▼王様物語体験会で開発のお二方に色々聞きました

 先日、9月3日にマーベラスから発売される王様物語の試遊体験会に参加して来ました。この体験会は実際に発売前のゲームをプレイできる試遊と、開発者と実機を囲んで質疑応答できる二本立ての内容で構成されていて、密度の濃い2時間を楽しんできました。
 遊んでみて初めて分かった王様物語の概観や感想などもあるんですが、そちらはまた後日に紹介するとして、今日は開発者に直接聞いてみた色々をちょっと(どころじゃない長さになってしまいましたが)書き出してみようと思います。


 体験会では、王様物語の試遊と平行して、エクゼクティブプロデューサーの和田さん、プロデューサー兼ディレクターの木村さんとの歓談と言うか、質疑応答の場が設けられました。試遊前の操作説明の場も兼ねていたので、最初は受講時の学生よろしく受身に徹さざるを得なかったんですが、緊張が解れて口が回るようになると、色々と興味深いお話を伺うことができました。
 自分は、担当の方にお願いして、試遊前と試遊後に歓談の時間を頂けたので、ゲームの内容についてもお二方に質問することができました。時間があっという間に過ぎてしまうほど面白い話が満載だったので、その時の空気を少しでも伝えられるように、以下書き記してみたいと思います。
 なお、この場には自分だけではなく、体験会の参加者が複数名同席していましたので、質問は全て同一の発言者によるものではありません。質問者によって、進度や感想はまちまちですので、それぞれ発言内容に食い違いがある場合もあります。
 また、読みやすくするために完全な時系列順ではなくテーマ別に纏めて編集しています。メーカーお二方の発言もオフィシャルなものではありません。ご了承ください。



(まずは自己紹介)


木村祥朗氏(以下木村) 初めまして、ゲームデザイナーの木村と言います。今回はプロデューサーとディレクターと両方やって諸々をゲームデザインしました。ゲームの中身に関してはいろいろ聞いてもらえれば答えられると思います。
和田康宏氏(以下和田) 和田です。このゲームではエクゼクティブプロデューサーという形で関わっています。やっと発売できて本当に嬉しい。
木村 俺言われたんだよ、いつ発売できるんだって(笑)
和田 いつ作り始めたんだっけってくらい、長い時間がかかったんですけど、ゲームとしては満足のいくものができたので、できるだけ色々な方に遊んで頂いて、完璧なものではないけど、ここが面白いだけじゃなくて、ここをどうにかしろよっていうことをどんどん木村Pに言ってほしい。そうすることで次に作るゲームが面白くなるし、作品的な部分だけじゃなくて商品的な部分で、もっとこうすればみんなの興味を引くんじゃないかな、ということを忌憚なく言って貰えれば嬉しいなと思います。
木村 この会、嬉しいですよ。生々しくプレイヤーの人と話すって本当に機会が少ないので、色んなことを聞いてみたいですよね。
和田 僕らは基本的にフリーダムなのでなんでも聞いてください。割とそれで後で怒られることが多いんですけど。一応、あそこで目が光っています(笑)
高島 光ってません(笑)
木村 プロモーションの高島さんです。
高島 よろしくお願いします。
木村 僕らが余計なことを言わないように(笑)
和田 でも、大丈夫です。短い間ですけど、相互理解を深めたいなと思っています。


(基本的な操作の説明)


木村 アナログスティックでキャラを移動させることができます。Aボタンで決定、Bボタンでキャンセル。で、キャラに近づいてAボタンで話しかけます。「今日はいい天気ですねー」と。
―― ごくごくスタンダートな感じですね。
木村 ここでですね、王様物語で一番大事なアクションを説明します。キャラに近づいた状態でBボタンを押すと(国民を親衛隊に)引き連れることができます。で、この引き連れているキャラをAボタンで前に撃ち出すことができます。
―― 撃ち出すとどうなるんですか?
木村 例えば家に向かって撃ちだすと…… 「国税の取立てです」と。幾らかな? 1000ボル取り立てましたと。あと、こういう(兵士の)家に撃ち出すと、おっと、転職しました。あと、敵に向かって撃ち出すと勝手に戦ってくれます。
―― 何かあったらとりあえず撃ち出せばリアクションがあると。
木村 あと、十字キーでカメラの方向を変えることができます。その操作がちょっと慣れるまで大変かもしれませんけど、よろしくお願いします。
和田 物凄くまともな説明会になってますね(笑)
木村 先ほど試遊した人が、時間がね、30分で短くて、操作説明を事前にしておいてくれればもっとプレイに集中できたのに、という話があったので、だから今凄いわかりやすく説明しようかなという話になっています(笑) あ、ちなみに今、線が出ていますね。Zボタンで線が出るんですけど、これ、狙いやすくなる線です。
―― 線って(笑) ゼルダの「注目」みたいな感じですね。
木村 そういう風にしか言えなんですけど、狙っているものにガイドを引いてくれるんですよ。ちょっと便利みたいなボタンで、なくても遊べるんですけど。
―― 自分はZで狙いをつけないと全然当たらなかったです(笑)
木村 そうそうそうそう、Zで狙いをつけたほうが楽ですよね、実際問題。


(カブに擬態したモンスターが登場)


和田 「カブリモノ」っていうお化けです。ヘンナノっていうモンスターがこの世界に蔓延っているんですけど、ヘンナノを倒していくとちょっと強いヘンナノっていう主がいるんですよ。そいつらを倒していくとエリアが自分の王国になって新しい家が建てられるんです。広くなるんです。それを繰り返してどんどん遠くまで王国を広げていくとボスのところまで行けるんです。
―― ステージをクリアしていくタイプのゲームなんですか?
木村 自由に色々なところを歩けるような……
和田 ステージと言うか、箱庭が広がっていく感覚ですね。あらかじめその世界は用意されているんですけど、最初行動できる範囲は凄く狭くて、ある目的をクリアすると次の場所への道が開くみたいな。レベルとかステージとかって括りもできますけど、行動範囲がどんどん広がっていくと。
―― ゼルダの伝説とかメトロイドみたいな感じですか? 新しい能力で行動範囲が広がるという。
和田 そうですね。ボスがいたり、岩があったり、それを倒せるようになったり、壊せるようになったりして行動範囲が広がっていく。意外と古典的でしょう?
―― そうですね(笑) できることがドンドン増えていく、と言う感じですね。
和田 帽子をかぶっている人は職業についている人なんですね。無職の人たちは「のんきな大人」って言って……
―― やわらかい言い方ですね(笑)
木村 ダメ人間です(笑)
―― ダメ人間(笑) のんきな大人は職業に就けたりするんですか?
和田 できます。王様なので。
―― お前はこの仕事をやれと(笑)
和田 のんきな大人がいると国が発展しないので。
―― シビアですね(笑)
木村 僕はのんきな大人が一番好きです。いいんですよー、ダメ人間で。
―― (笑)
和田 のんきな大人は(家に撃ち込むことで)就職できます。
―― のんきな大人は本当に役に立たないんですか?
木村 んー、でもね、ちょっとはできる。ちょっとは戦えるし、ちょっとは穴を掘れる。
―― のんきな大人にしかできないことはない?
木村 んー ……兵隊に蹴られたりとか?(笑)
和田 できることなのか!(笑) のんきな大人は本当に(ドラクエの)遊び人の類で、使えないんですよ。
木村 のんきな大人は見てるとホッとすると言うか、楽しいと言うか、気分が安らぐね。いつもどこかでね、寝たりゴロゴロしたりしてるんですよ。


(戦利品ゲットで国の財産を増やす)


和田 障害物があるんですよ。丸太が倒れていたりとかして。それを壊していくんですけど、今は5人パーティのうち、3人が兵隊で、2人が農夫なんですけど、農夫は木を壊すのが得意なんですけど、兵士は戦いは得意だけど木を壊すのが苦手とか、それぞれ特徴があるんです。
木村 (和田さんに向かって)木の根っこを壊すのはどっちもほどほどです(笑)
和田 あ、そっか(笑) きこりが一番得意です。
―― さすがプロデューサー(笑)

 (木を壊すとアイテムが出現)

―― 木材ゲットって表示されましたね。手に入れたアイテムは使えるんですか?
木村 お城に持って帰ると戦利品として(換金して)どれぐらい王国の財産になったか計算してくれるんです。そのお金でさらに王国を発展させるんですね。



 こんな感じでテロップが流れます


―― アイテムの価値は玉座で換金しないとわからないんですか?
木村 そうですね。外で手に入れたものはお金の価値に落ちていないので、画面に表示される所持金は手持ちのアイテムの価値を含んでいません。
―― これは貯めようと思えば幾らでも貯められるんですか?
木村 貯められますね、お金は。すさまじいお金が貯まりますけど、お金のかかり方も変わってくるので。
―― どんどんインフレしていく感じですか?
木村 インフレしていきますね。家一軒がちっちゃい小屋だとそんなにかからないんですけど、最後○○が建っちゃうんですよ。
―― はぁぁぁぁ!?(笑)
木村 高いですね、○○○○○とか。
―― ○○○○○!(笑) へぇぇぇぇ、そういう変化をするんですか!
木村 ○○○みたいなのが建っちゃったりするんですけど。
―― この…… この絵面で……? 想像できないんですけど(笑)
木村 そうです(笑) 王国が凄いデカくなるんです。
―― 結構、経営要素があるということですか?
和田 そこまでシリアスではないですけど。
木村 雰囲気はありますけど、まぁ、せいぜいお店で何か買うという感覚で、プランを選択していくんですね。凄いシミュレーションシミュレーションしているように見えちゃうところもあるんですけど…… 気楽です。家建てろって言ったらポンと建つような(笑)
―― 固定の経費がなくて、買うだけっていう。
木村 そうですね。出費は王様が決めたところだけしか使わない。


(王様物語の最終目標とは?)


―― 最終的な目的はあるんですか?
和田 あります。世界統一ですね。
木村 世界統一しろって隣のおじいさん(牛騎士ハウザー)が言うんですけど、このおじいさんの概念の世界ってメチャクチャ狭いんで、割といきなり世界統一できます(笑)
和田 まぁ、一時間二時間あれば世界は統一できます。
木村 ところが統一したら、ちょっと世界はこれだけじゃなかったんだってのがどんどんどんどんとわかってきて……
和田 世界はこんなに広かったんだというのが見えてきます。自分以外の王様がいることに気づいて、世界に7人の王様がいて、そいつらをやっつけると本当の世界統一になるんですね。
木村 7人の王様を倒して世界統一です。
―― 可愛くなったシヴィライゼーションみたいな感じですか?
木村 んー、和田さんもそうかもしれないけど僕もSLG好きなんですけど、やると好きなんですけど、とっつきが辛いというか、数字もいっぱい見なきゃいけないし、数値も勝手に変化していくし…… だからSLGの気分のいいところだけADV的というか、RPG的にやっちゃおうみたいな。箱庭が成長していくところを。


(転職と隊列の話)


―― あ、兵士が穴にハマった。
和田 農夫がいないと……
木村 農夫がいないと穴が掘れないんですよ。兵隊さんは穴に突っ込んで行くと、コケたり穴に落ちたり、何にもいいことがない。
―― 職業の変更は特定の場所でするんですか?
木村 できますよ。農夫の家に人を撃ち込むと……
―― あ、農夫になった! なるほど。
木村 最初の職業は転職料がタダなので、ドンドン転職させてください。
―― のんきな大人に戻すこともできるんですか?
木村 できますよ。
―― のんきの家とか……?
木村 のんきの家はないけど、のんき岩って岩があります。
―― のんき岩(笑)
木村 のんき岩にぶつけてください。そうすると気を失ってのんきな大人に戻ります。
―― あはははは(笑)
和田 記憶喪失になって……
木村 まじめな農夫だった頃の記憶を忘れちゃうんですね。


(成長=親衛隊の増強)


―― 経験値みたいなものはありますか?
木村 経験値はないね。経験値はないけど、体力が色々なできごとで成長したりするんですけど。
和田 今、1/5って画面の左下に出てるじゃないですか。王様は最大5人まで親衛隊を引き連れることができて、今は1人引き連れているっていう意味で、これはもう上限はドンドン増えていきます。最初は5人で始まっていって……7人8人9人10人といって、最終的には30人まで増えます。
―― 30人!
木村 30は凄く大変です。30は蛇みたいになっちゃいますね。
―― 30人も並んで画面に入るんですか?
木村 ボスと戦うときとか、30人全体が見えていないといけない時ってカメラが色々変わるんで、動きにあわせて引いたり回転してくれるカメラになるんで、そんなに困らないんですけど。
―― 地形にひっかかったり邪魔にならないんですか。30人もいて。
木村 あ、そこがポイントで、これがキャラクターにコリジョン(衝突判定)がついていなくてよかったところなんですよ。色んなものに反応しちゃったりとか、キャラに反応するとかなくて、地形に合わせてなめらかに隊列が変化するようになっていて。
―― おおおおお。
木村 今、後ろに3列くらいで並んでいるじゃないですか。これ、「隊列」をゲットすると、丸くなって王様の回りをガードする隊列とか、蛇みたいに王様の歩いたところをトレースする隊列とかがあって、この隊列をうまく使うと敵の攻撃をよけやすくなったり、攻撃しやすくなったり色々なことがあります。
―― へぇぇぇぇ。
和田 地形によっては10人連れてったんだけど、半分くらい落ちちゃって5人になっちゃった、みたいなこともあって。
―― 落ちる? 崖みたいな地形があるんですか?
和田 ありますよね。なくした?
木村 落ちるはね、あるけど、それでは死なないか。
和田 いや、死ぬ死ぬ死ぬ。
木村 あ、あるあるある。あと、こういう攻撃(左右の壁から互い違いに槍が出てくるような攻撃……とでも言うか)を、まっすぐ行くと当たっちゃうじゃないですか、蛇の隊列になっているとキレイによけられたりとかありますね。


(ライフシミュレーション、AIの話)


―― 牛とかは勝手に歩いているだけなんですか。
木村 そうですね。牛は牛で朝はこう動こう、夜はこう動こう、って思考ルーチンがあって生活しているんです。キャラクターって今回、全員自分の考えを持っているんですよ。のんきな大人はのんきだし、農夫は農夫らしく、兵士は兵士らしく。
―― なるほどー。
木村 のびのびしてるよね。農夫は朝と夕方働くとかさ、涼しい時間に働いて、兵士は警備するところを離れない。のんきな大人は働いてません。
―― のんきな大人はぼんやり見ていたら楽しそうですね。
木村 のんきな大人は本当かわいそうなんだけど…… 周りからは実は嫌われているってことが見ているとわかってくるんですよね。
―― ヒドい!(笑)
木村 いいタイミングで見ればなんですけど、下っ端兵士がのんきな大人が邪魔だと…… 蹴ります。これがねー、かわいそう過ぎるんだけど、またのんきな大人に喋りかけると、やっぱりのんきなんですよ。別に恨んでないよ、っていう。
―― あはははは(笑) これは時間の概念があるんですね。
和田 リアルタイムで時間が進んでいます。暦のない毎日を過ごしています。
―― サザエさん時空みたいな。
和田 そうですね。パーマネントで。
―― テキストに味があっていいですよね。えー、こんなことまで言っちゃうのかっていう。
木村 テキストは割と凝ってて、町の人の会話とかはできるだけ色んなことをしゃべるようにとか、自然に見せるようにとか、色々やってますね。
和田 それぞれライフサイクルというか生活があって、暮らしているので。
木村 親衛隊をこうやってピッと解散させるとですね、兵士は仕事があるので、はい、どこへ行くんですかね、どこへ行くんだろうね、なんの仕事だコイツ、オリーブさん、オリーブさーんと。はい、ほいさっさーね。敬礼。どうすんの、これ。お、この人はここで警備するのが仕事だなと。
和田 守衛ですね。
木村 農夫はみんな草刈かな、仕事をしていますね。農夫は朝、にんじんとか収穫したりとか、夕方もにんじん収穫したりして、早めに仕事終わって帰りますね。こういうのがですね、色々なキャラクター、ジョブごとに町の中の生活が設定されているので見ているだけで楽しいかなと思います。
―― なるほどー。
木村 ちなみに王様一人だけで外に行くと大変なことになります。ダメダメダメ。
―― 王様って何もできないんですか?
木村 できます。できるんですけど、弱いです。HPも増えません。なので、強い敵と戦うときは王様は敵から離れてできるだけ当たらないようにした方がいいですね。
和田 今、パワーアップできるんじゃないですかね。
木村 あ、そっか。じゃ、ちょっとパワーアップを。……パワーアップは親衛隊を増やしてMAXHPが増えるみたいなもので。玉座の王国プランで親衛隊バッジを買うと親衛隊が3人増えます。


(ヘンテコ語の話)


―― キャラの言葉は何語と言うんですか?
木村 ヘンテコボイスと呼んでいます。
―― 海外でもこれなんですか。
木村 これです。最初から全世界でもこれで行こうかーと。
和田 海外からの注文は、実際の言葉に聞こえないようにしてほしいと言う注文がありましたね。
木村 僕らが編集した言葉がたまたまその国の放送禁止用語に聞こえてしまうとかあって。元の素材が7言語くらいあるんですよ。ロシア語、韓国語、イタリア語、ドイツ語、フランス語…… わかんないじゃないですか、ロシア語。それも一回録って、それを編集したやつをもう一回ロシアの人に聞いてもらって、「ちゃんと聞き取れないよね!?」って。
―― 聞き取れないよね、っておかしいですよね(笑)
木村 意味わからないよねって聞いて。普段は逆でしょ。ちゃんと聞き取れるよねって。
―― 変な注文ですよね(笑)


(戦闘のポイントと親衛隊の編成の話)


和田 後ほどやって頂くんですが、バトルって凄く簡単で、(Aボタンを押して親衛隊を)撃ち出すじゃないですか。で、何もなかったら帰ってくるんですけど、敵とぶつかるとずーっと戦うんですよ。一心不乱に。
―― 敵にぶつけると以後オートで戦ってくれると。
和田 で、ヤバいと思ったら、もう(Bボタンを押して)退却させるんですね。基本的にはこれなんですね。やっつけろー、退却だー、っていう攻守の繰り返しで。
木村 突撃と退却だけだもんね。
和田 もちろん、ユニットの選び方だったり編成だったりも重要なんですけど、基本はそういうことなんですよ。行って来いーっつって。やばい、退却しろーって。
―― 攻撃だけじゃ勝てないと。
和田 ザコは攻撃するだけでも勝てちゃうんですけど、ボスとかになると、そこの駆け引きが一番熱いし、傍から見ててもわかりやすくて燃えるところなんですよ。
―― 駆け引きは具体的にはどんな感じで?
木村 あのねぇ、敵から煙が出てくるんですよ。プンプンプンって。
―― 怒っているってことですか?
木村 そうそう。プンプンマークが出るともうすぐ攻撃するぞっていう。
―― ああ、なるほど。そのタイミングで退却すると。



 中央やや左下の敵にプンプンマークが見えます


木村 そうです。このルールはボスでもどこでもそうなので、敵を見て、逃げるか攻めるか決めていくのがアクションのポイントですね。敵はバリエーションのある攻撃をしてくるので、アクションを磨くか、あるいは親衛隊の編成を工夫して、バランスよく入れてみたりとか、兵士中心で入れてみたりとか、アニマルハンターとか農夫は2,3人はいれたほうがいいな、みたいなことをゆくゆくはコントロールしてやっていくと。
―― 自分のスタイルに合わせて工夫するってことですね。
木村 あとですね、キャラの頭上の緑マーク、今減ってますけど、あれがHPです。
和田 +ボタンで状態を見てもらうといいんじゃないですかね。
木村 +ボタンでメニューが出ます。で、状態を見るとキャラ全員の状態が見れます。
和田 ライフが3とか2とか1とか。
木村 で、1の人はもう死に掛けていますね。死にかけている人は帽子が取れて白髪になっているんですけど、HPが0になると死んじゃいます。で、温泉がどっかにあるんで、温泉温泉……
和田 もう一個上ですね。
木村 はい、温泉入りました。で、温泉に入るとHPが回復します。
―― 回復手段は温泉だけなんですか?
木村 温泉と、あとベッドですね。
和田 家で寝るっていう。
木村 あのねー、ボス戦でもどこかに温泉が沸いているんですよ。それを見つけるとですね、いきなりこう……
和田 戦局が大逆転。
木村 大逆転(笑)
和田 全部ベホマズンなんで!(笑)
―― あはははは(笑)
木村 確かに。ベホマズンです。
和田 ベホマズンしかない!(笑)
―― わかりやすいですね(笑)
木村 温泉を見つけるかどうかが結構重要で、見つかったときには「ああー、温泉出たー」みたいな。(穴を掘る)農夫は意外と最後までいて貰わないと困るキャラなんですよ。
―― 前列の方がダメージ受けやすいとかはあるんですか?
木村 ダメージを受けるのは全体的に等分なんだけど、撃ち出される順番が…… 例えば穴に向かっても兵士を打ち出しても意味がない(落ちてしまう)から、敵に向かって兵士を撃ち出した後に、穴に向かって農夫を撃ち出すとかが(重要になる)。もうちょっと後半に行かないとそこまで難しくならないんですけど。
―― 複数の問題を一気に解決する必要が出てくると。
木村 あと、兵士と大工は一緒に撃ち出すとダメなのよ。兵士は建築中の大工の邪魔をするので。
―― そういう相性もあるんですか?
木村 そう、相性みたいなのがあるんです。飛んでいる敵は農夫だと戦えないんですよ。兵士は飛びついて戦えるし、弓兵だと遠くから弓でダメージを与えられる。こいつ(飛んでいる敵)は夜しか出てこないんですよね。
和田 出てこない。今は夜なので、こういう自分達ではちょっと敵わない敵が出てくる。
木村 夜はちょっと敵が強めになっています。
―― 1日って大体何分くらいなんですか?
木村 えーっと、12分。6分(間が昼)6分(間が夜)。……微妙だな、この数字。合ってるかな?(笑)
―― (笑)
木村 合っていると思う、多分これは(笑)
―― 誰を撃ち出すかは選べるんですか?
木村 選べます。十字キーの下を押すと入れ替わります。これは職業単位で入れ替わるので……
―― あ、なるほど。先ほど自分は兵士を穴に撃ち出してしまったので……
木村 そういう時はちょっと入れ替えて貰えれば。あと、嫌なのが大工で建築している時にも敵が出てくるんですよ。その時に、大工を邪魔しないように兵士を撃ち出すのがね…… ちょっとお前は敵と戦っとけみたいな、そこがなかなか嫌らしいんですけど、難易度が高くなると色々ありますね。また建築するものを敵が壊しにくることがあるんですよね。
―― 逆にこっちの兵士が敵の建築物を壊したりとかは?
木村 敵陣に建築物があるわけじゃないですけど、その分兵士は強いです。他のキャラクターに比べても強いんですが、兵士だけを連れて農夫がいないと、僧侶がいないようなもので回復ができないので、死んでいくだけになってしまいます。丁寧に遊ぶ必要があります。


(説明中、ゲームにのめりこみ過ぎてイベントに突入してしまう和田さん)


木村 和田さん、後の楽しみがなくなるのであんまりやっちゃダメです(笑) (参加者に)やってもらいましょう。多分、和田さんは自分で続きを見たくて一心不乱にプレイしつつあるんじゃないかなと(笑)
―― あはははは(笑)
和田 普通にプレイしています(笑)
木村 僕は何十回もプレイしているんですけど、やり始めるととりあえず次の目標までクリアしちゃおうかなって言う気になって、解いちゃうんだよね(笑)
―― へぇぇぇ。和田さんも相当遊びこんでいるんですよね。
和田 はい、やっていますよ。出来上がってない時から色々な王様物語をやっています。こりゃ、無理だよーというものまで(笑)
―― 無理だよ?
木村 あのね、最初、和田さんに最終バランスの手前の手前の、まぁ、2008年のTGSぐらいの時代のやつ。遊んでもらった時の顔は凄かった(笑)
―― どういう意味の凄かったなんですか、それは(笑)
木村 「難しすぎる!」「絶対無理だ!」っていう(笑) こっちは「知ってるわ! これから調整するんだよ!」って言う(笑) ……あ、イベント始まっちゃった。あっはっはっは(乾いた笑い)
和田 (苦笑)
木村 皆さん、ここまでは時間的には来れないと思うんですけど、先のことが見えたということで(笑) これは、トンコツ教のコツトンという教祖なんですけど…… ダメなやつですね、ハイ。
―― 断言した(笑)
木村 コツトンからは教会を作る依頼が来ます。実は教会を作るとキャラクターが結婚して子供ができたりするんですよ。中盤以降に冒険に出かけている途中で恋愛関係に陥る奴らが出てきて、そいつらを教会に撃ち込むと……
―― 撃ち込むと(笑)
木村 撃ち込むと結婚して子供つきで出てきます。
―― あはははは(笑) それは恋愛関係じゃないキャラを撃ち込むとどうなるんですか?(笑)
木村 それはねー、恋愛関係がない人達はそのまま2人で出てきます。何もない。
―― キャラはそれぞれHPが違うそうなんですけど、HPの高いキャラ同士が結婚した子供はやっぱりHPが高いんですか?
和田 それは設定はしてあるんですけど、狙うほどではないでしょうね、きっと。
木村 そのジョブが何かっていうのが、一番HPに関係あるので、兵士とか、あと兵士の上の「つわものの兵士」ってのがいるんですけど、そいつはHP多いですね。


(王様の評価点とAIについて)


木村 会社の社長をやってる人とか、学級委員長でも生徒会長でもいいんですが、一度でもリーダーをやったことがある人は、王様の立場になってみんなを引き連れていくと不思議な現実と重なりますよ。みんな文句言うじゃないですか(笑)
―― (笑)
木村 そうそう、そこら辺がまた面白いんです。逆もあるしね。「ここでリーダーになってみろ」「王様になってみろ」っていう。
―― キャラは引き連れている間は絶対的に言うことを聞くんですか?
木村 そうですね。まぁ、引き連れてないときも、スカウトしたら絶対来ますけどね。ただ、評価点みたいなのがあって、なんとなく内部でキャラクターが王様についてどう思っているかを100点の範囲で持っているんですよ。
―― はい。
木村 で、台詞の中で「王様はどちらかと言えば70点ぐらいですね」みたいなことを言うときがあるので。
―― へぇぇぇぇ(笑)
木村 それを気にする人は気にしたほうがいいかもしれないね。
―― 評価点によってゲームに変化が出たりしますか?
木村 しますよ。ライフシミュレーションのAIが働いているんですけど、本当に王様が嫌いになっている人は逃げていっちゃうので、ちょっとスカウトしにくくなります。
―― あー、なるほど。
木村 まぁ、スカウトしたら来るんですけど(笑)
―― スカウトする前に逃げられちゃう。
和田 スカウト自体の難易度が変わるんです。アクション的に。
―― 戦闘中に指示に従わないとかそういうことはないですか?
木村 それはないです。それは…… やだもん(笑) そんなヤツは家来としてはいらない。
和田 一回スカウトしちゃえば同じです。
―― 命令に逆らうようなアイディアは開発中にはありましたか?
木村 ありましたよ。やっぱりアイディアって一杯出るんですよ。で、こっち側のアイディアと反対のアイディアとあって、こっちはやめて、こっちにしようって。大きな方針で、プレイヤーがアクションをやっている時に嫌な気分になることはやめようって外して行ったりとか。
和田 ゲーム作りってドンドン削ぎ落として切り落としていく作業の積み重ねなんですね。いいアイディアが2つあったとしても、どちらかはやめなければならない局面が沢山あって。
木村 元の企画がよければいいほど、スタッフもみんなアイディア言いたいじゃないですか。だからアイディアが爆発的に増えるんですよ。それをね、整理するのが大切ですよね。
―― それをやるのがディレクターの役目だと。
木村 全部やると全然ダメになっちゃうので。


(キャラの死亡やパワーアップについて)


―― キャラが死んだらお見舞い金がいるんですね。
木村 死ぬとお見舞い金を払わないといけないので、できるだけ死なないようにというね(笑)
―― お見舞金っていうネーミングが凄いですよね。なんだか、凄く……包み込んだ(笑)
和田 でも、それがあるから殺したくなくなるし。
木村 ゲームのシステム的にも意味があって、後半強いキャラクターというか、LVが上がった状態というか、世界の全体LVが上がった状態だと、あのお見舞金の値段は上がっちゃいます!
―― 最初はお見舞金の額は少ないんですか?
木村 最初は少ないです。殆ど問題ないんですけど、後半でキャラクターが10人死ぬとちょっとイヤになるぐらいお金が取られるので…… ちゃんとゲームがうまくなってないと厳しいかもしれない。
―― 嫌なリアリティですね……(笑)
和田 何しろ、(通貨単位が)ボルなので。ボッタクられます。
―― そんな由来が(笑)
木村 連れて行くの止めようかなとか、別の気持ちになったりするんだけど、実際は連れて行かないと無理なので(笑)
―― ですよね(笑) そう言えば、同じ名前のキャラクターは死ぬともう二度と出てこないんですか?
木村 この世界では「死ぬ」ってのが色々ありまして…… 戦闘で死ぬと行方不明扱いでしばらく出てこないんですよ。でも海で待ってると……
―― 海!?(笑)
木村 海で待っていると流れてきます。
―― あはははは(笑)
木村 で、復活してくれます。だからちょっとその間、戦闘要員が少なくなって不利ってのはあるんですけど、ゼロからやりなおさなきゃいけないってことはないですね。
―― あまり神経質になる必要はないと。
木村 でもですね、たまに流れてこないやつがいるんですよ。
―― えっ!?
木村 それは何が起こっているかと言うと、本当に死んだって事で、その日は葬式が起こります。朝から今日は誰それさんが死んだのでお葬式するから教会に来てください、みたいな情報が流れます。
―― じゃあ、どんどんキャラが死んだら詰みになる?
木村 そうでもないです。死んだ場合は死んだ場合は代わりの人間が流れてきます(笑)
―― やっぱり流れてくるんだ(笑)
木村 ただ、装備のないのんきの大人が流れてくるので、本当に死ぬとちょっと損かもしれない。でもね、本当に死ぬってかなり稀なことなので、殆どが海にフル装備のまま何事もなかったかのように流れてくるんで(笑)
和田 次の日にね。うん。
―― 装備なんてものがあるんですか?
木村 ちょっと後半に出てくるんですけど、王国展覧会ってのがあって、そこで絵を集めると武器とかをくれるんですよ(笑) なんかアイテムを。それを装備できます。
和田 アクセサリー的なものですね。
木村 微妙に強いです。
―― じゃあ、レアアイテムが流されちゃうと……(笑)
和田 それは悲しいですね。
木村 悲しいです。
―― あ、なんか今流れてる(笑)
木村 農夫ですね。流れてる流れてる。「死んだと思ったけど、浜に流れて来ただー。生きててよかっただよー」はいはい、よかったよかった。じゃあ誘ってみよう(笑)
―― 何事もなかったかのように(笑)


(ボリュームについて)


―― 全体的なボリュームはどのくらいなんですか?
木村 どれくらいかなぁ。全部をクリアするのに……
和田 20(時間)くらいかな。
木村 20かなぁ。20は早い方ですね、きっとね。
和田 全部って言うかね、コンプはもっとかかりますね。
木村 コンプは3,40時間かかっちゃうと思うんですよね。アイテムとか落ちている絵画とか拾ったりとかみんな考えたら凄い時間がかかる。
和田 アクションゲームなので、まぁ、HELL(最上位難易度)とかを目指してやるってこともできると思うし。


(マニュアルについて)


木村 マニュアルがね、今回のはちょっと面白いよ。裏見て裏。
―― はい。って、牛!(笑)
木村 これどう? これ写真撮って帰っていいよ(笑)


 マニュアルの表紙と裏表紙はこんな感じです

―― これ、少し感動したというか、凄いなと思ったんですが、中綴じの見開いたページが操作説明のページになっているんですよね。
和田 おお、わかってくれた。
木村 そうなんです! わざとです、もちろん。そんなことに気づいてくれるとは素晴らしいです。
和田 うん、嬉しい。
―― 一番見たい情報が一番見やすい場所にあるっていう。
木村 いいこと言ってくれるじゃん!(笑)
―― (笑)
木村 マニュアルとは言え、一応パッケージの中に入っているもので、お客さんのためにってのがあるので、楽しく、見やすく、みたいな。まぁ、実際にゲームを遊ぶとゲームの中で説明とか一杯してくれるんで、あんまりマニュアルとか見なくて済むんですけど、その分お遊びページとか増やしちゃったりしています、はい。
―― マニュアルが薄いんですよね。
木村 うん、薄いでしょ、最近のゲームの中ではね(笑) ゲームの中に(なんでも大臣の)リアムっていうキャラクターがいて、リアムさんはゲームのルールを凄く細かく説明してくれるんですよ。プンプンマークが出たら逃げろ、みたいなことまで。ゲームの中にチュートリアル用のモードを作ったので、それでマニュアルが薄いんですね。
―― 最初にプレイヤーにやらせるんじゃなくて……
木村 動くマニュアルみたいなのがリアムがいると見れるんですよ。さっきの結婚の話も気づく人は気づくし、わかんない人でもリアムが「こういうシステムは知ってるか?」みたいなね(笑) いいヤツなんですよ、リアムは。最初だけ(笑)
―― 最初だけ(笑)
木村 最初は一杯説明してくれていいヤツパワーを発揮してくれるんですけど、後半ちょっとね、困ったヤツになっていくんですけどね。やってのお楽しみということで(笑)
―― ゲームを買っても説明書を読まないことが多いので、ゲーム内に説明があった方が手っ取り早くていいのかなという気がしますね。
木村 そうだね。僕自体もマニュアルをいきなり開いたりとか絶対せずに、ゲームを操作してわかんなかったらマニュアルを開くみたいな感じなんで。
―― それでわかるのが一番いいですよね。
和田 ……とか言いながら、物凄くマニュアルに凝るんですよ、木村は(笑)
―― あはははは(笑)
和田 なくてもいい派なのに「どうしてここまで凝るの!?」みたいな(笑)
木村 ふふふふふ(笑) やらないでいいことやってるでしょ、本当はね。
―― 裏表紙とかおかしいですよね。
木村 ゲームの中でちゃんと説明するからこそなんですけど、マニュアルもちょっと遊んで、説明が緩いところがちょっとあってもいいかな、みたいな。
和田 なんかファンブックなんですよ、取説というよりは(笑)
―― あああああ!
木村 そうそうそうそう。
和田 凄く愛情を込めて作ったので、何か感じてくれる人がいると嬉しいなと。
木村 マニュアル用に描いてますから、倉島君(倉島一幸さん)というイラストレーターが。キャラクターデザイナーにわざわざマニュアルのために絵を描いてって言って…… もうねぇ、普通怒るよ(笑)
―― あはははは(笑)
木村 「今まで描いてきたデザインはなんだったんだ!」って思われちゃう。
―― 普通は既存のイラストを流用するものなんですか?
木村 普通は流用しちゃうし、ロゴも王様物語のロゴを使えばいいし、外のパッケージと同じだったりとかもね。でも、できるだけ面白くしようと思って。
和田 でも、全部Newですよ。
木村 にゅーにゅー。にゅーにゅー。ゲーム画面以外は全部New。
―― よく見たら、この取説、表紙に王様物語のタイトルすら入ってないですね。
木村 入ってません!(笑)
―― あはははは(笑) 左上にちっちゃく入ってるだけっていう……
和田 これはなんで入っているかっていうと、入れないと任天堂が通してくれないからです(笑)
―― そうなんですか!?(笑)
木村 やっぱ取説だってことは書かないといけないので。
―― あー、なるほど!
木村 コンセプトとしては、主人公の家来のハウザー、で、ハウザーの友達のパンチョ。そのパンチョが描いた絵本です、という設定でちょっとやってみたくて。
和田 で、読んでいるであろうユーザーに向かって、みんな「ははぁっ!」って平伏しているワケですね。
―― あああああ。
木村 マニュアルだけでこんなに喋ってどうするんだろう(笑)
和田 本当にどうでもいい話なんですけど(笑)
―― いやぁ、でも、いきなりお辞儀されているマニュアルなんて初めて見ました(笑)
木村 王様はあなた様なので(笑)


(難易度選択について)


―― 難易度がイージー、ノーマル、ハードとありますが、ハードじゃないとできないことってありますか?
木村 ハードじゃないとできないことはないですけど、完全クリアすると別のモードが出ます。ちゃんとエンディングまで行くと、イージーでもノーマルでもハードでもないモードが出ますね。イージー、ハード、ノーマルの違いはアクション部分の難易度の違い、敵の強さや敵の出現、復活率(ポップ率)とかが変わります。
和田 ザコが固いとか。ボスもそうなんですけど。
木村 全滅させたはずの場所に復活するっていうタイミングが…… まぁ、昼夜のタイミングで色々あるんですけど、まぁ、それが細切れになっているので、ハードだとどんどん(敵が)出てきますね。


(通信要素について)


―― 通信要素はないんですか?
木村 通信ってWi-Fiってことでしょ。ないんですよー。ネットはねー、できなかった。時間切れで。
―― どんなアイディアがあったんですか?
木村 2Pモードってのを考えていたし、粘っていたんだけど、どうしてもできなかった。2Pも色んな2Pを考えたんだけど、一番変わっている2Pで面白いかなと思ったのは2人で1つを操作するっていう。王様が牛に乗っているんだけど、1人が牛を操作して、1人が撃つっていうバラバラのをやろうとしたんだけど……
―― マリオカートダブルダッシュみたいな……
木村 これはもう、ギリギリでやめた(笑) この悔しさを言ってもいいのかな(笑)
―― いやぁ、もうぜひ聞かせてください。
木村 でも、それをやめた理由ってのはちゃんとあって、それをやるか、ゲームの序盤から中盤までのレベルデザインっていうか調整作業に時間をかけるかっていう決断のときがあって、2Pモードを消してバランスの調整回そうって言うのが、どデカかったかなぁ、あの話は……
和田 ねぇ。
木村 あれはもう、やめますって言うメールを(和田さんに)送って。
―― また直接的な(笑)
木村 (和田さんの返信は)えー、みたいな。でも、調整に力を回すならそうしてくださいっていうような。
―― 制限された時間の中で何を重視するかという問題ですね。
木村 でも、自分で言うのはなんですけど、和田さんはみんな僕のゲーム遊んでますけど、一番バランス調整されていますよね?
和田 うん。
―― 凄く手のかかったゲームなんですね。


(キャラクターの移動速度について)


―― キャラクターの移動速度がちょっと遅いかな、と言う気もしたんですけど。
木村 あー、なるほどねー。わかった、次に反映する(笑)
―― ただまぁ、ゆっくりと遊ぶというコンセプトなら確かにこの速度なのかな、という。
木村 そうねぇ、ほんわかとした雰囲気もあって、その手のバランスもありますよね。
―― あんまりセカセカしているとそれはそれで良さを殺しちゃうのかなと。
和田 アクションの時にこれ以上速度を上げると逆に操作がしづらくなるというのもあるんですよね。
木村 うん、それもあるね。
―― 回廊が割と狭い作りなので、確かにちょっとだけ動けばそれで敵を避けられるってのはありますね。
木村 なるほどなるほど。
―― マップの広さとのバランスなんですかね。
木村 あと、敵が回りにいない安全状態だと2ボタンで帰れるんですよ。
―― あ、そうなんですか。
木村 あれで歩いて帰ってこなくて済むので。
―― 2ボタンで帰って来たとき、カメラの視点が後ろなのが凄く気になったんですけど。
木村 あ、あれねー! あれはー、あれさ、逆のほうがよかった?
―― 逆のほうがいいです!
木村 本当? あれね、最初は逆にしてたのよ。でさ、逆のほうがいいって言うヤツが現れて、変えたのよ。それでまた逆のほうがいいってヤツが現れて「どっちやねん!」っていう感じになって!
―― あはははは(笑)
木村 まぁ、最終的にはそう決まったけど、あれはねー。もうねー、そういう裏腹問題はいつもある。それは確かにねー、その意見は1人2人の問題ではない。なんでそうなったかと言うと、LV1、LV2、LV3の城があって、LV2とLV3の城だとあの方向のほうがいいってのが僕の判断なのよ。ごめんごめんごめん。
―― ははぁ、なるほど。
木村 でも全部(のLV)で違う方向に(カメラの向きを)変えなかったの。確かにねぇ。言われたか、それ!
和田 凄く悔しそう(笑)
―― あはははは(笑) 確かに違和感は覚えましたけど、わからないことはなかったです。
木村 でも、2ボタンで城に帰れてよかったでしょ?
―― それを最初に教えて欲しかったみたいな。
木村 2ボタンで遠くから安全な場所から帰れるじゃないですか。あれね、本当に最後につけたの。それで調整がそういう話になっちゃって。
―― へぇぇぇぇ。
木村 なんかあのー、ルーラがないとダメ…… あ、ルーラって言っちゃダメか(笑)
―― あはははは(笑)
木村 一瞬で戻らないとダメだよな、って話になって。そうそうそうそう。
―― 逆に一瞬で戻れるようにしたくない、って話はあったんですか?
木村 最初は遊んでて、往復するのも含めてゲームのバランスを作ろうと言う意識はあったんだけども、結局散々作った挙句に遊んでいて、遠くに行けば行くほど一発で帰りたいという感覚の方が増してきて、それは素直に取り入れようと思って…… 入れた。
―― うーん、なるほど。
木村 最後の調整の時に入れたんですよね。
―― 行きはよくても帰りが凄くしんどくなるゲームってありますよね。
木村 ありますよね。
―― そういうデザインもあり、こういうデザインもあり。
木村 テンポが悪くなっちゃうんでね。
―― そうですね。行きは目的あるけど、帰りって割と消極的な目的ですもんね。
木村 ないですもんね。
―― 早く帰りたいなぁっていうだけで(笑)


(建物完成時の演出について)


―― 建物を完成させたときにSEがちょっとしかなくて、「建てたぞー!」という達成感が薄いように思ったんですけど。
和田 あー。なるほどなるほど。参考にします。一番重きを置いているのはプレイのテンポ感なので、割とサクサクと進めるのが根本の思想にあってそうなっているんですよね。まぁ、それにもメリハリがあった方がいいってことですね。
―― アニメを入れろってことではないんですけどね。
和田 わかりますわかります。テレレテッテッテーン♪ っていうのが欲しかったって言うことですね。
―― そうですそうです。
木村 ちなみに今大工の家を買いました。はい、大工の家が建ちましたと。要は一杯建つのでそれで演出過剰にできなかったってのがあるんですよ。
―― 毎回毎回は胃にもたれると。


(戦利品の確保に関して)


―― (敵を倒すと出てくる戦利品は)きちんと触れないと取れないんですよね。
木村 戦利品は王様自ら足を運ばないと取れないんで。
―― 自動で取れるって言うような考えはあったりしたんですか。
木村 あのね、それも検討した。凄いこれって色々やった挙句なんだけど、自分でとらずにアイテムが流れてくるってのをやっていたんですけど、そうすると今度は王様がやることがなさすぎてつまんないんだよね。
―― あああ、なるほどー(笑)
木村 で、便利だったんだけど、ちょっとは王様もリスクを持ったほうがいいってのがあって、アイテムを取る時はわざわざ王様を行かそうってことになって。実験したなー。実験したよ、それ、本当に。
―― EAのぼくとシムの町キングダムというゲームがありまして、1作目では出した素材を自分で拾いに行くゲームだったのが、2作目で自動的に拾ってくれるゲームになって、楽になったんですよね。
木村 難しいよね。楽にしたいところと遊ばせたいところがあって、そのバランスがね。
和田 その考えを推し進めると、結局見てるだけのゲームになりかねないので、さじ加減は本当に難しいですね。正解がないというか。でもなるべく多くの人が気持ちよく遊べるようにはしたいので……
―― うんうん。
和田 ソニックとかマリオってリングやコインがあるじゃないですか。それを取りに行かせた方がいいのか、集まってくるほうがいいのか、っていうのは、結構ACTかSLGの境目にかかってきて、ACTだったら絶対に自分で取りに行かせた方がいいんですよ。
―― あ、確かに!
和田 そしてチャリンチャリンチャリンって音がした方が自分で操作してゲットした感じがするんですよ。SLGの場合はそれはユーザーには手間でしかないと。王様物語ってアクション性のあるゲームなので、どっちも正解であり、どっちも不正解であるという境目なんですね。
―― なるほど。凄く腑に落ちました。


(ロックオンについて)


―― Zボタンで「線」を出してターゲットを定められますけど、ロックオンではないんですよね。ロックオンだったらよかったなと思うんですけど。
和田 ロックオンの時期もあったんですよ。
木村 あったよね。
和田 結構迷いましたね、正直。
―― 自分で照準を合わせないといけないじゃないですか。だからズレちゃって全く違うところに行ってしまうことがあったんです。
木村 それはある。あるあるあるある。
―― 3人が敵に当たって、2人が外れちゃったりとか。
和田 ロックオンにしたらしたで簡単すぎるところもあって、最初、突撃と退却のない時代はロックオンにしていたんですね。そうでない操作が凄く忙しかったので。でも、一番操作する回数が多い突撃と退却に絞ってわかりやすくしたんですよ。
―― なるほど。
和田 「突撃!」って言ったら全員が突撃するし、「退却!」って言ったら全員退却っていう風に決めたので、それでロックオンにしちゃうと本当にアクションとしては簡単になっちゃうんですよね。
木村 まぁ、難しいところだよね。
和田 最初はね、範囲があって、「この範囲の親衛隊だけ戻って来い」とかの操作もあったんですよ。
木村 色々あった。Aの親衛隊とBの親衛隊を別々に戻せる操作とか、撃ち出すのも、撃ち分け方とか色々やったし、もっと遡るとポインタの操作も一応検討していたんだけど、散々考えた挙句にSTGみたいに前に撃ち出せばいいじゃないかっていう(笑)
―― 一番シンプルなところに落ち着いたと。
木村 もっというと、「線」あるじゃん、あれを僕は入れることすら反対だったんです。でも、もういいよ、と。もうとっちゃえ、みたいな感じもあったんですけど、ちょっとでも易しくしようってことで最後は一応入れましたけど。まぁ、人間シューティングって僕は呼んでます。
―― 人間シューティング(笑)
木村 人間を撃ち出すシューティングだから人間シューティング。
―― 中ボスで退却の使い勝手がわかりました。攻撃を受けて部下が散ってどうしようと思って、気がついたら急いで退却ボタンを押していました。
和田 プンプンマークが攻撃の予備動作なので、本当はその時点で全部呼び戻すのが一番いいんですね。
―― あああああ!
木村 でも、散った後も呼び戻せばリカバリーが早いので。
和田 「戻れ戻れ戻れ!」って急いで連打するという(笑)
木村 慣れてくると退却の予兆だけじゃなくて、突撃の予兆も感じ取れるようになります(笑) 不思議なんですけど。「攻撃の後は隙がでやすいのかな?」とか格闘ゲームじゃないですけど、ゲームにありがちなことは一杯入っています。


(会話とコリジョン設定について)


―― 会話するときに近すぎると会話できないのが気になったんですけども。
木村 あー、頭の上に名前が出てるときじゃないと反応しないっていうルールなんですよね。
和田 キャラクターが複数いたときの問題を解決するためで。
木村 その問題とかもあるんだよねぇ。近づきすぎると……確かにねぇ。あれはねー、あった、議論は、実は(笑)
―― (笑)
木村 凄い細かい理由なんだけど、このゲームにコリジョン(衝突)、キャラクター同士のコリジョン(衝突判定)をつけるかどうかの問題と重なっていて、それ。……こんないいのかな、こんな嫌な話をして(笑)
―― 聞きたいです(笑)
和田 いや、折角なんで。
木村 キャラクターってぶつかった時に話しかけたいっていうのがあるじゃないですか。でもこのゲームの場合、大量にキャラクターが出るのでコリジョン判定をやめたかったんですよ。
―― ははぁ。
木村 なので、ちょっと離れたところで反応する、頭の上に名前が出たときに反応するって仕様で落ち着かせて、コリジョン判定を取ろうって取っちゃったんだけど、コリジョン判定を取るとどうなるかって言うと、こんな接近できたりとか凄く寄れちゃうでしょ? で、そこでコリジョンをつけるワケにはいかないし、一番寄ったときに反応しちゃうと今度は逆にキャラクターが重なったまま反応したりとかもあって。あの距離の調整もちょっとずつやったのが…… あの結果なのよ。
―― うーん、なるほど。
木村 うわぁ、もう言われるねぇ、これ。
―― あはははは(笑)
木村 限界まで頑張った、一応。
―― 遊んでてちょっとアレって、違和感を覚えることがありますね。
木村 ありますねぇ。慣れ……て欲しい(苦笑)
―― あはははは(笑)
和田 正直すぎる(笑)
―― 確かに慣れると気にならない範囲なのかもしれませんけど。今はまだ一歩だけ歩くってのがまだ難しいところもあるので。


(開発期間、プラットフォーム選択について)


―― このソフトは開発に長く時間がかかったそうですが、具体的にはどれくらい……?
木村 5ヶ月企画書作って、6ヶ月プロトタイプ、その次の1年で作るはずだったんだけど、ちょっとゲームのバランス調整で1年かかって。
和田 3年かかっているんですよ。
木村 全部で3年とちょっとですよね。
和田 3年半。
木村 3年半? かかってます?
和田 いや、だって……
木村 あ、発売までね。それはそうだ。
和田 そうそうそうそう。
木村 長い……ね! 反省してます。
―― (笑)
和田 本当によくないことです。
木村 いやー……
和田 だって作り終わったら世の中にクラコンPROがあったんで。最初からわかっていればそれに対応したのに。
―― 作っている時は知らなかった?
木村 クラコンPROどころかクラコンすらなかったからね。作り始めのときは。
―― このゲームってWii特有の操作ってないですよね?
木村 ないです。やめました。まぁ、ノーモアヒーローズっていうのをやっていた(プロデューサーを務めていた)んですけど、それはそれとして、このゲームは振らなくていいなとかなり最初に決めました。「Wiiだから振らないといかん!」みたいな縛りがわーっと来ちゃうんですけど、「これは振らなくていい! 振らなくていい!」って周りに言って。自分でもそう決めて。……うーん、なんか振りまくるのも……疲れる? じゃない?(笑)
―― (笑)
木村 これを僕は任天堂の前では喋ってはいないですよ(笑)
―― PS3や360で出すと言う考えはありますか?
和田 王様物語を出すってのは、多分、ないでしょうね。
木村 それはない。王様物語を次世代とかって…… ないないない。
和田 多分、全然新しいものをやると思います。当然そのWiiだけを作っているだけじゃないので。360もPS3も作っていますし。
―― 逆に今回Wiiを選んだ理由はなんだったんですか?
木村 ひとつ言っていいですか、決定的なことを。
―― はい。
木村 和田さんもそうだと思うんですけど、僕は任天堂の大ファンなんですよ。任天堂なくして僕はゲームデザイナーになっていないと思うんだよね。だから凄く尊敬しているし、ありがとうございましたっていう感じが普通にしてます。あとは和田さんと色々話して、結果、Wiiにしましょうって決まったんですけどね。
和田 タイミングでしょうね。
木村 タイミングですね、うん。
和田 「さぁ、これを作ろう!」って言ったときに、そこにWiiがあったっていう。タイミングですかね。あんまりPS3が作れる気がしなかったし。
木村 まぁ、能力的なものもあるなぁ、確かに。
和田 PS3とか360で作るイメージじゃなくて、Wiiだなと。PS2はもういいやと。
木村 企画の内容からして携帯ゲーム機に持っていけないぐらい、建物の大きさとかキャラクターの大きさとかのバランスもあったんで…… うーん、Wiiだったなぁ、って感じ。
和田 あんまり、その、あれなんですよ。よく外側から見てるとプラットフォームの話とかってよく出るじゃないですか。それぞれね、PS3のサイトを運営している方もいらっしゃいますし(笑)
―― (笑)
和田 WiiPS3だ360だって話ってあるんですけど、作るほうはまぁ、あんまり(拘りが)なくて、もちろんビジネスとして見たら「売れているハードがいいよね」とか「世界で普及しているハードがいいよね」とかはあるんですが、意外とそんなに拘ってないと思いますけどね。
木村 その拘りはあった方がいいんじゃないの?(笑)
―― (笑)
和田 うーん、僕は、あんまりないですね。
木村 マーベラスとしての戦略もありましたよね。その流れもね。
和田 とにかくうちはうちの実力しかないので……
木村 確かに確かに。
和田 いきなりHDに行ってなんかUBIのアサシングリード……
木村 アサシングリードみたいなの作れないですからね。
和田 対決できないし…… っていうのはありますよね。
木村 ちょっと悲しい話をしましたけどね、対決できないですよ、我々には。
―― ブログを見ると、海外に対する対抗意識、海外に負けないようなソフトを作ろうという意思表示が何回か見受けられましたけども。
和田 僕ホント3年前にブログを立ち上げたときに書いているんですけど、「日本のクリエイティブの底力を見せたい」ってのがそのときの言葉だったんですけど、写真のようなCGを作らせたら絶対に敵わないんですよ、今の自分達の実力では。だから、そうじゃない、勝負できる選択をアートではしているんです。その当時の出てきたものと、今のものと全然違うし、木村イズムがガンガン出ているので……
木村 リアルじゃないものを作ろうと思ったとき、「木村を呼べばいい」って思った和田さんはちょっと偉いよね(笑)
―― あはははは(笑)
木村 僕は確かにそういうものしか作ってないというか、僕のゲームのキャラは2頭身なんでね、大体(笑)
和田 まぁ、変人だからね(笑)
木村 まぁ、2頭身じゃないのも作ったことあるんですけどね!(笑) でも、2頭身キャラの方が僕は好き!
―― 凄くキャラがかわいいですよね。
木村 ホント? ありがとうございます。
和田 嬉しいです。
木村 僕は2頭身のかわいいヤツがブラックなことを言うのが好きなんです。
―― あはははは(笑)
木村 特にのんきな大人が大好きで、あそこらへんの普通の日常で喋っている台詞って僕が割とじかに書いているんですけど、のんきな大人の「働くのがイヤ!」とか「宝探しぐらいだったらやってあげてもいいけどね!」とかタカビーだったりとか、周りにいる色んなのんきな大人のことを思いながら書きました……って言うと怒られちゃうのかな(笑)
―― あはははは(笑)
木村 大人が見るとドキッとするメッセージが一杯入っているんです。
―― 確かにそうですね(笑)
木村 で、子供にね、「お父さんはのんきな大人なの?」って聞かれたら悲しいでしょ?
―― うわぁぁぁ! それはえぐられる(笑)
木村 そんなことを思いながらね。


(王様物語発売日の話)


木村 皆さんは例えばこういうブログをやっていますとかそういうのは……
―― あ、僕はPS3のブログを……
木村 あ、なるほどなるほど(笑)
和田 よろしくお願いします(笑)
木村 全然問題ないって言うか、発売日が同時になっちゃってドキドキしているんですけど(笑)
―― あ、新型PS3が!(笑)
和田 プレイフェイスvs王様物語みたいな(笑)
木村 ゲーム屋さんに人が一杯来るので、いいことがあるかなと信じたいですけど。
―― PS3待ちの人のところにポスターを貼れれば……
木村 確かにね。確かに。頑張ります。
和田 朝十時に行って、お願いして回ります。選挙運動みたいにね(笑)
―― 本当ですか?
和田 や、あの、半分嘘です(笑) 半分半分です。
木村 本当にやりそうですよね、和田さん。
和田 発売日の時はいつも店に行くんですよ。で、黙ってこう見てるんですよ。「あ、よし、買ってくれた!」とか。「あー、なんか見てるけどスルーされた……」とか。


(王様募集の話)


―― 公式サイトで王様を募集してましたよね。
木村 はい、王様の募集審査は昨日(22日)やりました。最終候補5名に絞って、次またやるんですけど。
和田 応募総数は2000名以上かな。
―― おおおおおお! 出しとけばよかった!(笑)
木村 いやぁ、面白かったですよ。
―― 経験者の応募ってありましたか?(笑)
木村 経験者ありましたよ。
―― マジですか!?
木村 「僕、王様です」っていう人もいましたし。
―― あはははは(笑) 自称ですか。
和田 あと、ロード。
木村 ロードもいましたし。
―― ロード?
和田 公爵というか。爵位を持っている。
木村 イギリスの公爵もいましたし。
―― へぇぇぇぇ!(笑) どういう因果でその人は応募したんだろう(笑)
木村 ちょっと有名なアーティストが来たりとか、いろんなことがあったんですけど、今はもう最終審査は難しい状態に入っていますね。どの人がやってもいいと思いますけども。
―― 凄いですね。本格的だ。


(和田さんと木村さんが遊ぶゲームの話)


木村 あー、(ボスまで)来た、挑戦しに来た。
和田 はい、やっつけに来ましたよ。
木村 挑戦してください。
和田 いやー! 逃げる!
―― おおお!
木村 この攻撃は厳しい。
和田 うわわわわわ、ヤバい。
木村 和田さんね、あれなんですよ、攻撃直後です、攻撃直後。チャンスは。
和田 はい、はい、はい、わかってます(笑)
木村 あっはっはっはっは(笑) わかってるよね、そりゃ。
―― 和田さんはアクションは得意なんですか?
和田 はい、一応。
木村 俺の10倍得意(笑)
―― あ、そうなんですか?
木村 ゼルダとか普通にやっちゃうもん。俺はクリアできないから。
和田 基本はアクションゲーマーなので。ハンターランク103(モンスターハンターのプレイヤーレベル)なので。
―― ハンターランク103!(笑) 一番最近やったゲームとかってなんですか?
和田 あ、それは国民的ゲームしかやってないっていうか。ドラクエとモンハン3です。
―― あ、一緒だ(笑)
和田 普通のゲーマーです。あ、でもFPSはあんまりやってないですね。360のギアーズとか。その辺はあんまり。
―― 木村さんはどうなんですか?
木村 え、僕。なんだろうなぁ。
―― あんまりゲーム自体やらないんですか?
木村 ゲームやるんだけどね、うん。最近だとドラクエだね、やっぱり。
―― やっぱり開発の人もドラクエやるんですね(笑)
木村 でも、変わったのが好きで、塊魂とか好きで。塊魂はずっとやっちゃう(笑)


(次回作の展望や木村さんのアイディアの話)


―― 凄い先の話になるんですけど、次のゲームのアイディアはありますか?
木村 あるある。アイディア。あるよ。
和田 めっちゃくちゃありますよ。
木村 それ言っていいの?
―― ぜひとも聞かせてください(笑)
和田 ダメ(笑) あ、ウソです、いいですよ(笑) どこのなんていうマシーンで、いつ出るのかっていうのは無理だけど、ゲーム的にこうなるよっていうのは(言っても)いいですよ。
木村 でも、何を言えばいいんだろうな。一杯ありすぎて俺、困るんだよな。……俺のアイディア帳、見る?
―― え、見せて貰えるんですか!? 見たい! 凄く見たい!
和田 あの…… 丸暗記できない程度によろしくお願いします(笑)
木村 (アイディア帳を取り出して)これね、昔子供の時作ったゲームを絵に描いてみたりね。
―― へぇぇぇぇぇ。
和田 ネタ帳と言うか、スケッチブック(笑)
―― (色々とネタを見せて貰って)いやぁ、はぁ。凄い……!
木村 なんか色々ね、描くんだよ、こうやって俺。あんまり字を書かないの。絵だけでこう、記憶で描いて。
―― 確かに。イメージアートっぽい感じですね。
木村 アラブの人ね。これ、ドバイ行った時に描いたからね、行った場所でただ描いてるだけじゃないかと(笑)
―― あはははは(笑)
木村 あ、もうそろそろヤバくなってきた。はい。
―― (笑)
木村 こんな感じで色々描いてね。これを真面目な企画書にして和田さんに見てもらう。



司会 はい、それではここで試遊時間の30分、終了しましたので、これで試遊会は全て終了させて頂きます。


木村 終わったぁぁぁぁ。はい、終わりです。
和田 (ゲームに夢中な和田さん) え? あ? はい。すいません。
―― あはははは(笑)
木村 今、ボスを倒しに行こうとしてましたね。
和田 そうそうそうそう。
木村 残念でしたー!(笑)


(最後に一言)


木村 発売日言っていい?
―― どうぞどうぞ。


和田 9月3日王さ……
木村 9月3日発ば……


―― あはははは(笑)
和田 あれ?(笑)
木村 9月3日、王様物語発売って言いますよ。
和田 OK。せーの。
和田木村 9月3日、王様物語発売! よろしくお願いしまーす!



 とまぁ、こんな感じで総計1時間30分の内容を書き起こしてみました。箇条書きで要点だけを書きだしてみようかな、とも思ったんですけど、ゲームの情報は、まぁ、黙っていてもそのうち出てくると思うので、今回は和気藹々とした会場の空気を伝えたいなと思って、こんな形式で纏めてみました。
 色々とブログから人柄を想像しつつ会場には向かったのですが、実際にお会いした和田さんは熱血漢と言うよりは予想よりもゆったりした温和な感じの方でした。でも、ここぞ、という時には信念の強さが見え隠れするのがさすがですね。
 木村さんは割と変人キャラで通っているのでもっと感覚的な芸術肌の方かと思っていたんですが、実際には論理的で凄く理知的な方でした。でも、ネタ帳を見たらやっぱり感性が桁外れだなと思いましたけど(笑)
 あと、今考えてみると「あれを聞けばよかった」「これを聞けばよかった」ってのが浮かび上がってくるんですよねー。もっと気の効いた質問ができればよかったのになぁと。まぁ、これは自分の反省です。


 歓談は試遊前後、どちらも参加してみて、この手の質疑応答はプレイ後の方が絶対盛り上がるなー、と思いました。ゲームを遊んでみての感想、ってのは遊び手にとっても作り手にとっても熱が篭るんですよ。
 何も説明を受けないまま試遊する、ってのは、事故率もあって難しいんですけど、実際に自分でゲームを買って遊ぶ時は同伴のガイドさんなんて傍にいないワケで、それはそれで公平な条件だと思うんですよね。その上で、操作方法がわからない、みたいな問題が吹き出したとしたら、それはゲーム自体の問題だと自分は思うんですよ。
 まぁ、これは突き放した考え方だとは自覚しているんですが。子供さんがプレイするとしたらやっぱり最低限の手解きは必要ですしね。
 まぁ、そんな感じで懇親の間については〆させて頂きたいと思います。またこういうイベントに参加したいなと心から思えた一日でした。



 おまけ。昔の和田さんの写真。
 
 初代牧場物語の写真。15年前くらいですかね。


 http://prg.mmv.co.jp/blog/project-o/archives/profile/
 ちなみに今の和田さんの写真はこちら。……って、あれ?


 
 こっちでした。


 
 イベント終了からこの方、ずっとテープ起こしに取っ組み合っていたので、すみません、コメントの返信はもう少しお待ちください。orz