ルクス・ペインが面白くなってきた

 ということで、現在14章。ゲームは21章だかあるそうなので、約3分の2を消化ってところかなー。プレイ時間は9時間弱。まぁ、このペースだと15時間で1周クリアって感じになりそうですが、さて、どうでしょうね。


 取りあえず簡単に『ルクス・ペイン』とはなんぞや、というところから説明に入りますと、ジャンルとしては『伝奇ジュブナイル・アクティブADV』……と、ありますが、まぁ、中身は普通のADVです。ちょっとばかりタッチペンを使ったアクション部分もあるんですが、基本はエリアを選択して移動してキャラと会話するADVですね。


 でまぁ、このゲームの主人公、『西条アツキ』は『FORT』と呼ばれる秘密組織の一員として、『ルクス・ペイン』と呼ばれるアクセサリを使って、人の精神に寄生する『サイレント』を消去する役割を与えられています。 『如月市』市内の『如月学園』に潜入した彼に与えられた使命は、大規模な凶悪犯罪、集団自殺を引き起こした『上海事件』の発端である『オリジナル感染者』を探し出すこと……


 ……みたいな感じで、初っ端から専門用語バリバリで始まるわけですね。この辺、前情報もなしにいきなりゲームを始めると何がなにやらって感じだったりしますし、おまけにゲームが始まってから軽く10人以上のキャラが出てきては自己紹介を始めるもんですから、まー、導入のぎこちなさと言ったら軽く不安を覚えるほどです。

 今日のエントリが「ルクス・ペインが面白い」じゃなくて「ルクス・ペインが面白くなってきた」というタイトルなのは、実はそうした事情が大きく関係しているんです。それをこれからつらつらと述べていきたいかなと思っています。




 でまぁ、このゲームのキモは、『Σ』と呼ばれる能力で、人の心や残留思念を読み取って真実を探り当てていくことにあります。『Σ』を使うシーンではアクションモードに移行して、タッチペンで心をガリガリ削って、その裏に潜んでいる『ワーム』をギュッと押し捕まえて消滅させることになります。
 感じとしてはアレですかね、10円玉で削るスクラッチみたいな。ただ、これは対象人物の記憶を削るので削りすぎるとゲームオーバーになるとか、時間制限があったりとか、削った心は時間が経つと修復するとか、色々とゲーム的な要素も含まれています。
 まぁ、その辺のアクションの良し悪しはまた別の段で語るとして、問題はですね、この心を削って出てきた本音ってのが、あんまり面白くないってことなんですよね。
 っていうのは当然ながら、プレイヤーは街の人達と殆ど面識がないもんで、そもそもこの人がどういう性格の持ち主なのか、あんまり良く知らないわけです。で、本音を見る面白さってのは、建前と真意のギャップが現れてこそ生まれるものなんですが、幾ら対象のキャラが心の底で腹黒い妄想を抱いていたとしても、「ああ、そういうキャラなんだな」で済んでしまうという。ここが一つ、今作の掴みの弱い部分なんです。


 これがもし、主人公が元々如月市の住人で、人柄も性格もよく知悉してるんだけど、心の裏側を見てみると実は…… という流れなら非常に面白いところではあるんです。実際に10章もプレイが進むと街の住人のキャラクターが随分把握できるようになるので、その人がどんな不安を抱えているのか、どんな恐怖に怯えているのか、凄くその辺が気になるワケですね。その辺が「面白くなってきた」理由なんです。
 ただ、面白くなる土壌を作るまでに随分と時間をかけすぎている印象があるんですよね。自分が今作を面白いなと思ったのは、9章に入ってからで、その時点でのプレイ時間はもう7時間を経過しています。これはちょっとアクセル吹かすにしても遅すぎるなと。
 自分はこのゲームをヤフオクで買ったんですが、前の持ち主はゲームを1回しかプレイしなかったそうです。で、実際にセーブデータを見てみると4時間くらいプレイしたデータが残ってまして、確かにこの段階のプレイって、なんか面白いんだか面白くないんだかよくわからない地点なんですよね。自分は前評判を聞いてたのでここからが勝負なのかなと思ってプレイを続けましたが、ここで投げてしまうのも非常によくわかるんですよ。


 ゲームが進むと非常にサスペンスな雰囲気も出てきますし、単純だったアクションシーンも手ごたえのある敵が出てきたりと、ゲームに深みが生まれてくるんですが、どうも展開が遅すぎるというか。登場人物が多すぎることと、それらのキャラクターを紹介するのに時間をかけすぎている、という2点がどうもスマートさに欠けるなぁと自分は思いました。もっとキャラは減らせたんじゃないかなぁ。


 とまぁ、序盤の展開はホントに刺激が薄いです。一応犯人と目されるオリジナル感染者を追っていくストーリーが展開されるんですが、これまた目星がついてもウロウロしてたり踏み込まなかったりでヤキモキさせられるんですよね。
 でも中盤から「え、あの人が!」と思わず驚嘆する展開が始まると、ここからググッとストーリーは面白みを増して行きます。今まではそれほど脅威に感じられなかったサイレントの存在が、ここからは物凄く怖く思えてくるんですね。……今気づいたけど、あの人ってパッケ裏に載ってないのか。あー、なるほどー。
 その中で日常の平和を仲間達と謳歌するシーンが挟まれると、みんな無事でよかったなぁと凄く心に染みてくるんです。日常と非日常の対比があって、ようやくメリハリが見えてくるんですね。
 日常と非日常という意味では、序盤も物凄い大規模な怪事件が多数発生した『上海事件』という味付けもあるんですが、何分実感が余り感じられないんですよね。なので構成的には物語の転機となるあの事件をもっと前倒しにして(まぁ、別の陰惨な事件でもいいんですが)、プレイヤーの緊張感を煽るような作りの方が序盤はダレずに済んだんじゃないかなぁと思います。
 とまぁ、その辺りが一番自分が言いたかったところですかね。とにかく序盤の引き込みが弱いと。中盤以降はスリルとサスペンスが芽生えてきていい感じなので、そこまで我慢できるかどうかという感じでしょうか。




 あと、操作性についてはメッセージの表示速度の変更ができないこと、メッセージスキップができないこと、この2点がプレイしてて惜しいなーと感じる点でした。
 メッセージの表示速度については色々試してみてわかったんですが、左親指の爪で会話ウィンドウをタッチしながらAボタンを押すと瞬間表示になるという細々としたコツを最近掴みました。でもまぁ、面倒っちゃ面倒ですけど。
 メッセージスキップは真エンドを見ると使えるようになるらしいんですが、普通、スキップって真エンドを見るために使うもんなんじゃ…… と考えるとどうも本末転倒な仕様のようにも思えます。このゲーム、地味にGAME OVERになると最後のセーブ地点からやり直すことになるので、普通にファーストプレイでも使えるようにしてくれればよかったのになぁと思います。




 取りあえず現状はこんな感じですね。シナリオの展開で序盤の微妙さから持ち直したゲームという風に自分は捉えてますので、これからの展開の盛り上がりが最終的な評価に直結するような気もします。
 普通のゲームだったらこれくらいプレイすればいいか悪いかの判断はつくんですけどね。シナリオ中心のゲームだとやはり最後までプレイしないとその辺の判断ができないということで、集中してプレイを進めて行きたいなぁと思っています。が、なかなか時間が見つからないのがねぇ……