▼無限航路はクセがありすぎるけど面白い

 メール便が郵便受けから落ちてて「佐川ぁぁぁぁぁ!」と叫んだ一幕はあったものの、無限航路はヤバいですね! 面白いです!
 TGSで触っていたので、UIとレスポンスの不安と諦めはあって、実際に操作周りは快適とは言い難い作りではありました。でも、以外のRPGの部分、リソース稼ぎと宇宙船改造と脳内実況が楽しくて堪らないです。はぁぁぁぁ、稼いでも稼いでもお金が消えていく……!
 まぁ、15分で面白さの真髄がわかるゲームではなかったってことですね。RPGって良くも悪くもそういう性質があります。


 なんか雰囲気がいいんですよね。広大な宇宙を縦横無尽に駆け回る感覚。BGMも壮大でスペースオペラ感満載です。
 何気にグロいイベントも多いです。絵柄が今風な癖にそういうことをサラッとやってくれるもんで余計こみ上げてくるものがあるんですが、このドライな世界観は、自分にとっては魅力的です。背景の設定もSF者以外お断りな雰囲気はありますけど、地に足が着いているので浮ついた感じがないのがいいです。
 変にキャピキャピしてたらどうしようと思っていたんですが、その辺は全くの杞憂でした。主人公の友人が愛すべきデブというのがもう既に分かりすぎています。もう見るからに凡人代表で、能力も凄まじく普通なんですよ。でも、自分は一番好きかもしれんです。この人間臭さがイイわぁ。
 主人公とヒロインは普通ですけど、脇役はみんな味が出ていていいですね。中年は多いし。研究者はみんな変人だし。


 戦闘は艦隊戦と陸戦と2種類ありますが、どちらも言ってしまえば後出しジャンケンで、相手の行動に応じてこちらの最適手を選択していくタイプのゲームです。でも、リアルタイムで進行するのがミソで、自分が不利な状況をいかに抑えて、自分が有利な状況をいかに作り出すか、という工夫ができるところにゲーム性がありますね。
 艦隊戦の場合、宇宙船に積んでいる武器にはそれぞれ射程の違いがあるので、火力を集中するための最適な距離があります。ただ、相手も自分も好き勝手に動いているので、火力を効率的に浴びせるためには的確に艦隊に前進or後退の指示を出してあげないといけないんですね。攻撃コマンドを選択するためにはゲージが溜まるのを待たないといけないので、ゲージが溜まるまでは敵の得意とする距離を避けて、ゲージが溜まったら一転攻勢に転ずるというような組み立てが必要になります。


 で、この艦隊運動、グラフィック的には凄く簡潔なんですけど、脳内妄想的には物凄く面白いんですよ。脳内オペレーターと脳内艦長と一人二役で「距離15000に到達! 主砲有効射程内に敵駆逐艦を捉えました!」「10000まで引き付けろ! この距離で致命打はない!」「駆逐艦に反応あり! レーザー来ます!」「素人が! 回避機動はいらん! 懐に飛び込め!」「全弾回避に成功! 距離10000!」「レーザーをくれてやれ! 前菜のミサイルもだ!」みたいな感じで一人勝手に興奮してます。
 あと、敵の艦長とオペレーター役を脳内で演じるのも堪らなく楽しいです。銀河英雄伝説の無能の提督っぽくて。
 あー、でも、脳内妄想加速のために距離表示は欲しかったなぁ。レーダーの有効範囲からなんとなく距離感は掴めるんですが、いちいち数字を声に出して興奮したいんですよ。


 宇宙船の改造は、まぁ、主に外装と内装がありまして、外装はぶっちゃけ武器の交換だけなのでシンプルです。予算を考えて必要な武器を選択してハイ終わり、みたいな。
 で、凝り甲斐があるのが内装の方で、こちらは宇宙船に必要な各種施設をスペースにあわせて配置するというものです。宇宙船内のスペースは限られているので、テトリミノのような形をしている施設の置き方を工夫して配置します。
 隙間を無駄なく埋めるように各種施設を配置できると凄い達成感があるんですよね。パズルゲーム的な楽しさがあって、なおかつその効果がゲームに反映されるというご褒美があるワケです。


 バランスは結構シビアです。コツを掴まないと簡単にゲームオーバーになります。自分もコロッと死んでは何度もプレイ時間を無駄にしています。
 特にボス戦は厳しい場所がありますね。これはケチって船を最低限しか揃えていないのもあると思うんで、キチンと装備を整えればなんてことはないのかもしれませんが。
 逆に言えば、コツを掴めば戦力差が酷くない限りは負けることはなくなるんですが、それでもセオリーを覚えるまではある程度の時間が必要ですね。
 自分も敵も、通常攻撃を3回連続で行える全砲斉射というコマンドがあるんですが、これがまともに当たると敵艦も自艦も一撃で轟沈します。まぁ、回避手段もキチンと用意されているので、理不尽な死に方はしないんですが、どこか昔っぽい殺伐とした一撃死バランスではありますね。
 このゲーム、セーブの時間が長いので、セーブの間隔が広くなりがちです。セーブ時間が長いのはまぁ、デメリットではあるんですが、それが一転してゲームに緊張感を与えているのは面白い作用だと思います。デスペナルティを意識しやすいというかね。「死にたくない!」って思えるんですよね。
 まぁ、泣きたくないならセーブはこまめに! オートセーブなんかいらねぇぜ、と嘯くのが0Gドッグ。そして後で後悔するんだぜ。


 装備を新調する時、将来の新型を見越した繋ぎのローエンドモデルで済ませるか、それとも思い切ってハイエンドモデルを買って改修しつつ使い倒すか、選択が悩ましいのも楽しさの一つです。とにかく貧乏が続くゲームなので、頻繁に買い換えができないんですよね。
 船の性能は艦種でほぼ決まってしまう感じではあって、内装はあまり効果を実感できないものも多いです。なので、ハードだけポーンと買ったら後は未改造でもそこそこやれるんじゃないかなーと思ったりもして。
 というか、戦艦を買うと内装を整えるだけで船が一隻買えるのでね。だったら巡洋艦2隻とかのが同じ出費でも戦力的には充実してるんじゃなかろうかと思うんですよね。拡張性を重視するか、稼ぎの効率を重視するかって話かなぁ。


 そんな自分は最初の駆逐艦を一隻買って、次は戦艦を買いました。巡洋艦は飛び越しました。3隻編成可能ですが、ディジーリップ(民間船。戦闘力はほぼ皆無)を引き連れています。
 おかげで某イベント後のボス戦はほぼ戦艦単騎で戦うことになりました。何度か死につつ勝ったけど。
 最初は駆逐艦&ディジーリップだけで頑張るってカッコイイし経済的やん…… とか思っていたんですが、巡洋艦駆逐艦*2とかが出てくると駆逐艦メインで立ち回るのは激辛いです。引継ぎ後の2周目にやったら面白そうですけどね。
 操作する分には駆逐艦の方が楽しいんですけどね。スピードで圧倒するテクニカルな楽しさというか。鋼鉄の咆哮でも駆逐艦プレイは楽しかったなぁ。


 鋼鉄の咆哮では空母大好き=ドイツ使いだった自分。ゲームとしてはハウニブーが強い2EKが大好きでした。3は航空機飛ばすともうガクガクで…… あー、無限航路でも空母を使い倒したいなぁ。カニ光線はまだですか。



 グラフィックは、今時珍しい古臭さはあるんですが、見慣れてしまえばさほど欠点には感じられないです。PS1の頃のポリゴン宇宙船ってこんなんだったよね、みたいな。
 攻撃エフェクトも割と貧相ではあって、効果音のひ弱さも相俟って敵艦を撃破した時の達成感にはちょっと欠けた作りではあります。武装が増えるとドバドバとレーザーやらミサイルやらばら撒くのでハデさはそれなりに出てくるんですけども。
 TGSでなんだこれ、と思ったカットしすぎの戦闘もまんま実装されてて吹きました。「撃沈したか否か、重要なのはそれだけだ!」という割り切り方は尖り過ぎです。


 でも、時折入るデモシーンでは宇宙船なのか隕石なのか見分けがつかないことが結構あって、そういう点では損をしているなーという印象はあります。これ、キチンと絵作りをすれば凄くインパクトのあるシーンになるんだろうなぁ、と思うのが、うん。


 楽しいゲームではあるんですが目に見える欠点も多いです。小さな欠点は挙げようとすると枚挙に暇がないんですが、ユーザーフレンドリーさとか端から無視ってるかのような気さえしたり。さすが鉄機のディレクターだわ、と変な感心をしてしまったくらいに。
 ただ、このゲームは、自分の中では、カッコイイけど不便なゲームではなくて、不便だけどカッコイイゲームですね。美点が欠点を凌駕しているので、差引きで良評価というか。勿論、目に見える欠点は潰してくれるに越したことはないですけど、まぁ、それもなんとかなるレベルです。


 とにかく面白いところと不親切なところとがハッキリしていて尖り過ぎなんですよね。「こんな尖ったゲームを楽しめるのは自分だけだろう」と思う自分に酔える、そんなナルいプレーヤー向けのゲームです。あと、「宇宙の読みは(そら)じゃない。(うみ)だ!」という人にもオススメ。
 長所と短所が凄まじくハッキリわかれたゲームなので、肌の合う人はトコトン楽しめますし、手の合わない人にとってはダメなゲームなんだと思います。自分は幸いにも前者だったので、海賊を苛めて巻き上げたお金で愛しの宇宙船を磨き上げています。戦艦強いよ戦艦。でも、金食い虫だよ。



 全然関係ないんですが、このゲームを遊んでると幻霧ノ塔ト剣ノ掟を思い出します。多分、上画面の主人公のせい。あれも色々不親切ですが、醸し出された雰囲気が堪らないゲームでした。
 そして明日はポケモンスクランブル配信ですか…… まだ序盤もいいところなのにヤバい雰囲気だわ。