▼歴史マニアの父に「采配のゆくえ」をプレイしてもらいました

 ……というネタをやってみたらニンチャンみたいで面白いんじゃないかなー、と思ったんですが、実際やってみたらこれがいい感じにスベりました。自分でも結構期待感があったんですが、思ったほどの面白さを引き出せなかったので残念ながらボツということに。
 これはねー、発想がちょっと安易すぎました。ニンチャンはエンターティメントになってるのが凄いなー、と改めて思いましたよ。


 まぁ、題材としてはいいハズなんですよ、采配のゆくえ
 自分は面白いゲームを誰彼構わず薦めたくなる性分です。で、このゲームはプレイしてて実に熱中できたゲームだったので、これは自分だけの楽しみに留めておくには勿体無いなーと、そう思ったんですよね。
 特にこのゲーム、人にプレイして貰うにはなかなか都合のいいゲームなんです。主な理由は3つほどありまして。


 1.アクション性が薄いので、ゲームの熟練を問わない。
 2.プレイ時間が適度で、相手の都合に差し支えない。
 3.過度に下品、残酷な内容ではない。


 まぁ、この辺の都合から、普段はゲームを遊ばない知り合いにも「ちょっとこれ、面白いからやってみてよ」みたいな感じで、気軽に貸し出すことができるんですね。こういう条件を満たしたゲームって、実は結構限られています。


 で、今回のターゲットはうちの父なんですけど、うちの父は歴史マニア、もっと言えば戦史マニアです。戦争関係に関しては、日本から海外、古代から現代まで、なんでも旺盛に興味を発揮している人です。
 とは言っても、父はネットは触らないので、紙の時代のマニアではあります。なので一般的な概論は抑えているんでしょうけど、ひょっとしたら今の時代の水準でマニアと呼ぶには深みに欠けるのかもしれません。
 まぁ、自分もあんまりこの手の話は得手ではないので、ディープさがわからないんですよね。明治時代に軍事顧問として来日したドイツのメッケル少佐が、関ヶ原の布陣図を見て即座に西軍の勝利を断言した逸話とかがスラスラッとソラで出てきたんですが、これとか有名なエピソードなんでしょうかね?
 この話はWikipediaにも載ってる話なので、その辺の概論はとりあえず抑えているみたいです。もっと自分に知識があれば、より深い話を引き出せたのかもしれませんが、今回は基本的と受けの立場に徹して、作品の感想を聞いていました。


 ……とまぁ、概要だけを書き出してみると、なんか面白そうなネタに思えるんですが、実は一つ大きな問題があったんです。貸し出してから自分は気づいたんですけど、気づくのがちょっと遅かった!
 と言うのはですね、実はうちの父、めっちゃコーエーゲーマーなんですよ!
 ……いや、ゲーマーっていうと差し支えがあるのかなぁ。まぁ、雰囲気としては「Dr.マリオだけ遊ぶオカン」みたいな感じで、コーエーのゲーム(っていうか、戦争モノゲームかな)だけを遊んでる人なんですね。
 で、コーエーのゲームに慣れ親しんだ人だと、采配キャラを見ても「まぁ、コーエーだしなぁ」で済んじゃうじゃないですか。それは余りにも予定調和すぎて面白くないなぁと。まぁ、その辺がボツった理由の一つです。


 ちなみに父は、コーエーの「決戦」や「提督の決断」の攻略本だけを買ってきて、それを眺めて日々を過ごしていたんですが、そのうちPS2とソフトを買ってきて、戦史モノを買ってきては遊ぶようになりました。今お気に入りのゲームは三国志11なんだとか。
 あと、鋼鉄の咆哮とかパンツァーフロントとか地味に評価の高いゲームを発掘してくる人でもあります。自分が鋼鉄の咆哮を楽しめたのは父のお陰でもあるなぁ。


 で、本作をプレイした父の感想を簡潔に纏めるとこんな感じです。


・キャラが子供っぽい。マンガっぽい。
 父は采配キャラの絵面に違和感があった様子。まぁ、もっと渋くて大人っぽいキャラが好みのようです。
 あとまぁ、三成が鎧も着込まずに陣羽織だけなのがおかしい、とか言ってました。陣羽織もシャツみたいでアレだ、とか。
 「いや、でも、三成は戦地にいないから鎧は無くてもいいんじゃないの?」的なことを言ったら、「いや、史実だと三成は小西と一緒に黒田、細川、田中、筒井と戦ってた」みたいなことを父が言い出して、4軍を相手取るとか三成戦上手じゃん、みたいな話になりました。
 まぁ、マニアの話の特徴ですが脱線が多かったです。ヒアリングもゲームの話が3割で史実の話が7割。ちょっとした関ケ原講座になってました。
 これもねー、もうちょっと自分も前提知識を仕入れるべきだったと思いますし、話題をリードしていく技量が必要だったなと思っています。


・エンディングが不満。
 まぁ、ネタバレになるので詳しくは説明できないんですが、このゲームは大筋でエンディングが1つしかない。で、その結末も不満と、そういう話です。
 自分としてはエンディングに納得していたので、この辺の感覚の違いは面白かったですね。自分は物語性からエンディングを評価しているんですが、ゲームとしてはプレイ評価に応じたエンディングがあるのが望ましいという、そういう見方の違いがあるのかな、と思います。


・IF部分は全般的によかった。
 この辺もネタバレになるので余り触れられないんですが、史実とは異なる展開は概ね好意的に受け止められていたみたいです。むしろ、もっとやれ、みたいな。
 自分は史実に沿っていても十分ドラマチックな展開だからいいじゃない、と思ってはいるんですが、史実を知っている人からすると、もっと意外性に富んだ展開が好まれるみたいですね。


関ケ原を題材に取るならもっとスケールを大きく取れたのではないか。
 IFに関連して、もっと戦略的な見地からIFを広げられたのではないかという話。九州の黒田・加藤が第三勢力になるとか、上杉が南下してくるとか、徳川秀忠関ケ原に間に合うとか。
 まぁ、あとは関ケ原の合戦自体が非常に立場の不安定な武将がひしめいていた戦いだったので、説得をもっと前面に押し出して、色々な武将を調略できると面白い、みたいなね。
 今回の話は、慶長5年9月15日の関ケ原の1日をテーマにしたADVで、これ自体はコンパクトな切り口で上手く纏めていると自分は思うんですが、父からすると、関ケ原がテーマならもっと大規模な調理もできるだろう、って意見なんでしょうね。
 まぁ、ハード的な見地からすると〜、とか、開発のコンセプトと予算が〜、とか、自分はどうしてもメーカーに寄った見方をしがちなので、こういうユーザーの欲求そのままの意見ってのは新鮮ではあります。


・歴史の謎に迫る推理ゲームはどうか?
 本作の細川ガラシャの解釈の仕方は面白かったという話から、もっとそういう視点を当ててみたらどうか、という話。
 坂本竜馬の暗殺犯は誰か、みたいな。でも、それだとますます逆転裁判に近くなってしまわないかという懸念が。あ、父は逆転裁判知りませんけどね。


・天眼モードが簡単すぎる。
 上画面の完成図はいらなかったのではないか。ヒントは失敗した都度、提示する程度でよかったのではないか。何度でも挑戦できるのはいいとのこと。
 まぁ、この辺は自分も概ね感想は同じですね。もうちょっと手応えがあればよかったかなと。


・続編は川中島の合戦か、鳥羽伏見の戦いを希望。
 前者は地元なので、まぁ、ある程度差っ引いて貰えればと。鳥羽伏見の戦いは、あんまりこの時代を扱った作品がないので面白いんじゃないか、という話でした。でも明治時代のアレって権利関係が難しいんですよね……
 ちなみに父の好きな戦国武将は上杉謙信だそうです。理由は強くて近場だから。割とミーハーですね。



 とまぁ、そんな感じで半端にゲームを触ってる人に遊ばせてみても、無難な回答しか帰ってこないんですよね。同時に聞き手である自分も、この手のヒアリングには不慣れで面白い話題を引き出せなかったなぁという反省もあります。
 今回は自分も忙しいし、父も忙しいしで、父がゲームをクリアした後に感想を聞く、という形式だったんですが、これはちょっと考え方が浅はかでしたね。積極的にプレイングに立ち会って、色々とツッコミを入れながら反応を探る、という方向で、リアルタイムで感想を拾っていかないといけなかったなと思っています。


 ただ、父がDSを触ったのは今回が初めてということもあって、操作回りの反応は結構面白かったです。それを期待して自分もあんまり操作の説明をしなかったんですけども。
 ロードできなくなったぞ、と突然言い出す父。バッテリーが切れてました。
 下画面をタッチペンで操作できると知った父。ノック式ボールペンで下画面をつついてました。
 電源の切り方を知らない父。スリープ状態で放置してました。しかし、中断箇所がおっぱいクノイチをガン見するシーンとか、わざとですか?


 まぁ、今回のお題は「采配のゆくえ」なんですが、説明書を読まない人にもDSは気軽に操作できるんだなー、ってのが実感できて、その点は面白かったです。
 タッチパネルはボールペンでつついても壊れないし、電源の切り方がわからなくても蓋を閉じればなんとかなる、みたいな。ハードの設計からして堅牢かつ直感的なんですよね。まぁ、今更の話ではありますけども、実例を見るとなるほどなー、と頷かされます。
 あ、そう言えば父はゲームクリアまで16時間ほどかかったそうです。自分は8時間くらいで終わったんですが、ADVでよく議論されるボリュームの有無なんてのは、それこそプレイヤーの習熟次第で大分感覚が違っちゃうのかなぁ、なんてことを思ったりもしました。




 でまぁ、今回のヒアリングで一番困ったのは、「で、面白かった?」という質問に対して、父はどうにも微妙な返答をするんですよね。ハッキリとしたYESでもなければNOでもないという。
 自分としては明確な回答が貰えればどちらでもネタになるので、こういう曖昧な返答が一番困るんですよね。ただ、父が明瞭に言語化できない総評を敢えて自分が推測すると、「もっと色々できるテーマだとは思うけれど、このゲームはこのゲームで面白かった」みたいな、そういう感想なのかなと感じています。
 なんでそう思うかと言えば、采配のゆくえを返して貰った時にですね、まぁ、お疲れさまでした、ありがとうございました、と挨拶するワケですよ。とりあえず時間を割いて貰って、ゲームをプレイして貰って、感想も頂きました。お疲れ様でしたと。
 でも、「ハイ片付いたぞ」と自分はホッとしているのに、向こうは「同じようなゲームはないのか?」って聞いてくるんですよ。いやいや、こんなニッチなゲームが何本もあるワケねぇっつーの!
 で、そう言い聞かせても、なかなか引き下がろうとしないんですよね。「いや、お前なんか持ってるだろ」みたいな。なんか、って、なんだよ。
 まぁ、三国志大戦とか父の好きそうなテーマのゲームはあるにはあるんですが、ルールが難解で反射神経が必要なゲームはさすがに酷だしなぁ。かと言ってACTやRPGを渡すわけにもいかないし。
 挙句の果てには積み上がったDSケースを漁り始めたので、慌てて「レイトン教授と悪魔の箱」を渡してその場は納得してもらいました。ふぅ、もう少しでどき魔女がバレるところだった……!


 さておいて、多分父からすると、何を以ってゲームを「面白い」と断じるか、「つまらない」と断じるか、その判断基準の取り方が見えないんだと思います。論拠を構築できるほど多くのゲームをプレイしてないんですよね。
 ただ、もっとゲームに触れてみたい、遊んでみたい、という欲求は言葉の端々から凄く窺えたので、だとすると(DSというデバイスも込みで)「采配のゆくえ」も気に入ってもらえたのかな、と思っています。面白く感じなければ、わざわざ大事な時間を割いてまで他のゲームもやってみたい、なんて言い出さないでしょうしね。
 その辺、面白いか否か、直接的な言葉を聞き出そうとして口篭もらせてしまったのが一番の失敗かな、と思っています。ニュアンスを捉えて、誘導するだけでよかったのかなと。その辺りを起点にもっと話題を膨らませて、ゲームのどんな要素が気に入ったか、不満だったか、その辺りをもっと掘り下げればよかったんだな、と今は思っています。


 まぁ、そんな感じで、レポートとして纏めるには結論が曖昧すぎて、どうにも手に余るというか、自分の力量不足を感じたネタでした。ってことで、今日は自省も含めて色々と書き出してみました。



 ちなみに父ですが、レイトン教授も楽しんでいるみたいです。IQサプリとかの知育系のTV番組をよく見ているので合うんじゃないかなーとは思っていましたが、毎日チビチビとプレイしてるみたいで。
 でも、脳トレはやりたくないみたいです。テストっぽいのはダメなのかしらねー。






 話は全然変わりますが、レイトン教授、イギリスでも調子いいらしいですね。



UK
Week 45, 2008
1 (_) [360] GEARS OF WAR 2
2 (_) [PS3] LITTLEBIGPLANET
3 (_) [DS] PROFESSOR LAYTON AND THE CURIOUS VILLAGE
4 (04) [WII] MARIO KART WII
5 (02) [360] FALLOUT 3
6 (01) [WII] WII FIT
7 (08) [WII] WII PLAY
8 (06) [360] FIFA 09
9 (09) [DS] DR KAWASHIMA'S BRAIN TRAINING
10 (03) [360] FABLE II
11 (14) [PS3] FIFA 09
12 (05) [PS3] FALLOUT 3
13 (_) [PS3] WWE SMACKDOWN VS RAW 2009
14 (_) [360] WWE SMACKDOWN VS RAW 2009
15 (29) [WII] MARIO & SONIC AT THE OLYMPIC GAMES
16 (10) [PS2] PRO EVOLUTION SOCCER 2009
17 (37) [DS] HIGH SCHOOL MUSICAL 3: SENIOR YEAR
18 (18) [PS3] QUANTUM OF SOLACE
19 (19) [360] QUANTUM OF SOLACE
20 (24) [WII] CARNIVAL: FUNFAIR GAMES
21 (36) [DS] MORE TOUCHMASTER
22 (_) [PS2] WWE SMACKDOWN VS RAW 2009
23 (15) [PC] COMMAND AND CONQUER: RED ALERT 3
24 (_) [DS] NINTENDOGS: LAB & FRIENDS
25 (20) [PS2] FIFA 09


 イギリスの今週のチャート。同発のリトルビッグプラネットに次ぐ売上ですね。
 まぁ、脳トレもランクインしているので、そういう下地はあるのかな、ってのもわかるんですが、英国紳士強いなぁ。いや、イギリス人からするとエセ紳士っぽい気もするんですが。
 単純に欧州の市場が日本の2倍として、英国はそのうち3割、で、レイトン教授の売上が大体80万本くらいと考えると、上手くいくと英国だけで50万本売上が出たりするのかも。日本と欧州の販売傾向は似ているので、可能性はあるんじゃないかなぁと思っています。