▼ゴーストトリック ディスカッションレポ



 先日6月12日は東京某所にてカプコンより6月19日に発売されるDSソフト、ゴーストトリックの体験会に参加してきました。体験会では実際の商品を試遊する時間と、開発者を代表してプロデューサーの竹下博信さん、ディレクターの巧舟さんとの質疑応答の時間とが設けられました。
 試遊は1時間半、質疑応答は1時間くらいでしょうか。元々の予定はトータルで2時間だったので、予定を大幅にオーバーしてしまってはいるんですが、色々とお二方に質問をぶつけて質疑応答を引き伸ばした張本人の一人としては時間を延長して頂いた結果、素晴らしく充実した時間が過ごせたので申し訳なく思いつつもありがたく思っています。本当にありがとうございました。
 今回のゴーストトリックは全くの新規の商品で、シリーズ作のように外観がキチンと周知されているゲームとは少々異なる側面もあるので、本来的には「ゴーストトリックってどんなゲームなの?」というところからじっくり紹介すべきところなんですけども、休日でもないとテープ起こしの時間が確保できないもので、体験会のディスカッション部分からまずはレポートさせて頂きます。
 試遊が無言で進んだので、質疑応答はちょっと空気が暖まっていない感じでしたかね。でも、試遊で会話が少ないのにはちょっと理由があって、このゲーム、解法を探すのにとにかく没頭しちゃうのと、話題がネタバレに直結しやすいこともあって、なかなか声をかけにくいところはあったんですよね。
 でも、お二人ともとても面白い方でしたね。中には口が滑りすぎてオフレコになるような話もあったりするくらいで。自分は何度か体験会に参加しているんですが、これほどファンサービスに積極的な体験会って初めてでしたよ。正直ビックリしましたが、小慣れているのはさすがカプコンだなぁとも思ってしまいました。
 自分は変な質問や細かい質問を持って行きました。まぁ、メディアではあまり見ないようなことを聞いてみたいなとか思いまして。結構面白い答えを頂けたかなとは思いますがどうでしょうね。個人的にはパズル風味なゲームを多数プロデュースしている竹下さんにもっと色々と聞いてみたかったところもあります。


 なお、この場には自分だけではなく、体験会の参加者が複数名同席していまして、質問は全て同一の発言者によるものではありません。質問者によって、進度や感想、ゲーム経験はまちまちですので、それぞれ発言内容に食い違いがある場合もあります。

 また、メーカーの方の発言も完全にはオフィシャルなものではありません。ひょっとしたら勘違いや言葉の綾、リップサービスが含まれていることもあるかも知れませんので、ご了承ください。


司会 最初にお二人から皆さんに聞いてみたいことはありますか?
 難しさとか……
竹下 ああ、そうですねぇ。
 やっぱり気になっていたんですけど、まぁ、大体窺いました……見ましたしね。確かに「あ、ここで結構詰まる方がいるかなー」ってところが……
竹下 うんうん。
 2箇所ほどだったんですけど…… まぁ、でも大丈夫ですよ。
―― (笑)
司会 じゃあ、逆に皆さんの方からお二人に質問のある方、挙手して頂けると……


 以下、質疑応答の流れになります。


―― 発売日が早まったのはなぜですか?
竹下 そうですねぇ。ポスターも張り替えてますしね、発売日のところだけ。
―― あ、これ、シールになってるんだ(笑)
 僕は(発売日以降に張り出される予定の)「発売中」ってヤツは見たんですけども……
竹下 張り替えられるのよ。(発売日が)19日になったんで張り替え。
 なるほど、素晴らしい。発売日まであと5日、4日……とか1日ずつ張り替えていきましょうよ。
竹下 それはお金がかかるから。
 (笑)
竹下 6月の2日だったと思うんですけど、任天堂さんからの発表がありまして、ハード(DS)が値下がりしますと言うことと、新色が出ますということを受けて、急遽うちの会社の営業さんの方で「そこに合わせたらどうだ!」みたいな話になってですね、それで急遽変わることになって。
 まぁ、全部、これ(ポスターの日付部分のシール)、めくると24日って書いてあるんですけど、僕らはもうその日(発表日)までちょっと知らなくて、24日でやるもんだとばっかり思っていたんですけど、急遽それに合わせて前倒ししようって言うんで。で、そういう段取りも組めたみたいなんで、非常に珍しいケースだと思うんですけど、前倒しをしてやろうってことになりました。
―― ラブプラス+とかは特に関係ないんですか?
竹下 え?
―― (笑)
―― ラブプラス+から離脱した(発売日をずらした)みたいな。
竹下 そうですねぇ…… うーん、まぁ…… そんなに、ない。
―― (笑)
竹下 強がってみる、みたいな。
―― (24日は)iPhoneの新型も出ますしね。
竹下 そっちは怖かったですね。一緒だったら。……ちなみに24日はモンハンフロンティアの360版が発売されますので(笑)
―― (笑)
竹下 そちらもよろしくということで。


―― 逆転裁判が発売された時に「オレの知ってる推理ゲームはどれもピンとこない。誰もがナットクするゲームというカタチでのミステリーのスタンダードを作るんだ!」ということをコラムで仰ってましたが……
 若かった頃ですねー。
―― (笑) 逆転裁判はいつも新しい形のスタンダードを作るという趣旨がありましたが、今回も同様でしょうか?
 逆転はそういうアドベンチャーゲームのカテゴリの中でスタンダードなモノにしたいと思ったんですけど、今回は思いつきからしてなんかあまり他に似た感じの(ゲームが)ないかなと思っていたんですね。
 やっぱりアドベンチャーゲームは、「文章が出てきて、選択して進める」っていうイメージが強かったので、そうじゃないアドベンチャーゲームもいいんじゃないかな、というのを提示してみたいなと思って作ったんですけど。やっぱり最初見て貰った時にパズルゲームとかアクションゲームとか、そういう印象を受ける方がいらっしゃるみたいで、そこをこのゲームで「こういうのもアドベンチャーとしてアリなんだよ」っていう風に思って貰えれば、広がれば、御の字というか万々歳なんですけども。
 スーパーファミコンアウターワールドってのが昔あったんですけども、あんなのが僕は好きで、その辺の影響があったかも知れないですね。ここらでみんなそういうのも見てみよう、やってみようよ、という気持ちです。
―― インクレディブルマシーンとか影響はありますか?
 インクレディブルマシーン。あれは、そうですね…… 今回は特に影響はないかな。でも、やったことはあるので、どこかで影響はあるかも知れないですね。ピタゴラスイッチとか、なんかそういうインクレディブルマシーンみたいなの…… カプコンからも出てますしね、謎魔界村
―― あー、謎魔界村!(ちなみに謎魔界村のプロデューサーは竹下さん)
 あの辺は…… 結構インクレディブルマシーンは、本当に「パズル」「パズル」で正統派なんですが、僕は今回は「パズル」と「ストーリー」の融合というか、パズルの中でシナリオを語れないかなとかいうことを考えていたので、4分前(死の4分前)のデモの中で死の真相がわかったりとか、今まで知らない答えが出てきたりとか、なにか新しいことが出てきたりとか。ステージによってはまだ先になりますけど、ゲームを解きながら実は新しいジジツがわかったりとか、シナリオとの融合をやってみたかったんですよ。僕は文系の人間なんで、難しいパズルを考えるのは苦手だったりするんですけどね(笑) なので、お話とパズルとの融合、というのを打ち出したんですね。


―― 開発期間はどれくらいでしょうか?
 開発はですね、実際に今回かかったのは、2007年からなので、2年ちょいですかね。考え始めたのは結構昔で、逆転3が終わった2004年の頃に一回考える期間があったんですけど、ちょっとそこからDSが発売されて2作ほどDSに逆転裁判シリーズを作って、で、2007年からまた作り始めたという感じですね。2年ちょいかな、はい。(竹下さんに向かって)ちょい?
竹下 ちょい…… んー、2年半弱くらいですね。
―― (笑)
 結構やっぱり期間的にはかけさせて貰っているので。プレッシャーもありつつ(笑)
―― (笑)


―― 失礼かもしれないんですが、初めて触ったとき、ドリームキャストで発売された「ルーマニア#203」に似てるかなと思ったんですけども影響は受けていますか?
 ルーマニア、はいはい! コンセプトを考える時には(影響を)受けていると思いますよ。いろんな変わったゲームは好きですから、ルーマニアが出たときに僕はちょっと…… あれ、ドリームキャストでしたっけ。僕は持ってなかったんで遊べなかったんですけど、色々想像が広がって、そういうね、人の生活を覗き見するとかいうのを面白いなーと思いましたから、どこかで影響を受けていると思いますけども。ゲームはやってないのでね。どこかで中身が被っていたらちょっとヤバい……
―― (笑)
 なんか、見た目とかでもね。タイトーの「EXIT」に似てるんじゃないですかとかもね、よく聞かれたりしますけども。
―― 色々とやっぱり……
 あ、でも、EXITに僕は(聞き取れず)ですよ。いろんなゲームは、うん、あのー、(聞き取れず)になってると思いますけどね。具体的にどうとかはわからないですけど。


―― 「死の4分前」というシステムがありますが、これを4分にした理由はなんですか? 3分や5分じゃダメだったんですか?
 あーっと、まぁ、3分は有名なヒーローがとっちゃってますし。
―― (笑)
 最初はね、10分にしたんですよ。でも、なんか10分だとちょっと緊張感が保てない長さだったので、やっぱり、うーん、2分、3分とかで作ろうと。でも、3って数字はよく使われているし、4ってあまり使われない数字じゃないですか。
―― そうですね。不吉で。
 そうですね。ま、不吉だし、死とも掛かっている。まぁ、(採用しているのに)あまり自分の口から言うのもなんですけど(笑)
―― (笑)
 あまり使われていない数字ということで4。多分、これから先も使われないんじゃ、という数字にしました。
―― 組み込んでみて、ギミック的にもっと時間が欲しかったなぁとか、逆にどう間を持たせようかなぁ、とかありましたか?
 んー、そうですねぇ、まぁ、ちょっとくどい(? よく聞き取れず)かなぁってだけで。
―― 時間を止められるので、4分と言っても結構色々やれますよね。
 ねー、それを僕の口からいうとねー。
―― (笑)
 イメージ的に「死」と「4」で、イメージしやすいしなーってのが大きいですね。


―― 続編は考えずに作りましたか? それともいざと言う時は続編を出せるようにちょっと色気を出して作りましたか?
 自分の深層心理はわからないですけど、いつも続編は考えていないですね。
―― 逆転裁判1の時も確か考えていらっしゃらなかったですよね。
 そうですね。
―― 2の時は、3へのある程度の伏線を張ってましたよね。
 そうですね、1の時は続編の話はなくて、出してから決まったんですけど、2の時は「3まで作ろう」ってことで話が決まったんですよ。なので一応、2〜3という念頭はあったんですけども、今回は当然続編という話はまだないワケで、かなり全部突っ込んじゃいましたね。続編が決まったら嬉しいのもあるし、どうしようってのも…… まぁ、いつものことですけどね、これもね。逆転2を作った時も3はどうしようと思いましたからね、なんだかんだで。そういうものなのかなと。
―― 全力投球ですか?
 全力投球ですよ!


―― 1番気に入っているキャラクターはなんですか?
 1番気に入ってるキャラクターは難しいですねー。シナリオで書いてると、やっぱりリンネさんとかがどうしてもやっぱり一番近い位置にいますけどね、シセルとか。動きではあのー、×××さん(白いコートの謎のヒラヒラ男)っていう……あ、まだ出てきてないか。あ、名前も言っちゃいけないんだ!
―― あはははは(笑)
竹下 来週木曜日発表になります。
 来週木曜日発表……(笑)
竹下 あのー、今は、えーと、「白いコートの謎のヒラヒラ男」という名前で出てるヤツですね。について、はい。
 はい(笑) 彼、まだ動きとか皆さんご覧になっていないかもしれないですけど、このゲーム、結構後半になるとどんどん物凄い動きをする人が出てくるんです。で、どれだけ変な動きをしていいゲームなのかってのを皆さんに説明するために、その×××っていうのを例にとって……
竹下 謎の白い男ね。
 あ、謎の白い男(笑)
―― (笑)
 ……を、その制作で凄い詰めることによって、みんなに、「あ、このゲームは変なゲームなんだ」ってのをわかってもらうために結構時間をかけて作ったので思い出に残っている……白い謎のヒラヒラマンさんです。
司会 今、皆さんが聞いたのは、謎の白いヒラヒラマンです。そう書いてください。
―― (笑)
 すいません、お願いします。


―― どれくらいのボリュームがありますか? クリアまでの時間は?
 本当に人によりますけども、15〜20時間くらいだと思います。
竹下 うーん、難しいとこやねぇ。
 それくらいのボリュームです。
竹下 結構遊びごたえはあると思いますよ。……って自分が言うと商売臭いですけど。
―― (笑)


―― クリア後の特典はなにかありますか?
 特典ですか。あまりないと思います。逆転裁判と同じで持てる資源、パワーを全部本編に注ぎこむと言う作り方をしているので、その本編をなんども味わえるような濃い味付けになっているとは思うんですけども、オマケモード出現とかいうところは今回手を回してないですね。逆転とそこは発想は同じ、同じ感じだと思って貰えればと。


―― 先程の謎の白いヒラヒラ男は、実際の誰かの動きを参考にされたとかはありますか? 正直、さっき見たときにエルビス・プレスリーを思い出したんですが。
 おおー、なるほどね!
―― 実際にモデルにしたとか、この動きを取り入れてみようとか、そういうのはありましたか?
 そうですね、これはなんか……気軽に色々喋りたいところですけども、なんかね、ね。大概そうですよね。
竹下 そうですねぇ。
 やっぱ色々参考にはしましたね。白いヒラヒラ男さん自体、何人か「こういうイメージの人」とか出す(担当に依頼する)んですけど、大体あまりいい意味で出さなかった気がするんで(笑) この人ちょっと笑えるよねー、とか(笑)
―― (笑)
 プレスリーさんは僕の中ではなかったですね、動きに関しては。でも、うん、ああ、なかなかデリケートな……
竹下 うん、名前は出しづらいねぇ。
 凄い好きな人とかも使ったんですけども、ちょっとお亡くなりなっちゃったとかありましたしね。でも、その辺は、んー、基本的には頭の中から出てくる感じですかね。


―― 巧さんが飼われているポメラニアンがミサイルくんで、ゲーム内に出てくるポメラニアンもミサイルくんですよね。
 はい、そうですね。
―― ミサイルくんはキャラが立ってて凄くかわいらしいんですけど、巧さんが飼っているミサイルくんが実際しゃべるとしたらこんな感じがいいなとか、実際のミサイルくんとゲーム内のミサイルくんがリンクしている部分ってあるんですか?
 僕、ミサイルくんというポメラニアンを飼っていて、あんな感じなんですけども、実際はゲームとは切り分けていると言うか、たまたまいたので。あと、犬を出す必要があのステージではあったというか、そうですね、いきなり女の子(カノン)を殺し屋が殺すのはどうかと思ったので(犬を出してみた)。じゃあ、犬ならいいのかって話ですけど(笑)
―― (笑)
 ワンクッション置きたいと思ったんです。なので、子犬を出そうかなと思ったときに近場にいるし、よし出しとくか、みたいな感じで。だからあのキャラクターは今度のシナリオ用に作ったキャラクターなんですけど、実際作ってから自分ちのを見るとあんな感じかなってのもあるし。やっぱり普段見ている感じで、やっぱりこういう喋り方をするんだろうってのが(頭の中に)デキていたんでしょうね。意識はしてないけど、多分繋がってると思います。


―― Twitterでやってるゴーストツイートの企画の立案はいつ頃だったんですか?
 そうですね、始まる1ヶ月か2ヶ月前だったと思いますね。
竹下 そやね。うん。
―― そうなんですか。ツイッターマイスターの神谷さんからの後押しがあったのかなと……
 (笑) 神谷からもかなりありましたね、はい。
―― 「なぜタクシュウはやらないのか」と凄い呟いてましたよね(笑)
 それはー、そうですね、ヤツからもかなりなんか怒られましたね。
―― 怒られたんですか?(笑)
 メールが良く来ていました。まぁ、それだけじゃないですけど(笑) ヤツは、呟きすぎですよね。まぁ、いいですけど。
―― (笑)
竹下 ここは好意的に書いておいてください。
―― (笑)
 彼はマイスターですね。はい。


―― プロデューサーが今まで、稲葉さん、松川さんと変わってきて、今回は竹下さんとの初タッグということになりますよね?
 そうですね。
―― 今までの方と比べて、今回組んでみての感想はどうでしょうか?
竹下 うわぁ、聞きたくねぇ!
―― (笑)
竹下 この時が来たか……
 竹下プロデューサーはとにかくチームのやりたい事というか、走りたい方向を見守るタイプのプロデューサーだったので、実際ちょっと今回、先に出ました2年という(制作)時間とかですね、結構獲得するにはそれなりの苦労があったと思うんですけども、チーム内には伝わってこなかった(プレッシャーをかけなかった)というか。ゲームを作る我々のメンタルというか、意欲を削がない方向で、好きにやらせているっていうところに全力を注ぐ、いい意味であんまりチームに姿を見せない方。なんていうんですかね、我々の結束を高める方向で……
―― 黒子に徹しているというか。縁の下の力持ち的に。
 そうですね。真っ黒ですよね。
―― 真っ黒!?
竹下 うん、オレはね。
―― (笑)
 そういう感じでありがたいですね。……って言うと、他の人達は違うのかっていう(笑)
―― (笑)
 難しいところですね。はい。
竹下 他は他でいいところがあると。
 口出ししてそれでよくなる事も色々ありますけども。タイプによって、ということでしょうかね。


―― マニアックな質問になってしまうんですが、推理小説でJ・B・オサリヴァンの「憑かれた死」とか、ガイ・カリンフォードの「死後」はご存じですか?
 両方とも知らない(笑)
―― あ、そうですか。
 オサリヴァンですか?
―― はい。
 わからないですね。最近の人ですか?
―― いや、もうずっと昔の昭和30年とかの……
 昭和って言いますか。
―― はい。これ、幽霊が探偵役になるっていう話で。
 あ、そうなんですか!
―― なので、初めてゴーストトリックを聞いた時にこれを連想したんですけども。
 なるほどー。あとでなんか教えてください(笑) 作者は2人とも知らないですね。んー、なるほど。


―― 全部で何章ですか?
 今の段階では秘密ですね。


―― なるほどくんもシセルも凄いトゲトゲしい頭をしていますが、あれについてはこだわりがありますか?
 あー、そうですねー、偶然だと思いますけどもね。特にトゲトゲにしようってイメージした覚えはないです。……んー、面白トークをしないとマズそうですか?(笑)
―― (笑)
 特にデザイナーさんの中でいいなーって思ったのを選んだ感じなんですけども。
竹下 頭に特徴を持たせるっていうのはあるね。
 そうですね。シルエットですね、確かに。トゲではなくてもよかったんですけども、シャープな感じですね。


―― 逆転裁判のようにマンガ化したり、あと、VSカプコンに出演したりとか、そういうのはありますか。
 (笑) その辺はプロデューサーから……
竹下 まず売れてからだと思うんですよね。やっぱり、そのお声がかかるかどうかもありますし。今は新しい感覚のゲームであるとか、世界観であるとかってのを、みんなにわかって貰いたいなーってのが僕は凄い大きくて、そこの純度はなるべく高い形で広めたいなというところはあるんですよね。
 で、確かに今、マンガにしましょう、モデルにしましょう、アニメにしましょうって部分で、広がりを持たせるやり方ってのはあると思いますけど、「それぞれを楽しめる」人と、「原作と違うやんけ」って人と両方出るじゃないですか。そこは送り手側としては判断の難しい部分というか、ある種そこのお客さんの期待に応えながら、別のお客さんの失望を(誘ってはいけない)、っていうのが、難しいなぁっていうのがあってですね。まぁ、色々世界を広げたいだとか、コンテンツの良さを知って貰いたいとかあるんですけど、どういう形で出していくかっていうのは慎重に考えていきたいなっていう。……なんか凄い政治家の答弁みたいになりましたけど。
―― (笑)
竹下 まぁ、はい。思いますね。


―― (蘇る)逆転裁判みたいに英語版が入っていなかったんですけど、英語を入れようみたいな考えはなかったんですか?
 逆転の方が特殊でしたからね。あれ、そもそも英語版作ろうぜって話から、じゃあ日本でも出そうよ、って言うんで出たんです。同時に作っていたんですね、あの時は。なので一緒に入れられたんですが、今回は日本語版を作って、次をそれを翻訳してって流れなので、すぐには難しかったんですね。
竹下 英語は今作っています。
 今作ってます(笑)
―― 稲船さんみたいにどんどん世界を目指せ、みたいなのはないんですか?
竹下 世界、は目指していますよ。もう来週月曜からE3ショーって言うロサンゼルスのイベントに行って、英語版のゴーストトリックを出展して、まぁ、この人(巧さん)は色々とインタビューを受けるんですけど、そういうので広めていきたいなぁと。
 いい方に風を広めてね。
竹下 逆転の時には割とやっぱりジャパンクールと言うか、日本的な空気が凄く強くて、彼(巧さん)自身は元々日本市場で(販売を)考えていたんですけど、今回はある程度、無国籍とか割と普遍的な時代性みたいなものを大事にしているんで、そういう意味では海外の人にも違和感なく楽しめるようなアートだったりサウンドのスタイルを大事にしていますね。


―― 逆転裁判の時はなるほどくんがフェニックス・ライトになりましたけど、その辺りにこだわりとか遊び心はありますか?
 どっちかって言うと、そこは海外の人と考え方が違ったりとかするので、最初の頃は僕も入ってやってましたけど、最終的にはやっぱりお任せするしかないんですよね。なので、なるほどくんは海外では英語の名前で出ています。プロデューサーも言っていますけど、今回は無国籍と言うか、名前もシセルだリンネだ、なんか「結局ダジャレかよ!」みたいな感じではありますけど、語感としてどこの国の人か分からない感じの名前にしたかったんですね。なので、それを海外の人に言ったら「あ、なるほど」ってことで、今回は海外版でもシセル、リンネとか名前はほぼ変わらずに行ってるのが特徴的かなと思います。


―― ゲームと関係ない質問なんですけどいいですか?
 はい。
―― 神谷英樹さんは、巧さんが「CD20枚くらい持っていって全部なくした」ってTwitterで言っていますけど、なんかありました?
 ……ああ、その後の進展ですか?(笑)
―― (笑)
 まぁ、彼がそもそも貸した事実だけを言うんですけど、何を貸したか言ってくれないんですよ。
―― (笑)
 んー。僕も借りたような気もしますけど(笑) 何を借りたか憶えてないんですね。それで……20枚。20枚も借りたかなぁ!?
竹下 オレに言われても(笑)
―― (笑)
 フツー、20枚も借りませんよね。
―― (笑) CDを借りたかすらも憶えていないんですか?
 あーーー。まぁ、そこは。まぁ、そこは(笑) そうですね、彼もねー、僕が反応できない場でしか言わないんで(笑) 飲みに行ったときに言えって話ですよ。
―― (笑)
竹下 うん、聞きゃいいじゃん。
 あ、聞いたんですよ、だから何を借りたっけって。そしたら(声を低くして)「そんなの覚えてねぇよ」って。
―― (笑)
竹下 ほう。
 はい。そうですよ。……どうしましょうかね。どうすればいいんだろう(笑) どうしたらいいんですかね。
竹下 ……出世払い。
 あ、金で払う?
竹下 金はいやらしいやろ。いらないの20枚集めて……
 あー、はいはいはいはい、わかりました。
竹下 これを借りたと。神谷って書いてあると。
―― (笑)
竹下 書くんだ!
 はい、わかりました。じゃあそんな感じで。
竹下 はい、解決としときます。
―― プロデューサーのお墨付きの案で(笑)


―― 開発チームの規模はどれくらいですか?
 結構人数には幅があるんですけど、大体一番多い時には20人くらいですね。だから普通のゲームよりは少なめな感じかな。
竹下 うんうん。
 100人で2年あったらね、バイオできちゃいますからね。バイオの1ステージできちゃいますからね。
竹下 大変な事になる。
 危険な発言でしたかね。調子に乗っちゃう感じですかね。
―― (笑)
 今回は20人で頑張りました。


―― 逆転裁判の登場人物が出演することはありますか?
 多少はエッセンスが入っているところはあるんですけど、やっぱり別のものにしたかったので、凄い分かりやすく、例えば誰それが出てくるであるとかは今回は敢えてちょっと外していますね。


―― いやらしい質問ですけど、開発費はいくらくらいですか?
 あ、僕わからないですね。僕ディレクターなんでね、プロデューサーに丸投げで。
―― (笑)
竹下 ……うん。もう。……凄いですよ。
―― (笑)
竹下 ……とだけ言っておきましょう(笑)
―― 何本くらい売れたら無事みたいな……
竹下 そりゃもう、ね、たくさん売れないと会社から怒られる。
―― (笑)
竹下 ……っていうくらいは多いと思いますけどね。具体的な数字は言いづらいですけど、そうですね、DSのソフトの中ではかなりかかっている方だと思います。……っていうくらいで勘弁してください(笑)
―― (笑)


―― 逆転裁判ではテキストがピピピ音つきでピピピピピ、みたいな速度で表示されていたのに比べて、今回はピピピ音なしでほぼ一瞬で表示されますよね。テキストのスタイルがガラッと変わったのは何か理由があるんでしょうか?
 そうですね。逆転裁判よりも一個のシナリオの情報量が多かったのもあって、あまりピピピってやると時間がかかりすぎるので、テンポよく読んで頂きたいなぁってのが一番大きいですね。




 とまぁ、こんな感じでした。今回の質疑応答は、正直なところ難しかったです。と言うのは、ゲーム内の気になる疑問って、毎週開催されているTwitterイベント、ゴーストツイートで殆んど答えられてしまっているんですよね。
 勿論、Twitterの140文字制限ではなかなか伝えきれない答えも少なくないとは思うので、この場でお聞きすることにも十分な意義があるとは思うんですが、できればこの場でなければ聞けないことを聞いてみたい…… そんなことを考えながら質疑応答には臨みました。
 振り返ってみると、商品を実際に触った身としてもっとゲーム内容に関する質問を投げかけるべきだったなーとは思います。まぁ、ネタバレに触れないようにと考えると難しいところなんですが。そこは今度のゴーストツイートで、まぁ、聞けたらいいなーと。
 ……と思っていたんですが、あ、考えてみたら今度の金曜って予定が入ってたんだ。しまったあああああ! 予約投稿とかできるのかな。ちょっと調べよう……


 最後にちょっとしたお断りを。


この記事はカプコンが開催したイベントに参加して書いています。本イベントへの参加および記事掲載は無報酬です。また、事実誤認の修正ならびに本文章の掲載以外、メーカー から記事の内容に対する関与は受けていません。