Wii Musicを妄想する

 Wii Musicについての情報を集めようと思ってMixiのコミュを見てみたら、参加者が14名しかいなくて吹きました。どこの弱小メーカーのマイナーゲーなのかと。アヴァロンコードでさえ、24人もいるってのになぁ。
 それだけ注目薄なこのゲームですが、10月28日には発売されちゃうんですよね…… 思ったより早いなぁ。


 で、このゲームは面白いのか面白くないのか、その辺がちょっと気になる点なんですけど、E3で実際にWii Musicを触ってみてのプレイリポートが各メディアから発表されています。内容としては「面白い!」という好意的な反応と、「まぁ、カジュアル向けかな」みたいな冷淡な反応と、面白いくらい感想が真っ二つに分かれていて、果たしてどっちが本当のWii Musicなのか、ちょっと受け止めにくいゲームではあります。


 http://news.dengeki.com/elem/000/000/093/93291/
 http://www.inside-games.jp/news/303/30324.html


 こんな感じで。まぁ、どっちもなるほどと思える内容ではあるんですが。




 自分の思うこのゲームの白眉な点は、自由な演奏ができる点だと考えています。ボタンをひとつしか使わないシンプルな操作体系や、リモコンを楽器のように扱う部分については、まぁ、従来の音ゲーの延長線上の発想かなと。


 さて、従来の音ゲーは、プレイヤーが用意された譜面に沿ってボタンを押すことで楽曲を作曲者の意図どおりに演奏することができるんですが、最終的に熟練者の演奏ってのはみな一様になってしまう側面があるんですよね。正解がひとつだけしかないんです。
 正解がひとつだけしか存在しないというのは、目標設定としては非常にわかりやすいのですが、比例してプレイの幅を狭めることにもなります。与えられた目的に向かって疾走すればいいだけではありますが、それ以外のすべてを悪とみなす狭量さがあります。
 これは是なのか非なのかと言えば、是でもあり、非でもあります。
 初代スーマリは、プレイヤーがゴールを目指すことしか許さないゲームでしたが、目的が明瞭で簡潔な構成のゲームでした。マリオ64から始まる3Dのマリオは、プレイヤーに箱庭世界を駆け回る自由度を与えましたが、一方で冗長さを併せ持ってもいます。
 そして、音ゲーに関して言えば、その殆どの作品は明確な終点を目指すゲームであって、自由度を楽しむゲームではありません。2Dマリオで言えば、アスレチックをどれだけ難しくするか、パワーアップアイテムをどれだけ増やすかという発想で、延々と改良が続けられてきたのです。


 Wii Musicはそうした従来の音ゲーの流れに対して、まったく違う方向からの提案を果たそうとするゲームだと思うんですね。言わば、レースゲームに対するマリカ。対戦格闘ゲームに対するスマブラ
 扱う題材は従来のユーザにも馴染み深いものですが、切り口を変えることで、より広範のユーザに対象を広げ、素材そのものの面白さを再発見する機会を提供しようとしているのだと思います。
 では、従来の音ゲーではなく、Wii Musicに触れることで得られる音楽の面白さとは一体なんなんでしょうか。それは自己表現の実践なのではないかな、と自分は捉えています。


 宮本さんはE3のラウンドテーブルでWii Musicを指して、「小学校の音楽の授業は、半分コレでやればいいんじゃないか」と言っていたそうですが、それは何も「Wii Musicをプレイすることで楽器の演奏が上手くなる」という意味ではなく、「自分の好きなように楽器を奏でることで、発想力や表現力を養うことができる」という意味なんだと思います。
 まぁ、自分は音楽も教育も不勉強なので、余り突っ込んだことは言えないのですが、芸術ってのは要するに、用意されたデータをインプットして、脳で加工して、アウトプットするってことですよね。その加工の手段を習うと言うか、自覚すると言うか、そういうものだと思うんです。
 そして宮本さんの思想に関して言えば「究極の遊びは粘土」との言葉もあります。粘土をどのように加工するかはまったくの自由で、ある人は車を作るし、ある人は動物を作るし、ある人はファミコンを作る。それぞれがそれぞれの自己表現を許されていて、どれが正しいということもないし、どれが勝っているということもないと。
 Wii Musicもそれと同じで、用意された楽曲を、自分らしくアレンジして表現してみせるゲームだと思うんです。
 熟練のピアニストが喜怒哀楽を鍵盤に乗せて演奏するのと同様に、プレイヤーは自分の思い描くテーマをWiiリモコンに乗せて演奏する。リアルな楽器の演奏であれば、そうした自己表現に取り組む前に技術の習得が必要ですが、決して音を外すことのないWii Musicでは、プレイヤーはゲームに触れたその瞬間から自分だけの表現に挑戦することができるんです。これって何気に凄くないですか?


 まぁ、Wii Musicが本当にそんなゲームなのかは正直なところよくわかりません。想像で言ってるだけなので、期待半分疑念半分ってところです。
 でも、もしWii Musicが自分の想像通りのゲームだったとしたら、これは音楽の持つ敷居の高さを一気に取っ払って、その醍醐味だけを味わわせてくれる魔法のゲームになるのではないかなと思います。敢えて言えば、KORGカオスパッドなんかは、それにかなり近しい存在だと思うんですけどね。
 ってことで、自分はWii Musicの発売を心待ちにしています。発売日は10月28日かぁ。近いような遠いような、微妙な時期ですね。




 真面目に色々書いて疲れたので一服。


 http://www.nicovideo.jp/watch/sm3933215


 まさかこんな名曲だとは……! かなりスピードあるんで難しそうだけど、DSでプレイしてみたいわー。