わがままファッションに注目してます

ガールズモード記事一覧
 http://d.hatena.ne.jp/torinity0/archive?word=%2a%5b%a5%ac%a1%bc%a5%eb%a5%ba%a5%e2%a1%bc%a5%c9%5d


 突然ですが、自分はドラクエ4では第3章が一番好きです。第3章と言えば、オムニバス形式で展開される全5章の中でも最も風変わりな、「商売」をメインに据えたシナリオですね。今ではドラクエキャラの中でも随一の知名度を誇る武器屋トルネコも、当時はスクリーンショットの「ぶ:18」なんて表記から「トルネコってのは武闘家か!」と勘違いされたことも少なくありませんでした(自分の周りだけ?)。
 さて、当時はFCの時代ですからデータを大量に扱う経営SLGなんてのはPCゲームの専門分野で、商売をコンセプトに置いたゲームってのはあんまりありませんでした。株ゲーってのはチョロチョロ出てたんですけどね。ソフエルの「ザ・マネーゲーム」とか。「松本亨の株式必勝学」とか。
 いずれにしても小学生には理解の難しいゲームであることは確かで、商売の基本、「安く買って高く売る」の面白さがわかったのは、ドラクエ4の第3章、それと初代の桃太郎電鉄のおかげだと思っています。マニアックなところで言えば、自動車業界をモチーフにとった「プレジデントの選択」なんてのもありましたけど。
 しかし、今考えてみても、第3章のシステムはシンプルながら、商売の醍醐味が味わえる優れたゲームなんですよね。レイクナバのアルバイトも、ボンモールの鎧売りも、エンドール弁当屋も、皆楽しい思い出です。
 「やべ、スライムが鉄の鎧落としたぞ!」なんて、敵のドロップが楽しいゲームでもありました。


 で、そんな第3章の内容を拡充したゲームが出ればいいのになぁ、なんてのはずっと思ってまして。まぁ、大航海時代とかはまさにそんなゲームだったので、自分は大ハマりしたんですけども(そう言えば、この前出た狼と香辛料はどうなったんだろ)。
 で、そんな商売ゲー大好きな自分のハートをガッシリと掴むソフトが任天堂から発表されました。それが、これです(メーカー公式サイトがまだないので、通販のページですが)。


 http://www.neowing.co.jp/detailview.html?KEY=NTR-P-AZLJ


・来店するお客様を洋服やアクセサリーなどのアイテムでコーディネートしながらカリスマ店長を目指す、ファッションコーディネートゲーム。
・店長としてお店を任されるプレイヤーは、お客様のイメージにあったコーディネートを提案していく。たくさん喜んでもらうことえお店の人気も上がる。またお店のインテリアやBGM、アイテムの品揃えまで自分の好みとセンスで決めることができる。


 やっべ、すっげー楽しそう! 超豪華版レイクナバじゃないですか、これ!
 破邪の剣を買いに来た邪魔な客に対して、高値で吹っかけて追い返そうと思ったら、条件呑まれて涙目になったときの何とも言えない胸の高鳴りを覚えますよ!
 まぁ、対象ユーザから外れまくってる点は無視で! 店頭で「わがままファッション ガールズモードください!」って言うのは羞恥プレイっぽいですが、それも無視で!
 というかですね、内容説明だけで「うっわー、面白そう!」って思えるゲーム、凄く久しぶりですね。それだけコンセプトが明瞭で、かつシステムに独自性が溢れているってことなんですが。
 「わがままファッション」ってタイトルもわかりやすくていいですよ。「世界はあたしでまわってる」もそうなんですが、流されるタイプの自分はキャッチーなタイトルに弱いです。


 普通にNPC客に服やらアクセサリやらを売りつけるのも楽しそうなんですが、Wi-Fiを使ってネット上でお店を開けるってのも堪りませんね。要するにこれ、ポケモンGTSと同じですよね。お金を介してアイテムを買うか、ポケモン同士で物々交換するかの違いで。
 ただ、ネットを介すると MMOでよくある物価の問題が顕在化するような気がするので、そこをどう解決するのかはやや気になるところですね。同様の問題はWi-Fiを介してオークションを行うWiiどうぶつの森でも言えると思います。
 ワイヤレスコンテストも、判断はユーザが行うってところがアナログで面白いんですけど、これは自分は一緒に遊べる人がいないのでアレかなー。うーん、残念。キャプテンレインボーのシナリオを書いてる西さんの作ったアルキメDSもそんなゲームでしたね。




 さて、システムは正直期待感抜群なんですが、実際このゲーム、売れるのかどうか、ってのはなかなか判断が難しいところでもあります。
 基本的にこのゲーム、ターゲットは女児層ですよね。男の子で言えばポケモンを遊んでいるような層に対して訴求するタイプのゲームだと思います。
 ただ、パッケージの雰囲気からすると、キャラはそれほど子供っぽくもなく、大人びすぎてもいないバランスの取れたデザインのようにも窺えるので、もう少し広い層にも訴えることができるかもしれない……と思うんですが、どうなんでしょう? こればっかりは、まったくターゲットから外れている自分にはよくわかりません。


 ところで、任天堂は基本的に女児層に向けた提案ってしないですよね。ポケモンは女の子も遊ぶかもしれませんが、初代の主人公が男の子だけという点から見ても、あれは男児向けのゲームです。まぁ、改めて言うほどのことでもないですけども。
 あと、基本的に任天堂はターゲットを狭く定めて、その層だけに受けるタイトルは作らない……と岩田社長は言ってました。全方向に向けたゲームが、特定の層に受けることはあるかもしれない、とも言ってましたけど。
 そういう意味では、このわがままファッション、任天堂としてはかなり異質と言うか、攻撃的な戦略のゲームなんですよね。女児層を囲い込んで、そこに新たな市場を作ってしまおうというコンセプトは、かつての脳トレで高年層の市場を切り開いたやり方を連想させます。
 なので、このゲームが「社長が訊く」で取り上げられるかどうか。そこが分水嶺だと自分は思っています。「社長が訊く」に来たら、任天堂は本気ですね。開発が家計簿ダイアリーを作ったsyn Sophiaという点を考えると、そこまで入れ込むゲームなのかはちょっとわからないんですが。


 さて、ここで視点を変えて、そもそも女児向けゲームって売れるの? という点をちょっと考えてみたいと思います。女児向けゲームと言えば、筆頭はセガラブandベリー。DS版は、セガ史上2本目のミリオンセールスを記録した偉大なソフトです。
 現在は9月でアーケードも終了すると言うことで、往時の輝きは失われてしまいましたが、女児及びその親がのめり込むと、これは一大市場が出来上がるぞ、という実例を端的に証明してみせたマイルストーン的なゲームでした。一方で、市場の匂いを嗅ぎつけた他社のキャラゲーにパイを削られて、ラブベリは衰退の道を辿ることになるワケですが。
 とまぁ、成功例だけを挙げれば、確かにこの分野には金鉱が埋まっているようにも思えるんですが、ラブベリは正直に言えばかなり特殊な例でもあります。
 ニンドリ付録のDSソフトオールカタログから数字を引っ張ってくると、同種のゲーム、カプコンの「ワンタメ ミュージックチャンネル どこでもスタイル」は9.9万本、ディンプルの「ピンキーストリート キラキラ☆ミュージックアワー」は1.9万本、同じくディンプルの「ピンキーストリート キラキラ☆ミュージックナイト」は0.6万本とどれも数字が振るいません。
 漫画やアニメを背景に持つコナミの「きらりん☆レボリューション つくってみせちゃお! キメ☆きらステージ」は13.6万本、「ふたりはプリキュア スプラッシュ☆スター パンパカ★ゲームでぜっこうちょう!」は3万本と、やはり一強多弱の様相を呈しています。
 ……どうでもいいんですが、なんでこの手のゲームは☆が多くて名前長いんですかね。書いてて実にめんどい上に恥ずかしいです。


 キャラクター面からアプローチすると外せないのが「たまごっちのプチプチおみせっち」ですかね。こちらは堂々の111.8万本で、継続するシリーズは81.1万本、27.7万本と徐々に数字を落としていますが、この方面の潜在的な顧客層の広さを窺わせる数字です。って言っても、たまごっちはもっと広い層が守備範囲なんですかね。
 シリーズの数字が落ちていくのは、この層の長期的な販売が難しいことを物語ってもいます。特に女児は男児よりも「卒業」の概念が明確なんじゃないですかね。


 全然関係ない話ですが、昔のファミコン通信鈴木みそのマンガでも「女の子はゲームを卒業しちゃうんです」「卒業してどこに行くんですか?」「現実かな?」みたいなやりとりがあって、あー、なるほどなーと思った記憶があります。当時はポケベルの時代だったかなー。今はそれこそ携帯に興味が移っちゃうんでしょうね。


 あとは統計からの顧客層の広さを見てみましょうかね。


 http://www.nintendo.co.jp/n10/conference2007fall/pop/p_slide21.html


 こちらは任天堂カンファレンス2007で発表されたDSのユーザ分布です。男性・女性ともに16歳からガクンと数字が落ちていることがよくわかるグラフで、これを見るとDSを遊ぶ女児層の広さは男児に負けないということが見えてくるはずです。
 ということで、例えば男児に訴求するゲーム、「ぼくらはカセキホリダー」が販売数20万本を超えた辺りからしても、それぐらいのパフォーマンスを発揮できるゲームなのかなという気がします。まぁ、あんまり高く見積もりすぎても恥をかくだけなんですけど。
 ただ、このゲームは既存の人気商品とタイアップした商品ではないですし、知名度も皆無です。あるものはと言えば任天堂のブランドだけで、それが実売にどれだけ結びつくかと言えば、やっぱりゲーム自体のデキが大きく関わって来るのかなという気がします。やはり一番はゲームのデキがどうなのか。それに尽きますね。




 まぁ、長々と書いては来ましたが、何が言いたいかと言えば、ゲーム的にも商材的にも面白いゲームが出てきたな、ということです。自分は今後も刮目して続報を待ちたいと思っていますよ。
 粒よりの新作揃いな10月下旬の中で、こういうゲームが出てくるって言うのは、ありがたいやら(財政的に)苦しいやらで、まぁ、複雑な思いなんですけども。試み自体は実に挑戦的で面白いなーと思うので、積極的に情報を集めて、良し悪しを見極めていきたいですね。