▼エルミナージュ・その6

 「ニベーヌ神殿」は湖底に沈んだダンジョンです。なので探索の際には合成錬金で作れるアイテム、「空気の実」が必要で、これナシで潜ろうとすると30秒で窒息、パーティーは全滅します。
 でまぁ、「空気の実」を持っていたとしても、探索には制限時間が付随するんですよね。自分は制限時間は15分でしたが、これは合成錬金で作った空気の実のレベルで違うのかな。そこはちょっとよくわかりません。


 ところで自分は制限時間のギミックって大好きです。精緻なプレイで難関を掻き分けていくオレスゲー感と、焦れば焦るほどドツボにはまる緊張感が凄い好きなんですよね。自分がQMAを好きなのも、基本的に時間との戦いみたいな部分が大きいからなのかもしれません。時間をかけて安全に正解を取りにいくか、それともお手つき覚悟で高得点を狙うか、相反する二つの選択肢に悩み苦しむのが快感なんです。……マゾじゃないですよ?
 RPGで言えばFF5のゴゴとの戦闘とかすげー好きでした。ただ、自分はチャイルズエストのラスボス戦も好きなので、どっちの意味でゴゴ戦が好きなのか、ちょっと把握しかねています。


 まぁ、それはさておいて、重要なのはニベーヌ神殿はエルミの中で唯一時間制限のあるダンジョンだってことです。息が切れたら即死、空気を得るには地上に出るしかない、メニューを開いている間にも刻々と空気は減っていく……
 なんだかこの危機的状況に浸ってると、凄いハイな気分になってきます。やべー、他のダンジョンだとこんな感覚は湧き上がってこなかったのになぁ。
 あとまぁ、このダンジョン、水没部分ではセーブ不可能で、その辺がまた緊張感を高める作りになっています。多分DS本体の時間を参照してウォッチ機能を働かせているのでセーブできないんでしょうけど。
 でまぁ、単純にそれだけだとワクワク感より見通しがつかない怖さが先に来ちゃうんですが、ヤバいヤバいと呟きながら命綱を用意しているのが訓練されたヌルゲーマー。超便利な座標移動呪文ティオメンテはここでも有効なので、いざとなったらこれで地上まで逃げちゃえばいいんだもんねー。ヒャッホー! なんだかんだでリスクは極力抑えているのです。
 ちなみにティオメンテで地上から湖中に突っ込むことも可能です。なので、呪文さえ用意できれば水中の制限時間はあってなきが如しなんですね。


 さて、そんな感じでドキドキワクワクしながらニベーヌ神殿を探索します。群がるモンスターを片っ端から切り伏せて宝を回収。時間制限がある中で悠々と鑑定作業に勤しむと、いらないゴミを湖中に投棄して回ります。時にはティオメンテで地上に戻って空気を補充。アイテムの整理やらを済ませてからもう一度水中へ。なんかやってることは海女さんみたいです。
 そんな感じで、ニベーヌ神殿のマップを埋め終えた頃、戦闘中にチラッと時計を見たら残り時間が1分を切っていました。あー、この戦闘が終わったら帰るかなーと思いながらコマンドを入力すると、なぜか攻撃がスカりまくります。え、え、それはちょっとマズい。
 こうなると、普段は気にならないちょっとしたレスポンスの遅さが凄い気になってしまって、「なんでこんなに動作が固いんだー!」と叫びたくなります。しかし、これ、戦闘前後にロードが入るPS2版は凄く辛かったんじゃなかろうか。
 で、なんとか残り20秒で戦闘を終了させて、出てきた宝箱は(勿体無いけど)高速でスルー。Bボタンを連打してメニューを開いて、慌ててティオメンテを唱えて地上へ逃げようと試みます。うわー、10秒切ったぁぁぁぁぁ!
 とにかく地上に出ようと焦る余り、操作を間違えて同じ階に飛びそうになったり、階層を選んでからも、「えーっと、どの座標に出れば帰るのラクかな?」とかつい考えてしまったり、無駄に時間を浪費しながらも、それでも座標指定を完了します。時計は時間切れになるも、画面がホワイトアウトしたので、勝った、第3部継続! ……と、思ったら次の瞬間、画面には墓石が6つ並んでました。間に合わなかったぁぁぁぁぁ!




 うぉわー、これはショックでかい……! 欲に目の眩んだ痛恨の失敗……!
 まぁ、これが世界樹なら「あーあ、今日のプレイ時間が無駄になっちゃったよアハハハハ」で済むんですが、そこは由緒正しいWizの血筋を受け継ぐエルミナージュ。全てご破算で済むほど優しくはありません。
 世界樹がFFなら、こちらはDQ。ダンジョンにパーティーを放置しながら、それでも引き続きゲームをお楽しみくださいと、場面は街に戻ります。……えーと、リセットしちゃってもいいですか?
 こうなると全滅したパーティーを救助するために新しくパーティーを結成して、ニベーヌ神殿の深層まで行かないといけません。
 ですが、残念ながら自分はサブで育ててるキャラなんて一人たりともいないんですよ! 酒場で呑んだくれてるのは、デフォで登録されてる冒険者数名と、善の人間戦士男、そうこ1、そうこ2、そうこ3だけです。


 うーん、これは困った。今からキャラを育てて救出に向かうってのも面倒だし、かと言ってここでリセットするのも面倒くさい。果たしてどっちがラクでどっちか面倒なのか。その辺の見極めが実に難しいです。
 敢えて言えば、今回の冒険では結構レアなアイテムを掘り出せたので、それを失ってしまうのはちょっと惜しいかなと。時間の損失は補填できるけど、運だけはどうしようもない。となると、頑張ってキャラを育てて突撃救助隊を結成するのが近道なのか……


 という感じで方針が決まったので、デフォキャラを集めて臨時のパーティーを結成しました。目標としては魔法使いのレベルを13まで上げること。魔法使いがレベル13になればお馴染みティオメンテが使えるようになるので、強敵がわんさか犇くニベーヌ神殿の奥底まで一気に潜行できます。パーティさえ見つけてしまえば、後は数珠繋ぎに復活させていけるので、帰りは問題ないでしょう。
 ところでエルミの寺院では、お金を寄付することで対価として経験値を得ることができます。このシステムのおかげでプレイヤーは好きなキャラを集中的に育てたり、鑑定用の司教を育てたり、サブキャラを育てたり、パーティ外のキャラまで含めて幅広く育成を楽しむことができます。装備は自前で調達するWizゲーの慣例からすると、お金は賽の河原のように積み上げて崩して楽しむのが常なので、エルミのこの仕様はWizの欠点を埋めた実にナイスな改良と言えるでしょう。
 そして、このシステムを使えば、救出用の魔法使いの育成なんてラックラクなんです。 ……が、問題は今まで稼いだお金の全てを1軍が持ったまんまということで。200万Gにも及ぼうかと言う巨額の財貨は今やニベーヌ神殿に沈んだ埋蔵金となっています。
 ってことで、やっぱり真面目にキャラ育てるしかないのかなチクショウ! 新パーティーは戦戦盗僧魔司ですよ! これだけシンプルなパーティー組んだのって始めてかもわからんね!
 まぁ、1から始めるのと比べると、店売りのアイテムが充実しているってのはちょっと有利な点です。なにせ店売りのアイテムには以前掘り出したフランベルジュやら炎のロッドが幾つも陳列されているので、レベルに見合わぬ強敵を相手に効率的に経験値稼ぎを進められます。まぁ、アイテム揃えるまでが大変でしたけどね!


 ってことで、ざっくり3時間プレイして魔法使いLV13を育成。いよいよ救出作戦を開始します。メンバーは魔法使いと、復活呪文を覚えた僧侶の全2名。敵と遭遇したら? そんときゃ逃げろ!
 さて、ニベーヌ神殿のマップに入ると意を決してティオメンテを唱えます。パーティーが全滅した場所は記憶に焼きついているので直接その地点へGo。宝箱を守る固定敵と遭遇しますが、ササッと逃げてその場は解決。エルミは初代ロマサガと同じで一人逃げれば勝ちなシステムです。
 で、問題はここから。どうやってパーティーを探せばいいのかよくわかりません。時間制限のあるマップなのであんまり無駄に時間を費やしたくもないですし。
 まずは全滅したキャラの所在がわかる僧侶のレベル2呪文を唱えてみます。……全然反応がありません。なんで?
 周囲を見回しながらXボタンを連打してみますが見つかるものは何もなし。あれ、ひょっとして隣の部屋だったりするのかー?
 果たしておかしいのはエルミの挙動なのか、自分の記憶なのか。原因を特定できないままに隣の部屋に移動してみるとここでも固定敵が出現。んがー、あんまり歩き回るのもよくないなー。
 エルミはWizと違って、逃げても部屋から追い出されることがないので、どうしてもモンスターを倒さなきゃいけないってワケではないのが気楽なところです。が、もう一度辺りを調べてみますがパーティーは見つかりません。


 刻々と過ぎていく制限時間の中で、焦りつつも思案すること幾許か。メニューを眺めてみると、あれ、なんだこの「仲間を探す」ってコマンド。……って、これかぁぁぁぁぁ!
 で、最初の地点を調べてみると、いましたいました連中が。魚の餌にならずに水中を漂ってたみたいです。装備が失われてなければいいんだけど、エルミの仕様ってどうなってんのかな。
 で、早速仲間を加えようとしたんですが、「このダンジョンでは仲間を加えられません」というメッセージが。えぇぇぇぇ、何それぇぇぇぇぇ!?


 ってことはなんだ、一軍は削除するしかないってこと? もうロスト扱いなのかーっ?
 疑問を抱えながらも一端リセットして訓練所に行きます。全滅したメンバーの状態は「死」。普通の死亡状態なので、復活の余地はあるように見えます、が、どうやって?
 次に寺院を訪れてみると、なにやらメニューに「回収する」というコマンドが。治療する、でもなく、引き取る、でもなく、回収する。これかぁぁぁぁぁ!


 選択してみると、どうも一人あたり20000Gくらいで死体を回収できるとのこと。……って、じゃあ救助用にキャラ育てる意味なかったんじゃないかー!
 倉庫キャラに持たせておいた高額アイテムを売り払って資金を作ると、寺院脅威のメカニズムで湖水に晒された土座衛門達を回収します。で、その場で復活。なんともなかったかのように全キャラが完全な状態で復活しました。


 ……えーと、なんというか、混乱しすぎだわ、自分。確かにどこかで、「寺院で死体を回収できるからエルミは緊張感がない」みたいなコメントを見たことがあったんだよなぁ。すっかり忘れてましたよ。


 でもまぁ、エルミってよく考えられてるなぁとつくづく思います。全滅時のペナルティが大きくて喜ぶのはそれこそ訓練されたWizゲーマーで、普通のプレイヤーからするとWizのペナルティって余りにも大きすぎるんですよ。それこそ人によってはゲームを諦めてしまうぐらいで。
 まぁ、なんだかんだで立て直しに苦労するハメにもなりましたし、自分的にはこの位が程よいペナルティではないかなと思います。今の時代はあんまりに大きなペナルティを負わせようとすると、リセットすればいいや、って思考になっちゃいますしね。
 でもまぁ、失敗も含めて凄い面白い体験ではありました。なのでまぁ、Wizフリークの「パーティが全滅したら救助隊を派遣したい!」とか「復活呪文が失敗したら灰になって欲しい!」とか「石に飛び込んだら容赦なくロストして欲しい!」みたいなアレもわからないではないなぁ、とは思います。
 ただ、エルミ自体の売上を見ると、そういうのを望んでいるのは少数なんだな、ってのも同時にわかるので、ほどほどが一番なのかなとも思います。






 キャシディ(ワービースト♀・神女 LV51)
 聖海のトライデントをアイテムとして使うと強い。でも持ち物圧迫されるのが厳しいなぁ。


 イベロ(人間♂・侍 LV50)
 最近のメイン武器は鋭い牙*2。侍なのに! 侍なのに!


 ミュイ(フェアリー♀・盗賊 LV68)
 玉手箱鑑定ミス→女神の口付け 女神の口付け鑑定ミス→爆弾 大人になりたい11歳。


 グラスタバウ(ドラゴニュート♂・錬金術師 LV59)
 なぜか地割れに巻き込まれて死ぬこと多数。運が悪いのか? 動きが鈍いのか?


 オズロイ(デビリッシュ♂・召喚士 LV50)
 最近メインで使ってるのはアークレナード。打撃メインだとユニコハットも嬉しいです。


 ネルネリ(エルフ♀・司教 LV53)
 死神の杖を持ってたりするんだけど、使った試しがない。炎のロッドで十分です。