかのアレなのかなーと思ったりもしたんですが、それにしてはゴローンLV60は種類的にもLV的にも突き抜けっぷりが足りないなぁという感じで。ひょっとしたら向こうはGTSに慣れていない子供なのかもしれないと思ったりもしたんですが、まぁ、ゴローンLV60程度ならハナダのどうくつにいたような、と思って、ファイアレッドで捕まえてきたのをちょっくら送って交換と相成りました。
 貰ったユクシーは見た目は、まぁ、普通で、経歴を見てもおかしなところはなさそうです。経験値もちょっと稼いだ跡が見られるので、2,3回戦闘させて放り出したって感じなのかなーと自分は見ました。実際どうなのかはわかりませんけど。


 そんな感じでソフト1本で1匹しか捕まえられない貴重なポケモンが、あっさりと手元に転がり込んでくると、なんだかポケモンも随分と様変わりしてしまったんだなぁと感慨深く思ったりもします。初代のポケモンなんかは、GTSどころか卵すらなかったワケで、今も手に入れるのに苦労する伝説のポケモンはともかく、イーブイやらカビゴンやらも稀少なポケモンだったんですよね。こち亀でも両さんがその手のポケモンを1匹いくらで子供に売っていた、みたいな話があったような。
 初代の頃はイーブイの進化系にどれを選ぶか物凄く悩んだり、カビゴンを稀少なポケモンと知らずに倒して進んでしまったり、それはそれで面白いところもあったんですが、まぁ、シビアな部分も多分にありまして。「取り返しが効かない」部分ってのが結構多かったように思います。(話はズレますが、最近のゲームはRPGは、その手の「取り返しの効かない」部分ってのが取り除かれる傾向が強いような気もするんですが、どうなんでしょうかね。)
 でまぁ、その頃の感覚で言えば、もし交換相手が子供だったとしたら凄い悪いことをしたなぁ、という気分にもなるんですが(TCGのシャークって用語を思い出した)、今の時代ならGTSに張りつけば目当てのポケモンは見つかるワケで、交換用のポケモンを用意するのには多少骨を折るかもしれませんが、取り返しはあっさり効くんですよね。


 そう考えると、まぁ、このGTSという場も、まるっきりの無法地帯というよりは、独自の原理が働いている市場に見えてきまして。並んでいる品物は怪しいものではありますが、どれもこれもが魅力的に思えてくるんですよね。
 紳士淑女が交流を図るための洗練されたティーラウンジ、と考えるには、GTSは余りに如何わしさが立ち込めていて用を成しえません。それが子供もアクセスする場として適正か、Wi-Fiの安全・安心の理念に沿っているかと言えば、まぁ、ちょっとどうかなと思う部分もありますが、そういう雰囲気に敷居を感じる人は、コードを交換するなりして、手近な人と交換を楽しんでくださいねってことなのかなとも思っています。まぁ、これは本題からズレるのでこの辺で切り上げますが。
 で、GTSかどちらかと言えば、二束三文のガラクタを高値で売りつけようとする闇マーケットのような雰囲気があります。出品されている物はどれもこれもがウソ臭い。でもその中にほんの僅かに価値のある商品が隠れている、みたいな。
 そこで玉石を選り分けるのはユーザのセンス次第だと思うんですが、それを「面倒くさい」と思う人にとってはGTSは不向きだと思いますし、「ワクワクする」という人には堪らない場だと思うんです。自分は後者でした。
 なんというか、これはやきゅつくで選手をトレードしていく楽しさみたいなのがあるような気がするんですよね。手元に置いてみて、実際に見てみないと価値がわからない、みたいなリスキーな部分も含めて。
 なのでGTSは、本気で誠心に取り組もうとするにはちと不向きな場所なのかなと思います。改造ポケを貰ったら、その改造ポケをひょいと誰かに手渡すぐらいの割り切りというか、ババ抜きじゃないですけど、ジョーカーを引いたら怒るんじゃなくて、ニヤニヤしながら相手にカードを引かせるくらいのふてぶてしさが必要な場所ではないかなと思うんです。でまぁ、帰ってくるカードもまたジョーカーだったりするんですが、それはそういうものなんだとも考えて。
 なので自分が本当に時間と労力を篭めて手に入れたディアルガを、心苦しいけれどなんとかパルキアと交換したい、みたいなアレはまぁ、止めといた方がいいなと。よくまぁ、投資は遊び金で行うものだ、という言葉がありますが、それと同じようにGTSも余力で付き合うのが本筋なのかなと、そう思います。


 あとまぁ、自分がGTSにハマってる理由として、ワールドワイドな交換ができる、ってのがあります。日本国内だけじゃなくて、世界中のユーザとも交換ができるというのはGTSの大きな特徴ですよね。
 世界規模で見れば、日本のダイパの販売数は世界累計の3分の1くらいかな? この辺ちゃんと数字を追ってないのでアヤフヤですが、確かそんな感じだったと思います。世界累計1500万本で日本が500万本くらいかな? なのでGTSも外国のユーザのポケモンが凄い多いですね。
 でまぁ、自分が既に持っているポケモンでも、英語の名前がついていたりするとなんか欲しくなってしまうという。昔、友達がみせびらかしてくれた中文版の極楽鳥(カードゲームのカードね)とか、スゲースゲーと食いついていた子供(ってほどの年でもなかったか)だったので、この手の異国モノには滅法弱いです、自分。
 あとまぁ、交換したユーザの住所が地球儀に記録されていくってのも面白いですしね。これはやってることはホントしょーもないって言えばそうなんですけど、自分だけのオリジナルな記録が作られていく、というのは、非常に面白い仕掛けだと思います。


 これなんかはWi-Fiを繋がないユーザには全然還元されない作り込みなんですけどね。でもそういう部分にちょっとだけ楽しくなる仕掛けを施すってのが、ああ、任天堂だなぁという気が自分は凄くします。
 任天堂らしさ、と言えば、通信交換の味付けなんかは自分は凄く任天堂だなぁという気がします。交換それ自体の話じゃなくて、交換したポケモンが育ちやすい、と言う点が特に。
 ポケモンのようにソフトを分割して通信交換をユーザに求めるソフトはご存知のとおり、世に数多く出回っているんですが、結局それで得られるメリットがコレクションの充実で終わってしまうとなると、メーカー側の思惑ばかりが見えて寒々としたものになってしまうように思うんですよね。
 友達と交換したポケモンは、貰える経験値がちょっと増えます。この「ちょっと」の部分が通信交換をユーザに「求める」んじゃなくて、「促す」働きをしているように自分には思います。より自然な形でユーザを通信交換に向かわせようとしているというか。
 その繋がりで言えば、外国産のポケモンからは色違いのポケモンが生まれやすいとか聞いたような記憶があるんだけど、それは……どうだったっけ?


 ともあれGTS。今は下手すると対戦育成より力が入っています。うぉー、土曜日まで時間ないのになぁ。
 まぁ、これは自分が昔っからポケモンやってる割には通信交換できる環境が殆どなかったってのが、反動的にのめり込む理由としても作用しているのかなという部分もあるんですが。なんか延々とGTS見続けてたりして。ヤバいよ。止まらないよ。




 以前ちょっと面白く思ったポケモンのエンカウントの話。田尻さんのこんな言葉があったそうな。


田尻:今までのRPGだと、どうやって敵と出会うかを省略してきていたと思うんですよ。ゲーム機のスペックが上がっても、そこの省略の仕方っていうのは変わってないわけですよね。僕がやりたかったのは、草むらなどの少年の背丈では何が出てくるのかわからないようなところに入れば、ポケモンが出てくるかもしれないということなんです。


 なんかちょっとオッと思った。意識してやってたのかー。
 ダンジョンはそうすると、薄暗くて何が出てくるかわからない、ということなのかな。技マシンのフラッシュなんてのは、まさしくそういう舞台作りをするための道具なんだしね。