E3の任天堂タイトルを見て

 E3で任天堂の年末商戦向けのソフトが発表されましたね。メインで扱われているのがWiiソフト「どうぶつの森」「Wii Sports Resort」「Wii Music」の3本で、なるほど昨年度の「Wii Fit」「スマブラX」「マリオカート」に匹敵する商材を揃えてきたなという雰囲気です。
 朝起きて目を擦りながらネットを見たら、実質的なWii Sports2とも言えるWii Sports Resort発表のトピックが真っ先に目に入ってきて、自分はかなりテンションが高まったんですが、なんかネット回りの反応は「なんか拍子抜けだわー」みたいな感想ばっかりで、アレ? みたいな違和感をまず覚えました。
 確かに、Wiiゼルダとか、ピクミンWiiとか、カービィWiiとか、パルテナWiiとか、スターフォックスとか、F-ZEROとか、あまつさえ新型DSとかの発表を期待してた人にとっては、この3作はあんまりにもカジュアル向けすぎるラインナップだったのかも知れません。自分も、まぁ、どちらかと言えば、「うわー、早く遊ばせてーっ!」という盛り上がりではなく、「これはどんだけ売れるんだーっ!?」という盛り上がりが強かったので、ソフトの売れ行きとかを気にしない人にとっては、割と期待外れの発表に映ったのかもしれません。まぁ、でもE3って要は商談会なので、ライト向けタイトルが並ぶんですよね……


 そう言えば、自分、同じような思いをマリソニで味わった記憶がありました。あの時も「マリオとソニック! オリンピック! これは売れる!」っていう盛り上がり方をしていたなぁ。どうも興奮するポイントが若干ズレているようです、自分。


 とは言え、自分的にはどのゲームにも魅力を感じますし、素直にこれは買わなければ、という気持ちでいます。それぞれ気になった点をちょっと挙げてみましょうか。


 どうぶつの森Wii
 ・見た目はDS版に近い雰囲気。ゲームデザインも従来どおり。
 ・街の追加。オークションとか面白そう。キャラがMiiに変身したムービーに爆笑。
 ・メール機能の強化。写真が添付できたりPCや携帯に送れるそうな。これは面白げ。
 ・DS版では住人から貰った家具は評価にボーナスが入る仕組みだった。オークションも同じだと盛り上がりそう。
 ・リモコンで操作している雰囲気なし。あれ?
 ・Wii Speakでボイスチャット導入。ふーむ。


 Wii Sports Resort
 ・公開された種目は、「チャンバラ」「フリスビー」「水上バイク」。前作に比べると妙にマイナー寄り。
 ・チャンバラは前作のボクシング相当かなー。素直に面白そう。
 ・フリスビーは期待大。Nintendogのフリスビーは面白かった。
 ・水上バイクは、ウェーブレース風。任天堂のレースゲームはハイレベルなのでこれまた期待大。
 ・とは言え、種目の選択はかなりマニアック。前作のボウリングやテニスに相当するカジュアルな種目も欲しい。
 ・追加デバイスWii MotionPlusを使用。中身は多軸ジャイロセンサーとのことなので、質の転換ではなく、精度の向上が図られる様子。


 Wii Music
 ・ゲーム性は薄そう。どちらかと言えばアドリブを楽しむ雰囲気?
 ・ドラムではバランスWiiボードも使用。Wiiは接続可能なコントローラーが8台に制限されているので、そうなると同時接続人数は7人まで? ドラムがリモコン2つ持ちプレイとかだと更に絞られることに。
 ・動画では6人までのプレイの様子が窺える。5人+ドラムのリモコン*2+バランスボードだと計算は合う。


 そんな感じですかねー。全体的に「これは面白そう!」という素直な期待が先立つよりも、「果たしてここの仕様はどうなっているんだろう?」という疑問が沸いてくる、ある種の謎かけのような発表ではありました。
 とは言え、色々と想像を巡らせながら、続報と解答を照らし合わせていくのも、これはこれで面白いので、自分なりに色々と推察を巡らせて行きたいなーと思っていますよ。


 例えば、どうぶつの森ボイスチャット。基本的にボイスチャットはコアなユーザが好んで、カジュアルなユーザは遠ざける性質のあるシステムではあります。確か統計でもそんな結果が出たような。
 任天堂が、どうぶつの森ボイスチャットを持ち込もうとするのは、意図としては「リンクのボウガントレーニング」で、コアユーザだけが楽しむものであったFPSを、広く一般に広めようとしたのと同じなんだと思います。コアユーザだけがその楽しさを知っているボイスチャットの魅力を一般層にも広めるために、どうぶつの森という、ボイスチャットと最もシナジーを得られるゲームを選んだのではないかと。
 ボイスチャットが楽しいものなんだ、という認識を普遍化させることで、より人々に新しい概念に慣れ親しんでもらうという。これは任天堂の掲げる「新規ユーザの拡大」の目標と、まさに方向を一つにするものですよね。


 そのために人々がボイスチャットに持つ抵抗感をどうやって和らげて行くか、というのは任天堂の腕の見せ所だと思います。まぁ、ボイスチャットを楽しんでくださいね、と直接的に提案するのではなく、声を出すことが楽しい、マイクを使うのが楽しい、というような搦め手から攻めていくのではないかなと個人的には見てます。

 例えば、住人と挨拶するとか。住人を応援するとか。室内の雑音で咲く花の色が変わるとか(クラシックを聞かせるとバラが病気にかかりにくくなる、みたいな話で)。
 声を出すことでゲームから確かな反応があれば、色々試してみたくなるのが人情かなと。言ってみれば「ピカチュウげんきでちゅう」との合わせ技みたいな感じですが、実際そんなゲームになったら、見た目は旧作と同じでも中身はまったく違うゲームになりますよね。
 まぁ、これはさすがに妄想が過ぎるのでアレですが、Wii Speak自体は密かにWiiリモコンバランスWiiボードに続く第3の入力デバイスで、見方によってはWii MotionPlusよりも遊びの幅を広げることのできるオプションではあります。どうぶつの森で普及するであろうこのデバイスをどう次に繋げていくのか、という点も個人的には気になるところですね。