▼サクラノートの音楽がステキ過ぎる

 最近なんとなく思っていたことがあるんですけど、今年プレイしたゲームで音楽でグッと引き込まれたゲームって、あんまり浮かばないんですよね。まぁ、今年は大作続きで触る本数が絞られているのも理由としてはあるのかもしれませんが。
 去年のゲームは音楽に関しては凄く粒揃いだったんですけどねー。キャプレボとか、采配のゆくえとか、エルミとか、シグマとか、世界樹2とか、ソマブリとか、ノトノとか。……3DダンジョンRPGはみんな音楽がいいなぁ。
 今年のゲームで音楽がいいゲームって、んー、なんだろう。ドラクエ9なんかはやっぱり安心して聞けるし、7竜の8bit音源はメロディアスでよかったし、朧村正はさすがのベイシスケイプだし…… って、あれ、振り返ってみたら結構あるのかしら。
 まぁ、音楽が記憶に残るゲームって、要するに音楽も含めた雰囲気作りが魅力的ってことで、ゲーム自体に多少のクセがあってもそのゲームでしか味わえない独特の空気に没入できれば、それで十分に楽しめる、みたいなところもありますよね。自分にとってはシグマハーモニクスが特にその気の顕著なゲームだったんですけど。
 で、その手の系譜で、ゲーム自体は未だ海のものとも山のものともつかないんですが、音楽だけは飛びぬけてインパクトがあってワクワクしてしまうソフトがあります。それがマーベラスのDS新作ADV、サクラノートです。


 http://www.mmv.co.jp/special/game/ds/sakuranote/


 昨日、公式サイトが正式にオープンしたんですけど、のっけから植松さんの音楽が良すぎですね。最近の植松さんはあんまり表に出てこないイメージが自分の中にはあるので(スマブラXの印象が強いというか)、メインで音楽担当するところを見るのは久しぶりな気がします。
、発売は11月5日。厳しい場所に飛び込びましたねー。まぁ、この時期は後にも先にも引けないんですが。


 ただ、ゲーム自体はどうなんでしょうね、ジャンル表記としては「ナミダ舞うアドベンチャー」ということで、ADV要素がメインなんでしょうけども、イベント、クエスト攻略、妖怪バトル、と要素を逐一書き出してみると、どうにも軸が見えてこなくてモヤモヤします。これはADVなの? ACTなの?


 http://www.mmv.co.jp/special/game/ds/sakuranote/movie.shtml


 うーん、PVを見ると概観がなんとなく掴めるんですけど、ゲーム性自体はアクションに拠る部分が大きいのかなぁ。ADVとしての特徴的なシステム(DSならではのギミックとか)って今のところは見えてこなくて、このゲームの個性ってどこにあるのかな、と首を傾げてしまいます。
 ADVの多くはゲーム性じゃなくて、雰囲気とテキストで勝負する向きはあるので、そうするとサクラノートもテキストに強みがあるソフトなのかなぁ。シナリオの野島さんは確かに実績のある方ではあるんですけど。
 ……でも、野島さんがシナリオを担当したゲームで、自分が遊んだことがあるのってスマブラXしかないんですよね。うーむ、シナリオの比重がすこぶる軽いゲームなので参考にならないわぁ。


 ゲームの雰囲気も妙に方向性を掴みづらいです。「ノスタルジー」で「ボーイミーツガール」で「妖怪退治」? テーマをどれか1つでも削ってくれればスッキリするとは思うんですが、この3つを混ぜ合わせてどんな世界観が浮かび上がるのかイマイチ想像しづらいんですよね。
 完全なリアルじゃないし、完全なファンタジーでもない、ノスタルジックな世界。案外近いのはとなりのトトロだったりするのかな。なんかヒロインがジブリっぽいなー、とか思ったんですよ。まぁ、自分はあんまり絵の見分けとかつかないんですが。誰にも嫌われない方向を探っているのはわかるんですけどね。


 とまぁ、そんな感じで興味は凄く沸くんですが、ゲームの魅力がピンと伝わるタイプのゲームではないんですよね。もどかしいところです。
 マーベラスってそういう「面白そうなんだけど魅力が見えにくいゲーム」が凄く多いんですよね。明日発売される王様物語も、あれはACTなのかRPGなのかRTSなのか、一目でハッキリとわからないところがあって、あれはACTのゲームだぞと自分は触って確信して、ようやくそう書けたんですけど、やっぱりそれも直に触ってみないと伝わらないと思うんですよ。
 マーベラスってパブリッシャー業が割合として大きいのでブランドのカラーが定着しづらいってのはあるんですけど、同時に独自性が薄いとも思うんですよね。マーベラスのソフトってどこにでもあるソフトだなぁという印象をまず受けてしまうパターンが多いと言うか。
 今回のサクラノートにしても、ウリになっているのがまずは有名製作陣というところに、ちょっとした閉塞感を覚えます。それで面白い尖った提案を見せてくれるなら「さすが!」と喜べるんですけど、今回はあまりそういう魅力は窺えないのは難点ではありますね。
 ただ、ADVって雰囲気の構築やシナリオの質で幾らでも逆転の効くジャンルではあるので、初見では地味に見えても、蓋を開けたらまるっきり印象が変わる可能性も秘めているんですよね。下地は十分あるとは思いますんで、それを期待したいなと自分は思っています。音楽はね、本当に素晴らしくて、サントラ欲しいなぁと思いますもんね。